「ダンメモ」“過去最大のボリューム”で綴られる4周年イベント―原作者・大森藤ノと開発Dが語る「アエデス・ウェスタ」誕生秘話【対談インタビュー・前編】 | アニメ!アニメ!

「ダンメモ」“過去最大のボリューム”で綴られる4周年イベント―原作者・大森藤ノと開発Dが語る「アエデス・ウェスタ」誕生秘話【対談インタビュー・前編】

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~』4周年イベント「偉大冒険譚 アエデス・ウェスタ」は如何にして作られたのか?

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TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)』のスマートフォン向けRPG『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~(ダンメモ)』内において、リリース4周年を記念したイベント「偉大冒険譚 アエデス・ウェスタ」が配信されている。


本イベントは、原作者・大森藤ノ先生原案・完全プロデュースのオリジナルシナリオだ。3周年記念のイベント「偉大冒険譚 アストレア・レコード」を超える大ボリュームで、全3部で構成され、そのうち第1部と第2部がすでに配信中だ。

今回、完結編となる待望の第3部配信直前に、大森藤ノ先生と『ダンメモ』開発ディレクターの中野Dによる、本イベントの見どころや制作秘話の対談を前後編に分けてお届けする。なお、本記事では第3部のネタバレはなしとなっている。

前編となる本記事では、「アエデス・ウェスタ」制作の経緯と、『ダンメモ』制作チームの貢献、大森先生の創作術などについて語ってもらった。

ネタバレ有りで語る対談インタビュー・後編

◆出し惜しみなしでひたすら面白いものを突き詰めた


――『ダンメモ』4周年おめでとうございます。今回も大ボリュームのシナリオですが、大森先生は周年イベントのシナリオを執筆される際、いつもどんなことを大事にしているのですか。

大森:あまり難しいことは考えず、ひたすら面白いものを突き詰めているのですが、アニバーサリーはやはり大きな節目ですので、他の季節イベントとは一線を画すものを作ろうという共通認識を持ってやっています。

――開発ディレクターの中野さんは、今回のシナリオを読んで率直にどんな感想を持ちましたか。

中野:周年は毎回ですがクオリティが高いことはもちろんのこと、『ダンまち』世界の新情報がたくさん入っていて、ここまで『ダンメモ』でやってくれるんですかと驚かされます。特に今回は最新刊にも関わるようなネタもあるので、その分、こちらも良いものに仕上げねばと責任の重さも強く感じました。

――確かに、本編にも関わるような重大な情報がゲームオリジナルのエピソードで盛り込まれることも多々ありますね。『ダンまち』メディアミックスの中で『ダンメモ』はどんな位置づけなのでしょうか。

大森:位置づけなどはそれほど意識しないようにしています。一周年記念イベントのシナリオを書いた時から、出し惜しみはしないと打ち出していましたが、その気持ちのままここまで来ているだけなんです。

もちろん、小説やアニメではできないことをやろうと常に考えていますが、小説で回収すべきネタは小説でやりますし、逆に小説で回収しきれないネタをゲームでできるので、私自身もそういうことができる場として『ダンメモ』に期待している面がありますね。

――今回のイベントは、ヘスティア・ファミリアの物語となりましたが、どんな風にストーリーを決めたのですか。

中野:2周年、3周年と過去の話が続いたので、このまま過去の話が続くのかなと思わせて、敢えてベルたちの話をやるといいのではないか、という感じでしたね。それに、今年は『ダンまち』のアニメの放送がありませんから、そのぶん、ゲームの方でベルたちの話をやる意義もあるかなという想いもありました。

大森:そうでしたね。ゲームスタッフさんからもヘスティアたちの物語が観たいという声も大きかったですし、それなら、私も腹をくくってやるしないなと。

中野:色々なメディアで『ダンまち』は輝いていますが、それが上手く響き合うように、微力ではあるのですが『ダンメモ』がどう貢献できるのかをディレクターとして常に考えています。


――「アエデス・ウェスタ」の舞台はオリンピアですが、これは最近あった世界的な大会を特別に意識しているものではないですよね?

