■ デフォルメされた表現で“エログロ”を描写、シュールで耽美な雰囲気が物語の輪郭をはっきりさせる。この舞台の演出は江本純子。今、最も注目されているクリエイターの一人であろう。江本は2000年に劇団毛皮族を立ち上げ、過激で独特の“エログロ”感、暴力、シュールな笑い、世界観を展開し、コアなファンも多い。また、2009年に毛皮族とは異なる演劇のプロジェクト、財団、江本純子(当初の名称は劇団、江本純子)を立ち上げる。初演の『ライチ☆光クラブ』ではコミックの作風と“江本テイスト”が上手くマッチ、この初演はコミック作品『ライチ☆光クラブ』の内容に沿ったものだが、回想シーンがところどころに挿入、この部分は『ぼくらの☆ひかりクラブ』(上巻、下巻)に描かれている。この前日潭も読めば舞台の面白さはさらに倍増すること、請け合いである。さて、作品の評判を受けての再演、客席から女子中学生が登場。季節柄、ドイツ語で『第9』を歌いながら舞台へ。ジャージーな音楽が流れ、雰囲気を盛り上げる。そしてけたたましい笛の音で“本編”が始まる、という趣向である。舞台上には“ライチ☆光クラブ”が、そして登場人物たちが集結、グランギニョルの幕開けである。ストーリーは初演と同じ。“醜い大人になりたくない”、“大人は汚い”と言うゼラ。実はライチ☆光クラブはタミヤたちが始めたもので、当初はちょっと無邪気な“秘密基地”だった。ところがゼラの加入によっていつの間にか違う方向へ向かう。ゼラのそばで微笑むジャイボの眼差しはねっとりとゼラにまとわりつく。皆、ゼラに忠誠を誓う。そして、遂になんでも言うことを聞くロボット“ライチ”が完成する。ある日、ライチは美しい少女を“捕獲、“破滅”へと突進していく。デフォルメされた表現で“エログロ”を描写、時にはコミカルに映るので、ドロドロしたシーンであるにも関わらず、客席からは時折笑いが起こる。噴水!?のように吹き出る血しぶき、ハリボテ感満載の人体が飛ぶ。シュールで耽美な雰囲気が物語の輪郭をはっきりさせる。狂気の果ての血の海も、何故か気持ち悪いという感じはなく、“寓話性”が強調されて、作品のテーマが浮かび上がる。ゼラ役の木村了、タミヤ役の中尾明慶らの熱演が作品の中の“マグマ”になってエネルギッシュな舞台に仕上がっていた。演出も初演のものと比較すると整理されたシーンもあり、1幕ものの疾走感がより感じられた。舞台、コミック、アニメ、そして巡り巡っての舞台化、本当の初演がどうだったか、ということよりも、コミック、アニメのフィルターを通した、今のテイストに合ったフィーリング、演劇とはそういうものだ、ということを改めて知る作品である。『ライチ☆光クラブ』12月16日~12月24日AiiA Theater Tokyo (アイア シアタートーキョー)/http://www.nelke.co.jp/stage/litchi-hikari-club2013/
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