「らき☆すた≒おん☆すて」は始まる前から始まってる 高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第3回 | アニメ!アニメ!

「らき☆すた≒おん☆すて」は始まる前から始まってる 高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第3回

連載・コラム 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 第3回

「らき☆すた≒おん☆すて」は始まる前から始まってる!
五感で楽しむミュージカル


[取材・構成: 高浩美]

■ 公演前は無料イベントで気分高揚、キャストと“一体感”
 
通常は初日があって楽日があるのが一般的な“演劇”。しかし、このミュージカルイベント【らき☆すた≒おん☆すて】はこの当たり前な形では上演されない。初日までのイベントの多いこと!
キャスト発表から始まり、一般観客に見せない稽古もみせてしまう。衣装は着ていない。稽古場で着ているジャージ、Tシャツ姿でステージに上がる、演出家や振付家の指示がとぶ。もちろん“完成型”ではない。いうなれば“発展途上”な状態で観客に見せる。他にはない試みではあるが、稽古を見せることによって「初日はどんな感じになるだろうか」と期待感を持たせてテンションもアップ。
さらにたたみかけるように9月2日には「らき☆すた」聖地、鷲宮神社での土師祭があり、ここでこなた役の発表があった。そして9月5日、「後楽祭」と銘打ったイベントではトークあり、衣装をつけて「もってけ!セーラーふく」を歌い踊るシーンあり、集まったファンは大ノリでイベントを楽しんだ。
そしてラストのイベント、9月12日には「大祓い祭GR〜公演直前・緊急前夜祭」と銘打ち、再び名曲「もってけ!セーラーふく」等を熱唱。ここで新たに「埼玉名物LOVE」という新しい楽曲が発表、観客と一緒に歌の練習も。後半では柊姉妹が巫女の衣装に着替えて登場、舞台成功を願って観客全員と一本締めを行った。

■ 泉こなたはみんなに愛される息の長いキャラクター

「らき☆すた」は高校生の日常を描いた美水かがみ原作の4コマ漫画でアニメ、ゲームにもなっている人気作品。登場人物はオタクでアニメが好きな泉こなた、その友人の柊つかさ、かがみの双子の姉妹、高良みゆきの4人とその周辺の人々。なんということもない、ごく普通の生活が描かれている。
女の子の“日常”といえば有名な小説「赤毛のアン」もまたおしゃべりな少女アンの日常の話。時代設定や国、キャラクターは異なるものの、時代や国を超えて愛されており、アニメやミュージカルにもなっている(浜松町の自由劇場でミュージカル「赤毛のアン」上演中、10月14日まで)。「らき☆すた」のこなた達は今どきの高校生で笑ったり、ときにはちょっと凹んでみたりもするが、「赤毛のアン」同様に時を超えてファンにいつまでも愛されるキャラクターとして十分な存在感がある。だからコミックの枠を軽々と超えることが出来るのだろう。

■ “本編”は期待通りの「らき☆すた」ワールド

今回、初のミュージカル化であるが、こなた役はオーディションで選ばれた酒井蘭。9月2日の土師祭からイベントに登場していたが、“こなた、なりきり度”120%で全開。おなじみのキャラクターに、舞台だけのオリジナルキャラクターも登場する。
ステージは「もってけ!セーラーふく」とキャスト紹介でオープン。物語は高校生活最後の文化祭の出し物を何にするか、というところから始まる。合間はMC森とあきらのトークで盛り上がる。
アニメ、ゲーム、コスプレ大好きで少々ユルいこなただが“それなり”に頑張る姿は微笑ましい。友人達や父親のそうじろうもどこか可笑しくもほのぼのとした印象で、「らき☆すた」ワールドを展開する。歌うシーンでは男子4人の「ヲタ芸」も登場、もはや“イベント”状態でノリノリ。たとえ初見でも、ステージと一体になって楽しめる構成となっている。

■ 新しいミュージカルの形を提案した「らき☆すた」

観客参加型の舞台は今までにも数多くあった。「ロッキー・ホラー・ショー」、中村龍史演出の「マッスル・ミュージカル」等、キャストが舞台から降りてきて観客に絡む、また、振りを教えて一緒に踊る、歌を歌う等はすでにあった手法である。
ところが今回の【らき☆すた≒おん☆すて】はキャスト発表をイベントという形式で観客に見せ、稽古から「うら☆すて」と銘打ってオープンにしていた。イベントから参加している観客はキャストの成長をリアルに見、キャストに絡まれ、またその逆もあり、イベントを楽しむうちに一体感も生まれた。この成熟した観客はイベントに参加してない初見の観客を牽引する役割を担う。つまりミュージカル【らき☆すた≒おん☆すて】は9月20日の初日を迎える前から実はすでに始まっていた、と言えよう。
しかもアニメ・コミックの主人公はそもそも“二次元”の世界のキャラクターで、それを舞台にのせるというのは“三次元”に移行させるということ。俳優の役作りや演出だけでなく、イベントという形でもスライドさせて、観客にも雰囲気作りに参加してもらう。もともとアニメやコミックにはすでにファンがいる、さらにTwitterやmixiでよびかける、だからイベントに熱心なファンが集まる、という背景もある。
また、東京ドームシティ内で公演中は「らき☆すた」カフェを設置、1日「らき☆すた」ワールドを満喫出来る。ただ、客席にすわってミュージカルを楽しむだけではない、それこそ「五感」で楽しむミュージカルイベント【らき☆すた≒おん☆すて】、ここに新しいミュージカルのスタイルがある。

「らき☆すた≒おん☆すて」
公演中〜30日(日)
東京ドームシティ内 シアターGロッソ
/http://www.lucky-musical.com/ 

[高 浩美 (こう・ひろみ)]
東京都文京区出身。
生活情報誌「レタスクラブ」にてエンターテインメント欄を担当後、演劇雑誌「ソワレ」編集、総合女性誌副編集長等を経験。テレビ情報誌「ステラ」にて宝塚や歌舞伎、能等の特集を手掛け、また書評も担当。また、東京アニメセンター広報業務にも携わり、主に外国メディアを担当した。
「MUSICAL WALKER」(角川書店)「タカラヅカ新世紀」(NHKサービスセンター)「ミュージカル新世紀☆スター名鑑」(グラフィック社・著書)「華麗なるミュージカルガイド」(キネマ旬報社)なども手掛けた。
《animeanime》
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