特にマンガ配信サービス「ピッコマ」で掲載されている作品群は「SMARTOON」のブランドで展開され、その中でも話題の作品『帰還者の魔法は特別です』が2023年10月7日24時00分~TOKYO MX他にて放送開始予定だ。
本作は、「影の世界」という異次元空間に絶えず浸食を受ける世界の中で、最後のボス、破滅竜ボロミア・ナポールとの対峙の末に世界は破滅を迎えてしまう…。全てが終わると思った瞬間、主人公デジールの目の前には13年前の世界が広がっていた。滅亡の未来を変えるため、仲間とともに再び立ち上がる…というストーリーになっている。
剣と魔法が飛び交うファンタジー世界の中で、一度は破滅を迎えた世界の結末を変えることができるのか、かつて戦いの中で失ってきた仲間達を救うことができるのか…。序盤から惹き込まれる要素盛り沢山の本作について、メインキャストであるデジール役の寺島拓篤さん、ロマンティカ役の鈴代紗弓さん、プラム役の藤原夏海さんに語っていただいた。
[取材・文:ふみ丸 撮影:小川遼]
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特徴的な吹き出しの入れ方
――皆さんの本作を読んだ最初の感想を教えてください。
寺島:公開されているPVでもちらっと描かれているのですが、この作品は冒頭でラスボス、破滅竜ボロミア・ナポールを倒して「やっと世界に平和が訪れる」と安堵した矢先に、実はまだ倒せておらず、結局世界が滅亡してしまうという展開から始まります。
最初にクライマックスのワンシーンを描いた上で13年前の世界からお話が始まるのではなく、本当に最後の戦いが終わって、生き残った仲間達とこれまでのことやこれからのことを語り合った後に、再び絶望に突き落とされるという展開になっています。
その展開の重さもすごいと思いながら、その事実を受け止める主人公デジールの描写もしっかり描かれているので、演じる身として、気持ちの持っていき方や維持の仕方は非常に演じ甲斐のある部分だな…と思ったのが最初の感想ですね。
その上で純粋に作品として、デジールはこの先どうやって絶望を回避していくんだろうと、かなりワクワクしながら読み進めていきました。
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――鈴代さんはいかがでしたか?
鈴代:私も冒頭はかなりインパクトがあって印象に残っています。オーディションの際に原作を読ませていただいたのですが、私はてっきりこの作品はタイムスリップなどせずにラスボスを倒して、「失うものもたくさんあったけどよかったね」と語り合っていた生き残り5,6人のパーティーの話なのかなって思って読み始めたんですよ。
ただ「私の受けるキャラクター、ロマンティカは冒頭で死んじゃってるな、どこで出てくるんだろう」と思っていたら、デジールが13年前に戻って出会うという展開だったので「おー!そうくるか!」と驚きワクワクしましたね。
そうした展開の中で、デジール視点ではロマンティカはかつて共に戦った仲間ですが、13年前に戻ったことで、既にできていたはずのロマンティカとの関係値が一切ないところからスタートしていくので、ロマンティカ視点ではデジールを知らない状態で演じなくてはいけないという部分が難しかったなと思います。
――デジールや読者的には将来の戦友ということは分かっているのに、当のロマンティカは知らないということですよね。
鈴代:そうなんです。鈴代は知ってるけどロマンティカは知らないみたいなところが切ないというか、もどかしいというか。
自分自身は原作読んでいるから知っていることを、演じるキャラクターとしては知らない体で演じること自体はもちろん他の作品でもありますが、この作品ではより一層そのもどかしさを感じたなと思います。
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――藤原さんがいかがでしたか?
藤原:私もお話の冒頭部分が印象的でした。世界が救われたと安堵したところから一気に絶望に突き落とされるので、本当にずーんと衝撃を受けてしまって、最初から作品にどっぷりのめり込んでしまいました。
先ほど寺島さんもおっしゃっていたんですけど、デジールが13年前に戻ってきた際の絶望感がすごく心にぐっと来たっていうか、それを抱えながら、また同じ絶望を繰り返さないようにもがき葛藤するデジールの姿自体にすごく惹かれました。
その先デジールがどう展開を変えていくかもわからないし、それで世界を救えるのかもわからないし、不安とワクワクの両方を最初の時点でたくさん感じられたので、「これは楽しくなりそうだな」と思って、台本もいただいた時点でどんどん読み進めてしまいました。
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――本作品は今注目が集まる韓国のWEBTOON(SMARTOON)が原作ですが、日本発の一般的な横読みマンガ原作との違いを感じる部分はありますか?
