舞台版「心霊探偵八雲 いつわりの樹」 アニメ×ステージ&ミュージカル談義 | アニメ!アニメ!

舞台版「心霊探偵八雲 いつわりの樹」 アニメ×ステージ&ミュージカル談義

連載・コラム 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義

高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]


人間の心の闇や負の感情を丁寧に描いた舞台版『心霊探偵八雲 いつわりの樹』、ラストは泣けて共感出来る、気持ちが優しくなれる作品

■ 脚本は原作者みずから執筆、新しい“再演”、ノベライズも刊行されて2度楽しめる

人気ミステリー小説『心霊探偵八雲』、2004年に刊行以来、根強い人気を誇り、コミック、アニメ、舞台等さまざまな形でメディアミックスされ、それぞれヒットしている。舞台版は2008年初演、『心霊探偵八雲 いつわりの樹』と題して原作にはないオリジナル作品として上演、脚本は原作者の書き下ろしで話題を呼んだ。
その後再び原作者によるオリジナル脚本『心霊探偵八雲 魂のささやき』を2009年に上演、2010年には初の原作舞台化『心霊探偵八雲 魂をつなぐもの』を上演した。テレビアニメ化は2010年、つまり、アニメ化より舞台化の方が先、という訳である。今回の舞台は初演の再演であるが、脚本を大幅に改訂、“新しい再演”という趣向。脚本を手掛けるのはもちろん原作者、どんな展開になるのか期待が高まる。

複雑なバックボーンを持った主人公斉藤八雲を演じるのは久保田秀敏、ミュージカル『テニスの王子様』やテレビドラマ『タンブリング』等に出演、今回が初主演となる。晴香役に『仮面ライダーフォーゼ』等に出演の清水冨美加が務める。また、後藤刑事にはアニメと同役、東地宏樹が挑戦、部下の石井には初演から持ち役にしている佐野大樹、手堅いキャスト、と言えよう。
この『心霊探偵八雲 いつわりの樹』も待望のノベライズ化、2度楽しめるようになっている。

■ 人間誰しもが持っている負の感情や心のひだ、弱さを丁寧にすくい取って観客に提示する秀作

『心霊探偵八雲』の“お約束”ではあるが、お決まりの事件勃発。八雲に言わせれば“トラブルメーカー”の晴香が八雲に“トラブル”を持ちかける。
同じ頃に神社で殺人事件が起こり、後藤&石井の刑事コンビは現場に急行する。そこにあった他殺体は石井の同級生だった。一見、接点がないように見える2つの事件だが、実は深いところでつながっていた・・・。

誰しもが必ず持っているであろう心の闇、封印したい過去等がじわじわとあぶり出されてくる。久保田秀敏はクールで皮肉屋だが、心根は温かい八雲役を気負わずにさらりと演じていて好感が持てる。清水冨美加は初舞台であるにもかかわらず、八雲の回りを何かとまとわりつく晴香役を好演、後藤刑事はアニメと同役の東地宏樹、さすがの貫禄でアニメではいかつい印象の後藤刑事だが、無理に型を作らずに演技で無骨さや不器用な優しさを表現。
佐野大樹はまさに当たり役、アニメを観ているファンなら納得の石井雄太郎を演じていた。その他の俳優陣もいい仕事をしているのが印象に残った。

青山円形劇場の空間を上手く使った演出、シンプルなセットで『心霊探偵八雲』の世界を見せてくれる。結末まで目が離せない物語の構成、ノベライズのストーリーをシンプルにすっきりとさせた脚本は原作者のストーリーテラーとしての底力を感じる。
人間誰しもが持っている負の感情や心のひだ、弱さを丁寧にすくい取って観客に提示。ラストは泣けて共感出来る、優しい気持ちになれる秀作。末永くシリーズ化してほしい。

舞台版『心霊探偵八雲 いつわりの樹』
こどもの城 青山円形劇場
8月21日~28日
/http://www.nelke.co.jp/stage/yakumo/
《animeanime》
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