黒沢ともよ&悠木碧『劇場版モノノ怪 唐傘』で魅せた引き算と足し算の演技「今までなら逆の配役になっていた」【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

黒沢ともよ&悠木碧『劇場版モノノ怪 唐傘』で魅せた引き算と足し算の演技「今までなら逆の配役になっていた」【インタビュー】

2024年7月26日より公開される『劇場版モノノ怪 唐傘』。2007年にTVアニメが放送された『モノノ怪』シリーズ待望の新作となる。本稿では、黒沢ともよさんと悠木碧さんのインタビューをお届け。

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  • 『劇場版 モノノ怪』先行場面カット(C)ツインエンジン

■「懐いていると思っていたのに……!」アサとカメの関係性

――お互いが演じたキャラクターの印象を教えてください。

黒沢 カメはもう、元気ハツラツな子ですよね。物語を動かしていってくれる存在です。

悠木 ずっと何かが有り余っているもんね。

黒沢 あと、カメはアサとなかなか目が合わないキャラクターだな、とずっと思っていて。私はすごくカメのことを見ているけれど、カメは私を見てくれていないかも、という不安がありました。でも、それもカメの魅力のひとつですよね。

悠木 飼い犬が何にでも興味を示して戸惑う飼い主の感覚に似ている(笑)。自分の飼っている犬が来客の膝の上に座ったときと同じようなモヤッと感がありますよね。「え、お前の相手は誰でもいいの!?」って。

黒沢 私に懐いていると思っていたのに(笑)。でも、一歩引いた視点からあお様のカメを見ていると、愛されようとしているこわばった笑顔が印象的で。その表情を見て胸がぎゅっとなる同世代の女の子は多いと思います。

悠木 本人は不器用なりにがんばっていますが、好かれたい気持ちを「媚び」と捉える人もいるから難しくて。アサにそういう部分がまったくないのは、実力だけで評価されないといけない過去があったからだと思うんです。

黒沢 カメのようにできたらいいのに、と思っている側面もある気がします。甘えられないし、そもそも甘え方がわからないんです。カメは甘え上手のまま育って、でも大奥で初めて甘えられない環境に置かれてどうしたらいいかわからなくなっている。それを見てアサも戸惑っていました。

悠木 本当にアサちゃんが全部尻拭いをしてくれたからね。以前ともよちゃんが、「あえて声で違和感を作った」と言っていたのを聞いて、アサという人物が腑に落ちました。「この人はこの形を望んだわけではないけど、この形にならなければどこにも受け入れてもらえなかったんだな」という、ある種の弱さが垣間見えて。そのキャラクターバランスが正解だったんだと納得しました。

対するカメは非常にわかりやすい。だからこそ動揺せず「この形のアサちゃんも素敵!」と思えるように心がけていました。

黒沢 2人の関係は、メロディとベースみたいな感じです。あお様のカメがメロディを奏でてくれて、ふと休符になったときにも音が続いていくように、アサがベースを受け持っている。そんな絶妙なバランス感は、全部あお様が作ったようなものです。

悠木 そんなことないですよ(笑)。お互いの演技があってこそです。

■「アサは引き算で、カメは足し算」全身全霊で望んだアフレコ

――台本がかなり分厚いので長丁場だったことが予想されますが、アフレコはいかがでしたか?

悠木 1時間半とは思えない台本の量でしたよね。3時間分のボリュームがありますって!

黒沢 たしかに! でもアフレコ自体は比較的スムーズで、私は1日半で終わりました。

悠木 私は1日で終わったので、わりとサクッと進みましたよね。集められた傭兵がぎゅっと仕事をして解散していく感じ。私は淡島役の甲斐田裕子さんと、麦谷役のゆかなさんと一緒に録らせていただきました。作中では2人にいびられているカメですが、私自身は甲斐田さんとゆかなさんに甘やかしてもらって楽しくアフレコをしておりました(笑)。なかなかほかの現場でご一緒しても、お2人を独り占めしていっぱいおしゃべりをしてもらえることってないじゃないですか。お姉ちゃんたちを独り占めできて幸せでした。

しかもお2人ともとても優しいんです。カメはずっと叫んでいるキャラクターなので、「喉、大丈夫?」と声をかけてもらったこともありました。
不思議なことに、バトルのようなシーンほど、仲のいい人と演じたほうがテンポがよく、完成度が上がります。先輩たちが空気を作ってくれたうえで演じられたので、とてもありがたかったです。

黒沢 私は初日のアフレコが、北川役の(花澤)香菜ちゃんと一緒でした。北川とアサの関係と同じように、朗らかだけれど緊張感がある。そんな現場で挑ませていただきました。

2日目は、あお様たちに合流して一緒に録る予定だったんです。でも、1日目の帰りに生まれて初めて駅のホームで倒れてしまって……。結局別日に1人で収録しました。それくらい持てるものを総動員して、最後はふらふらになりながら演じた記憶があります。アサは淡々としている子ではありますが、考えながら演じる部分が多くて。

悠木 アサは引き算の芝居を求められるから、考えるよね。カメは足していく芝居なので、1回ぶつけてみて多すぎたら引く、というアプローチができます。でもアサは絶妙なひと匙を入れるか入れないかでニュアンスが変わってしまう。

黒沢 しかもストレートに演じるのもなんだか悔しいじゃないですか。台本のト書きの量も多いので一生懸命めくりながら、言われたことを考えて演じました。とにかく脳をたくさん使って演じた子です。カットの切り替えもめまぐるしい作品なので、脳がバグを起こすような感覚もありました。

悠木 後半のシーンでアサとカメが交互に出てきたときはとくに大変でしたよね。今映っているのはカメなのかアサなのか、だんだんわからなくなっていく気がしました。

黒沢 しかもカットごとに少しずつ時間がつままれているシーンもあって。実際の時間の早さとは異なる編集された映像になっていて、人間の思考の速度を超えていくかのようでした。それがおもしろかったですし、「実際の絵と合わさるとこんなにも小気味いいのか!」と感じました。


《ハシビロコ》
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