鈴代:吹き出しの入れ方は特徴的でしたね。
寺島:枠外とか空白のところに吹き出しが置いてあることが多くて、そういった部分は僕らが読んで育ってきたマンガとは全然違いましたね。あと全部色がついてました。
藤原:確かに、フルカラーでしたね。吹き出しの部分含め、ちょっといつもと違うので新鮮でした。
寺島:縦読みということで画面構成も全然違うし、ページをめくるという動作がない分「流れ」を感じやすい形なのかなと思いました。作りとしてはアニメに近いと言いますか。
藤原:なんかコミックなのに、映像を見ている気持ちになりましたよね。
エネルギー源の一つがネガティブで暗いもの
――次は皆さんが演じられるキャラクターや演技について伺いたいのですが、寺島さんはデジールをどのように演じられましたか?
寺島:主人公ということで、各話の盛り上がりの部分に「決め台詞」が多いんですけど、そこを決めすぎないように意識して演じさせていただきました。
元々僕はどうしても決めすぎてしまう癖があるみたいで、「ヒロイック」になりすぎないようにというディレクションを受けたのが印象に残っています。デジールは純粋無垢な正義感を持つヒーローというよりは、第1話で世界を滅ぼしてしまったボロミア・ナポールに対する恨みといいますか、ネガティブなエネルギー源っていうのを持って演じる必要があると気付いたのはすごく印象的でしたね。
暗かったり重かったり、復讐に近いモチベーションというか、その思いが向かっていく先はポジティブな未来で、みんなを守りたい、世界を救いたいっていう思いはあるのですが、そのエネルギー源の一つがネガティブで暗いものだというのは、言われてみればそうだなと現場に行くまで気づかなかったことでした。
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――鈴代さんが演じられるロマンティカはいかがでしょうか?
鈴代:ロマンティカは、彼女のツンツンしている部分と可愛らしい部分はメリハリつけてやっていいよとのことだったので、そこを意識しながら演じさせていただきました!
結構キャラを立たせて演じたといいますか、遊ぶところは遊ばせていただいたのですが、キャラを守ったうえで遊ばなきゃいけなかったのが特にロマンティカは難しかったなって思います。ベースが可愛い子なので、本人として特に何も意識せずふるまった結果、周りの人が「可愛い」と思うようなキャラクターといいますか、自分から可愛くしようとしてないところが可愛いみたいな、そこの塩梅をすごい楽しく演じさせていただけたかなと思います。
――ぶりっこではダメってことですよね。
鈴代:そうですね。結構ぷりぷりすることも多いのですが芯がちゃんと通ってる子なので、当たりが強い部分も含めて見守ってあげてたいというか、見ていてすごい元気をもらえる子だなと思います。
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――藤原さんはプラムをどのように演じられましたか?
藤原:オーディションの際に資料に書いてあったプラムがすごく表情豊かで、中でも可愛らしい表情がたくさんあったので、その可愛らしさが伝わるように演じることは意識していました。
またプラムは剣士として戦う時は一気に顔が凛々しくなったりするので、そのギャップといいますか、切り替えみたいなものは非常に意識していましたね。
プラムのような可愛らしい男の子というキャラクターを演じる機会がなかなか無かったので、結構いろんなことにチャレンジさせていただきました!
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キャスト陣の13年前の後悔は…?
――本作は、世界滅亡直後に主人公デジールが13年前に戻るところから始まるお話ですが、皆さんは13年前どんなことをされてましたか? 今から13年前なので、2010年になります。
藤原:2010年だと…高校生ですね!え、13年前高校生か!
寺島:2010年高校生なの!?
藤原:高校生みたいです、自分でも驚きました(笑)
鈴代:私は中学生ですね!
一同:中学生!?
――となると、藤原さんと鈴代さんはまだデビュー前でしょうか?
藤原:そうですね、声優を目指そう!と思ったぐらいの時期かもしれません。
鈴代:私もそうですね!
寺島:え!中学の時にはもう声優目指してたの?
鈴代:はい、中学の時から目指してました!
藤原:今もですが、あの頃もアニメがすごい盛り上がっている時期でしたもんね。寺島さんはもう当時から大活躍されていました。
寺島:大活躍はしてないよ!でも当時出演していた作品を改めて見てみると、なんだか楽しそうといいますか、めっちゃ嬉しかった思い出のある作品がいっぱいありましたね。
藤原:私、寺島さんが出演されていた作品も見て育ちました!
鈴代:私も、同級生とみんなでその主題歌を歌ってたりしました!
寺島:嘘…すっごい変な汗かいてる(笑)
――それはすごいですね!そんな13年前に戻ったとしたら、皆さんは何かやり直したいことはありますか?
鈴代:もっとちゃんと勉強しておけばよかったなと思います。世界史とか英語とか。
寺島:それは思うよね、今になると特に思う。
――なぜそう思われたのですか?
鈴代:例えば歴史を扱う作品に出演するときは、前段階としてちゃんと歴史のことが頭に入っているかどうかで、作品の世界観に入り込む速さが変わってくるんですよ。そういう作品の場合、歴史のことを知らないと演じられないので、歴史の基礎的な知識が頭に入っていればもっと早く演技の方向性など他のことに時間使えたのにーみたいになります。
学生時代はあんなに時間あったはずなのに、歴史の知識はほぼ何一つ覚えてないという(笑)
寺島:本当にそれ!
