「地球外少年少女」藤原夏海×和氣あず未「今にも消えてしまいそうな存在をつなぎ止めたい」互いの名前にこめた優しさ【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

「地球外少年少女」藤原夏海×和氣あず未「今にも消えてしまいそうな存在をつなぎ止めたい」互いの名前にこめた優しさ【インタビュー】

2022年1月28日より前編の劇場上映・配信がスタートする『地球外少年少女』より、主人公の相模登矢役を演じる藤原夏海さんと、その幼なじみの七瀬・Б・心葉役を演じる和氣あず未さんの対談インタビューをお届け。

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「地球外少年少女」藤原夏海×和氣あず未インタビュー
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  • (C)MITSUO ISO/avex pictures・地球外少年少女製作委員会
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2022年1月28日より前編の劇場上映・配信がスタートする『地球外少年少女』。『電脳コイル』を手がけた磯光雄監督の最新作として注目を集めている。

物語の登場人物は、宇宙に作られた日本の商業ステーション「あんしん」で過ごす少年少女たち。中でも主人公の相模登矢と、その幼なじみの七瀬・Б・心葉は人類初の月で産まれた子どもたちだ。

同じ故郷を持ち、ともに命の危機に直面している登矢と心葉。登矢役の藤原夏海さんは「心葉をここにつなぎ止めたい」とセリフに想いを込めたという。対する心葉役の和氣あず未さんは「お母さんのような雰囲気」で登矢を見守っていたようで?

本稿ではそんな藤原さんと和氣さんの対談をお届け。オーディションの裏話や役への印象、そして共演シーンでセリフに込めた感情についてたっぷりと語っていただいた。

[取材・文:ハシビロコ 撮影:吉野庫之介]



オーディション後に監督から意外な質問が?


――お2人の役はオーディションで決まったとうかがいました。オーディションの様子や手応えはいかがでしたか。

藤原:オーディションの時点で細かなディレクションをいただけたことが印象的でした。登矢は難しいキャラクターでもあったので手応えとしては50%くらいで…。それでも、自分にできることはやりきったつもりでした。

あとはオーディション会場から帰ろうとしていたとき、磯監督に「藤原さん、宇宙は好きですか」と話しかけられたことをよく覚えています。「なにか試されているのでは!」と一瞬身構えましたが、人並みに宇宙に興味がありプラネタリウムも見に行ったことがあったので、正直に「好きです」と答えました。

もしこのときのやりとりもキャスティングの決め手になっていたとしたら、ひと安心です。まさか監督に話しかけていただけるとは思っていなかったので嬉しかったですし、オーディションの結果にも淡い期待を抱いていました。



和氣:藤原さんはスタジオでのオーディションだったのですね! 私は録音した声だけを送るテープオーディションだったので、藤原さんのお話を聞いて驚きました。その場で監督たちの反応があったわけではないので、手応えはまったくわからなかったです。自分の中で最大限の解釈で演じつつも、「この演じ方でいいのかな?」とドキドキして結果を待っていました。

心葉のキャラクタービジュアルを見たとき「そこまで感情が表に出るタイプではないな」と思って。基本は淡々としつつ、シリアスなシーンのセリフはきちんと相手に投げかけるように意識しました。



――役が決まったときの心境はいかがでしたか。

和氣:演じ方の方向性が合っていてほっとしました。元気なキャラクターであれば求められているテンションがわかりやすいのですが、心葉のように淡々とした中に感情が垣間見えるキャラクターは、演じ方のさじ加減が作品によって違うので難しいんです。

2020年に役が決まり、収録は2021年3月から。アフレコが始まるまでの期間も「これから心葉がどこまで変わっていくのかな」とわくわくしていました。

藤原:役が決まったときは、とてもびっくりしました! 私も「あの演技の感じでよかったんだ」と安心して。とにかく早く登矢について知りたい、と思いました。オーディションでいただいた資料では登矢が不機嫌そうな表情ばかりしていたので、「どうしてこんなに暗い顔なんだろう」と第一印象を抱いていたんです。



――アフレコが進むにつれ、役の印象は変わりましたか。

藤原:変わりました。作中では地球人を一方的に毛嫌いしていた登矢が、だんだんとみんなを引っ張っていく立場に変わっていきます。すると登矢の心も成長して、これまで遠ざけていた存在を真っ正面から受け入れていこう、と演じ方が変わっていったんです。

和氣:心葉の印象も、アフレコを重ねるうちに変わっていきました。第2話に登場する「登矢くんがご迷惑をおかけしていたらすみません」というセリフは、オーディションではあまり笑顔を作りすぎずに言っていました。

