雨でも晴れでもいつでも”同じ色”をつくり出す―ニッカー絵具 数井浩子のアニメ社会科見学 第5回 | アニメ!アニメ!

雨でも晴れでもいつでも”同じ色”をつくり出す―ニッカー絵具 数井浩子のアニメ社会科見学 第5回

連載・コラム 数井浩子のアニメ社会科見学

「雨でも晴れでもいつでも”同じ色”をつくり出す」
―ニッカー絵具を訪ねて(1)


■ 数井浩子(アニメーター・演出)

アニメの背景を描く人を「美術」「美術さん」という。テレビシリーズでは一話数300カット前後なので、単純計算しても300枚以上背景画が必要だ。

美術さんは、アニメーターの設計したレイアウトをもとにポスターカラーで鮮やかな背景画を描いていく。このポスターカラーを半世紀以上にわたって作り続けてきた会社が、「ニッカー絵具」である。

ニッカー絵具といえば、鉄腕アトムのブーツの色「テロップカラー3.5」や、『ジャングル大帝』『風立ちぬ』の空の色、セルリアンブルーをつくり出した会社として有名だ。

連絡をすると、快く取材OKとなった。池袋から東武東上線で15分、東武練馬駅から10分ほど歩く。住宅地の一角にカラフルな建物がみえてくる。ニッカー絵具の本社工場だ。

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■ 「鉛やスズを平和利用する!」戦後、金属加工業から絵の具工場へ転向

ニッカ―本社工場の壁には14色の絵の具チューブが描かれている。チューブの丈は1メートル64センチ。現在の四代目社長、妻倉一郎さんの身長と同じだ。14色の社長等身大の絵具チューブである。

「この壁面を見てはじめて、『ここって絵の具をつくっている工場だったんだ』って分かった人もいたようです」

「ニッカー絵具(株)」の前身は「日本化鉄(株)」という。「ニホンカテツ」を短くして、語尾を伸ばして、「ニッカー(NIKKER)」という社名になった。

この社名から分かるように、もともとの専門は化学・製鉄事業である。戦後、軍需産業で使った鉛やスズといった金属の平和利用を考えて、創業者の伊藤一三氏が「絵の具チューブはどうだろうか?」と思いついたという。

abesanチューブをつくるなら、中に入れる絵の具もつくろう。伊藤氏は、現在も千代田区にある老舗画材専門店「文房堂(ぶんぽうどう)」の絵の具工場で、顔料について一から学んだ。

文房堂は、日本ではじめて専門家用油絵の具を製造、販売した画材専門店である。国内外から顔料を取り寄せ、高品質な製品をつくっていた文房堂の工場で、絵の具の製造技術を習得した伊藤氏だが、絵画に関しては素人だった。しかし、絵具チューブに入れる絵の具は最高のものを目指した。「商売」ではあるが、同時に「アート」でもあったのだ。

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