藤原:お芝居するにあたってこう、勉強もそうですし、取り入れておいて悪いものはないというか、なんでもやっといて損はないですよね。
学校生活もそうですよね。私は学生の時にしかできないような楽しいことをもっとその時にやっておきたかった。旅行とか沢山いって「いえーい!」ってはしゃぎたかったですね!あとは何かスキルを身に付けるような習い事とかもやっておけばよかったなと思います。
――寺島さんはいかがですか?
寺島:やり直したいことといいますか…分からないことを「分からないので教えてください」と昔から言えてたらもうちょっと違ったのかなって思います。
藤原:めっちゃわかります...!
寺島:役のディレクションもそうですし、日常生活もそうですし、やっぱり基本的に分からないことはちゃんと聞いて調べて、分からない部分を埋めていかなきゃいけないんだなってしみじみと思います。今だからこそ、わかっているようで実はわかっていないことっていっぱいあるなって感じています。
――確かに…でもわからないことでも「はい!」って素直にやってくれると周りもありがたいですよね。
寺島:そうなんですよ、それでいいことももちろん沢山あるんですけどね。ただ今思うと自分のためにもちゃんと聞いておけばよかった、という反省でした。めちゃめちゃ真剣な反省しちゃいましたが(笑)
――ありがとうございました。最後にアニメで期待してほしいこと、またはご自身が楽しみにされていることをおしえてください!
藤原:第1話を見させていただいたんですけど、本当にキャラクターの動きがダイナミックで迫力があったので、それを全話通して見たいというのはすごく思っています!ほんとにすごかったんですよね。
――原作でも見ごたえありそうなシーンも多かったですもんね。
藤原:はい。対モンスターであったり、対人間であったり、これから色んなバトルシーンがあると思うので、相手によってどんなダイナミックさが表現されるのだろうかという部分が楽しみです!
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寺島:僕が楽しみなのは音楽です。1話を見させていただいて、学園シーンの中の音楽が印象的だったんですよね。
この作品は世界滅亡というシリアスなところから日常生活のコミカルなところまで、展開がビビットにアップダウンしていくので、バトルシーンのようなストーリー的な山場ではないシーンで、どういう風に劇伴(BGM)によって世界が彩られていくのかなっていう意味で音楽は楽しみですね。
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鈴代:デジール、ロマンティカ、プラムを中心とした展開ももちろん注目していただきたいと思いますが、デジールが出会う他の人物との出会いも楽しみにしていただきたいなと思います。全話通してより関係性が変わるキャラクターも出てくるので、その人との出会い、やりとりなんかもぜひ注目していただけたらなと思います!
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ストーリーやバトルシーン、音楽などキャストも大注目のTVアニメ『帰還者の魔法は特別です』は2023年10月7日(土)より放送&配信開始する。お見逃しなく!
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TVアニメ『帰還者の魔法は特別です』
2023年10月7日(土)24:00~
TOKYO MXほかにて放送開始
■スタッフ
原作:Usonan、Wookjakga(D&C WEBTOON Biz. 発行)
監督:川口太詩
シリーズ構成・脚本:鴻野貴光
キャラクターデザイン:加藤裕美
美術監督:岩瀬栄治
美術補佐:蒲昌浩
美術デザイン:金平和茂、平澤晃弘、奥村泰浩、藤瀬智康
プロップデザイン:橋口翔太郎
色彩設計:松山愛子
撮影監督:今泉秀樹
編集:兼重涼子
音楽:東大路憲太
音響監督:濱野高年
音響効果:小山恭正
音響制作:マジックカプセル
アニメーション制作:アルボアニメーション
■キャスト
デジール・アルマン:寺島拓篤
ロマンティカ・エル:鈴代紗弓
プラム・シュナイザー:藤原夏海
アゼスト・キングスクラウン:瀬戸麻沙美
2023年10月7日(土)24:00~
TOKYO MXほかにて放送開始
■スタッフ
原作:Usonan、Wookjakga(D&C WEBTOON Biz. 発行)
監督:川口太詩
シリーズ構成・脚本:鴻野貴光
キャラクターデザイン:加藤裕美
美術監督:岩瀬栄治
美術補佐:蒲昌浩
美術デザイン:金平和茂、平澤晃弘、奥村泰浩、藤瀬智康
プロップデザイン:橋口翔太郎
色彩設計:松山愛子
撮影監督:今泉秀樹
編集:兼重涼子
音楽:東大路憲太
音響監督:濱野高年
音響効果:小山恭正
音響制作:マジックカプセル
アニメーション制作:アルボアニメーション
■キャスト
デジール・アルマン:寺島拓篤
ロマンティカ・エル:鈴代紗弓
プラム・シュナイザー:藤原夏海
アゼスト・キングスクラウン:瀬戸麻沙美
(C)A Returner's Magic Should Be Special Animation Partners