でも本番のアフレコでは「お母さんのような雰囲気で」「もっと笑顔を足してもいい」などのディレクションをいただいて。私が最初に想定していたよりも心葉は感情を表に出せる子なのだと気づきがありました。

今後公開される後編でもさらに心葉の感情が表に出るシーンがありますし、短い時間の中で心がどんどん強くなっていくので楽しみにしていてください。



お互いの名前に込めた、かけがえのない気持ち


――登矢から見た心葉、心葉から見た登矢はどのような人物だと感じましたか。

藤原:心葉は登矢にとって、今にも消えてなくなってしまいそうな大切な存在です。2人とも頭に埋め込まれたインプラントが不具合を起こしていますが、心葉は事態がさらに深刻で、もしかしたら先に命を落としてしまうかもしれない。登矢は常にそんな焦りを感じています。物語後半のあるシーンでは心葉を失いたくないので、ただただ引き留めようとする気持ちを「心葉」と名前を呼ぶような短いセリフにもたくさん詰め込みました。

また、心葉は月生まれの子どもたちと地球生まれの子どもたちの架け橋のような存在でもあります。登矢が言葉足らずで誤解されがちな部分を、きちんと説明してくれるんです。月生まれの子どもたちと地球人との交流がうまくいくように行動してくれるとても大事な存在だと、とくに中盤から強く感じるようになりました。



和氣:登矢は基本的にはしっかりしていますが、素直になれない部分もとても多いキャラクターです。心葉のために声をかけたり行動を起こしたりしてくれるけれど、心葉としては「そんなことをしたら怒られちゃうよ」と少し冷静に見ています。

実は私、登矢を藤原さんが演じると聞いて、すぐにキャラクターの声が思い浮かんできたんです。以前藤原さんが少年役を演じているほかの現場で共演したことがあり「こんなにも小柄な人から少年の力強い声を出せるなんてすごい!」と思っていました。だから登矢役にもぴったりだと、アフレコに行く前から安心感があって。1話の冒頭で登矢がベッドから転がり落ちる一言を聞いただけで「登矢がここにいる!」と実感しました。

藤原:ありがとうございます! とても嬉しいです!

和氣:登矢が必死にひとつひとつのお芝居をしてくれているからこそ、心葉が冷静に言葉を返してもバランスがよくなります。とくに「登矢くん」と名前を呼ぶときは精神年齢を少し上にして、お姉さんやお母さんのように演じました。たしなめられて登矢がすねているところを「かわいいなあ」と心葉はいつも優しく見守っています。



「普段はどう振る舞う?」求められた自然体の演技


――アフレコではお2人一緒に収録をしたのでしょうか。

和氣:スケジュールが合う限り、私と藤原さんは一緒にアフレコをしました。序盤は那沙・ヒューストン役の伊瀬(茉莉也)さんも一緒でしたが、ほかのキャストさんとは別々の収録になることが多かったです。

――アフレコについて、公式サイトの和氣さんのコメントに「時間をかけて収録していただきました」とありました。とくに印象的だったディレクションを教えてください。

藤原:自然さを求められたことが印象に残っています。私は演技に感情を込めすぎてしまうことが多かったので、音響監督の清水(洋史)さんから「普段の藤原さんならどんな振る舞いをする?」とご指摘をいただいて。あくまでも自然な表現を求められる作品だと感じました。

あと登矢は無愛想ですが、根は優しい子なので「嫌な子にはしたくない」と言われて。命の危険を間近に感じているので、登矢の内面には孤独や寂しさもあります。その一方で言葉が攻撃的なので、勢いよく言うとどうしてもキツく聞こえてしまう。無愛想さと優しさなど、複雑に入り交じった感情のさじ加減が最初は難しかったです。言葉の細かなニュアンスは最初から最後まで意識しています。

登矢の相棒であるドローンのダッキーを演じたときも、自然体を求められました。最初の頃は知能が低いダッキーですが、物語が進むにつれて少しずつ変化が見えていきます。そんなときに、つい芝居のテンションが上がりすぎてしまって……。「藤原さんが今『はい』と返事をしたときの、そのテンションで演じてください」と言われました。

和氣:私は「もう少し感情を出していいよ」とディレクションをいただきながら、徐々に心葉を作り上げていきました。

あとは登矢が自然体の演技を求められている場面を私も聞いていたので、「心葉ももっと自然体にしなきゃ」と思っていたんです。だから最初は弱々しく演じてしまって「和氣さんはただでさえ儚く見えるから、もう少し生命力を上げても大丈夫です」と言われました。

とくに難しかったのは、第3話で心葉が「私、もうすぐ死ぬのかな」と言うシーン。もし自分が心葉と同じような立場だったら、どうしても死への恐怖や絶望を感じてしまうだろうと解釈していました。だから最初は声を震わせながら、苦しさが伝わるような演技をしていたんです。

