アニメ発祥・マンガ研究の中心地京都の新たなる展開 京まふリポート | アニメ!アニメ!

アニメ発祥・マンガ研究の中心地京都の新たなる展開 京まふリポート

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会場の様子
  • 会場の様子
  • 中村伊知哉氏、山本寛監督
  • 山本寛監督
  • セミナー会場の様子
  • 会場から:宇宙戦艦ヤマト2199
  • 会場から:宇宙戦艦ヤマト2199
  • 商品展開の活性化も目指す
  • マンガ原稿の持ち込み企画
アニメ発祥・マンガ研究の中心地京都の新たなる展開
京まふ(京都国際マンガ・アニメフェア2012)リポート


[取材・構成: まつもとあつし]


9月21日(金)~23日(日)、平安神宮そばの京都市勧業館(みやこめっせ)を展示ホールとして、「京まふ」(京都国際マンガ・アニメフェア)が開催された。21日のビジネスデーに行われたセミナーの模様を中心にお伝えしたい。


■ はじめての開催にも関わらず2万人以上を集める

西日本最大級の総合見本市を謳ってはじめて開催された京まふだが、主催者発表で23,800人(21日のビジネスデーに1,000人、2日・3日目のパブリックデーには22,800人)もの入場者を集めた。会場内のステージイベント、また平安神宮特設舞台でのミルキィホームズ・水樹奈々の奉納ライブのチケットは早々に完売となり、ビジネスデーも関係者の熱気で溢れた。西日本でのアニメイベントとしてはここ数年、徳島の「マチアソビ」が存在感を増しているが、古都京都がそこに名乗りを上げた形だ。


■ 京都はマンガ・アニメの中心地

ビジネスデーでは、3つのセミナーが連続して行われた。トップバッターとなった「マンガ・アニメで始める京都発・新産業創出とは」では、山本寛監督が自身が京アニ出身であることを紹介し、「日本のアニメーションの父」政岡憲三氏が下賀茂にスタジオを立ち上げ、実写映画の撮影所も多かったことから、京都がアニメ発祥の地と呼んでもよいのではないか、と話している。それを受けて慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏も「大学・学生が多いこともあり、反骨精神・カウンターカルチャーに富んでいる」と答えた。両氏とも京都大学の出身だ。
京都北部にはマンガ学科を備える京都精華大学があり、中京区の京都国際マンガミュージアムでは京まふと同時に開幕となった「ガイナックス流アニメ作法~人の群れがアニメを創る!~」も盛況だ。映像コンテンツの研究には立命館大学も力を入れている。


■ 戦国BASARAのマッチング事例の要点とは?

2つめのビジネスセミナーでは、Production I.G企画室 執行役員の郡司幹雄氏が「地域発、マンガ・アニメ・コラボレーション事例」として、「戦国BASARA」を取り上げた。「京まふ」自体も、地元の伝統産業とマンガ・アニメとのコラボレーションの場となることを目指しており、それを受けた内容だ。「戦国BASARA」の舞台となった宮城県でのタイアップは数多くのコラボ商品を生み、売上が1億円以上になっている。
郡司氏は「グッズの売上が求めてのことではなく、『話題』の喚起が目的だった」と前置きし、テレビやCMのようなマス媒体ではリーチ仕切れない、ネット上である種「ネタ」として拡散していくような企画を、地元との協力・交流のもと創り上げていったという。

キャラクターの強力なアイキャッチの力と、地元商品との属性が一致すれば、価値が多様化するデフレの時代にあっても、高い価格設定が可能になると郡司氏。本来の効用とは別の価値が生まれ、心の財布が開くと氏は説く。
一方で、「キャラクター商品は万能ではない」と氏は釘も刺す。
特に氏が強調するのは「商品の出し方」だ。いくら強力なキャラクターを冠しても単に売っているだけでは、世の中に認知されない。ネット上のファンコミュニティへの適切な情報発信と、地元やコンテンツ双方のイベントと足並みをあわせた、計画的な商品投入を実施することが大事だという。
そういった施策を実行していくためには「アドバイザーの存在が重要」と郡司氏。社内外の当該コンテンツ・キャラクターが好きで、どのようなコミュニティに支えられているかを熟知する人物を登用し、権限を与え、地元企業との交流にも当たってもらうことが必要だとして、氏は講演を締めくくった。

この後も、ビジネスセミナーは一般社団法人 日本動画協会 事業委員会副委員長/データベースワーキング座長の増田弘道氏による「海外へ、中国マンガ・アニメ史上への進出」、(株)キャラクター・データバンク代表取締役社長の陸川和夫氏と動画協会専務理事/事務局長松本悟氏による「マンガ・アニメで新産業、ライセンスビジネスとは?」と銘打った興味深い講演が続いた。


■ 京都に根付くイベントを目指して

ビジネスデー、一般公開日ともに盛況に終わった京まふ。この開催にあたり京まふ事務局広報担当として奔走した菊池健氏は、今後の開催について「長く続けられるイベントに育てていきたい」と答える。菊池氏はプロマン画家を目指す学生に、東京都内で低賃金のシェアハウスを提供するNPO法人NEWVERY内トキワ荘プロジェクトのディレクターでもある。
京まふでは、京都版トキワ荘事業としてビジネスデーに「マンガ出張編集部」が設けられ、マンガ誌の編集者が来場し、長い列を作る漫画家志望者の原稿を読み、アドバイスを与えていた。
京都ではこれまでもマンガ・アニメの研究成果発表や展示・イベントなどが行われてきたが「京まふ」がそのハブとなることで、それぞれの取り組みにも弾みが付くことに期待したい。


[まつもとあつし]
ジャーナリスト、コンテンツ・プロデューサー。東京大学大学院情報学環後期博士課程に在籍し、デジタル化が進むコンテンツビジネスについて幅広く研究・取材を続けている。ascii.jpやダ・ヴィンチに連載を持ち、著書に『生き残るメディア 死ぬメディア』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト 映像の新しい消費形態』(NTT出版)など。
《animeanime》
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