でも「自分の死を受け入れて達観している感じで演じてください」と言われたので、ぽつりとつぶやくように変更しました。私が自然に感じる気持ちとはまた違った、心葉なりの感情を意識しています。

後編でも心葉が死について語るセリフがあり、恐怖をあまり乗せず死を受け入れているようなお芝居をするように求められました。音響監督さんに言っていただいた「私らしい儚さ」は残しつつ、心葉の達観した感情も伝わるようにバランスを意識しながら演じています。

いつか来るかもしれない未来や宇宙を楽しんで


――最後に、本作を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

藤原:最初は地球人たちにいい感情を抱いていなかった登矢ですが、彼らと時間をともにするうちに彼自身も変わっていきます。周囲を徐々に認めて受け入れていく、登矢の成長をぜひ見届けていただきたいです。見どころはとてもたくさんあるのですが、登場人物たちの感情の動きに注目してみてください。

また、『地球外少年少女』の舞台となっている宇宙の描写も楽しんでほしいです。私がもし「あんしん」に行ったら、宇宙食の自動販売機や温泉を使ってみたいと思いました。

「地球を眺めながら温泉に入ることができるなんて夢のようじゃないか!」と、収録が終わった今でもわくわくしています。いつか現実になったら絶対に体験してみたいです!

そして宇宙に興味のある方はもちろん、今まで宇宙をあまり知らなかった方でも楽しめる作品ですので、この作品を見たことで宇宙のことに少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです!





和氣:この作品には宇宙の魅力がたくさん詰まっています。宇宙食の自動販売機はもちろん、無重力体験が本当にうらやましくて。「あんしん」にやってきた子どもたちがぷかぷか浮いている姿を見て、「私もやってみたい!」と感じました。

宇宙は果てしない世界で、まだわかっていないことがたくさんあります。今後は月で生まれる子どももいるかもしれませんし、AIがパートナーとなる未来もいつか絶対に来るはずです。今はまだ難しいかもしれませんが、いつか子どもたちだけでも安心して宇宙に行ける未来がやってくると信じています。私も来世に期待したいです!

心葉としては後編でさらに意思を強く込めた言葉や行動を見せるシーンもあるので、後編もぜひ見ていただきたいと思っています。AIとパートナーの関係性にも注目してみてください!





目を輝かせながら「あんしん」で実現したいことも語ってくれた藤原さんと和氣さん。じっくりと言葉を選んで役への思い入れを口にする姿にも、内に秘めた熱量がにじみ出ていた。

『地球外少年少女』前編は1月28日より、後編は2月11日より各2週間限定で劇場上映予定。劇場公開限定版Blu-ray&DVDが同時発売、Netflixにて世界同時配信もスタートする。登矢や心葉たちがくり広げる宇宙での冒険をぜひ目撃してほしい。

オリジナルアニメ『地球外少年少女』
1月28日(金)前編、2月11日(金)後編、新宿ピカデリー他にて各2週限定劇場上映
劇場公開限定版Blu-ray&DVD同時発売
Netflixにて世界同時配信

<スタッフ>
原作・脚本・監督:磯 光雄(「電脳コイル」)
キャラクターデザイン:吉田 健一(「交響詩篇エウレカセブン」シリーズ、「ガンダム Gのレコンギスタ」他)
メインアニメーター:井上 俊之(「電脳コイル」、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」他)
美術監督:池田 裕輔
色彩設計:田中 美穂
音楽:石塚 玲依
音響監督:清水 洋史
制作:Production +h.
配給:アスミック・エース/エイベックス・ピクチャーズ
製作:地球外少年少女製作委員会

<キャスト>
相模登矢:藤原夏海
七瀬・Б・心葉:和氣あず未
筑波大洋:小野賢章
美笹美衣奈:赤崎千夏
種子島博士:小林由美子
那沙・ヒューストン:伊瀬茉莉也 ほか

<主題歌>
春猿火(KAMITSUBAKI RECORD)「Oarana」
作詞・作曲:Vincent Diamante

<上映劇場>
【東京】新宿ピカデリー・MOVIX亀有・立川シネマシティ
【神奈川】川崎チネチッタ
【千葉】京成ローザ10
【埼玉】MOVIXさいたま
【愛知】ミッドランドスクエアシネマ
【大阪】なんばパークスシネマ
【兵庫】MOVIXあまがさき
【京都】MOVIX京都

<配信>
Netflixにて世界同時配信(1-6話全話一挙配信)


(C)MITSUO ISO/avex pictures・地球外少年少女製作委員会

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