大森:実は3周年イベント「アストレア・レコード」の対抗馬にオリンピア関連も候補に上がっていたんです。内容の良さで「アストレア・レコード」が採用されたため、4周年はオリンピアもありではということになりました。

――他メディアとのかかわりという点では、今回の物語は『劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか オリオンの矢』とのつながりが強いですね。

大森:そうですね。私がアルテミスに未練たらたらで、自分にとって大切なキャラクターになっていたんです。ベルにとっても大切な存在で、アルテミスはヘスティアやアイズとは違う、喪失の象徴で、その想いを掘り下げたかったんです。あと今回のヘスティアの境遇がアルテミスそっくりというのもあって、重ね合わせて描きたいなと思っていました。


それと、劇場版のラストで、『矢』の欠片が宿ったヘスティアナイフでアルテミスを貫くというシーンをこだわって入れてもらったんですが、あれはこの先どこかで回収できるといいなと思っていて。それを今回のシナリオで収穫させてもらいました。伏線というより、「いつか花が咲けばいいな」と種を撒いておいたイメージですね。それこそ原作小説の本編が終わった後の物語に使おうかな、とぼんやり考えていました。

◆『ダンメモ』はスタッフのアイデアで化学反応がどんどん起きる


――4周年イベントの主題歌は、ヘスティアが歌う『Vesta』ですね。これはどんな経緯で制作されたのですか。

中野:2周年の「アルゴノゥト」の時に井口裕香さんに歌ってもらい、3周年はリューがメインの物語なのでリューの曲にしました。今回は、やはりヘスティアの曲にすることになり、先生からもこういうタイプの曲がいいんじゃないかと意見をいただき、イメージをすり合わせていきました。主題歌の制作チームには、大まかなあらすじやテイストなど、発注資料をお送りしています。他にも、アニメ『ダンまち』のプロデューサーの方にも間に入ってもらって、『ダンまち』の世界観を壊さないように心がけています。


――主題歌があるとやはり世界観が広がりますね。

大森:そうですね。毎回PVには助けられています。

中野:今回の主題歌は、発注段階では、ウェスタのキャラクターがまだ掴めていない段階で、どんなしゃべり方をするのかもまだ決まっていない状態だったので難しい面がありました。主題歌はヘスティアの歌ということになりましたが、ウェスタの心情を含めてどんな感情なのかを先生と相談して作っていきました。

歌つながりで言うと、今回のストーリーの第1部でイリアがヘスティアを合唱で歓待するシーンが出てきますけど、あの歌は弊社のサウンドチームが作曲してくれたんです。これは自分が指示したわけじゃなく、スタッフがアイデアを出してくれたものです。こんな感じでいつもスタッフ1人ひとりがアイデアを出し合いながら、大げさな言い方になりますが、総合芸術だと思ってゲーム作りに取り組んでいます。


大森:おっしゃる通り、スタッフみなさんの化学反応がどんどん起きるのが『ダンメモ』の良いところですね。私はシナリオに演出面についてもうるさく書き込んでしまうのですが、いつもスタッフさんが作ってくれるものは120%の出来になっていて、すごく嬉しいです。特に今回は第2部のスチルの使い方に感動しています。自分の中では完璧ですね。

――総合芸術という話も出たので、今回の新衣装についてもお聞きします。今回はどんなコンセプトで衣装を考えられたのでしょうか。

中野:プロットでオリンピアに行くことは決まっていたので、船旅用の衣装を考えていたのですが、正装っぽい感じにすると面白いですねという話になって、大森先生から「使節団はどうですか」とまとめていただいて、デザインを進めました。

大森:シナリオでは服の描写はできないし、私もベルたちが何を着ているのかは考えていなかったので、この辺りはアートチームの方と話し合いました。

中野:かなりの量のデザイン案をアートチームから出してもらって、その中から先生に使節団のイメージに近いものを選んでいただきました。それにヘスティア・ファミリアのイメージカラーのブルーを全キャラの衣装に入れると統一感が出ていいのではないかという意見が出てきて、結果このようなデザインになりました。


――この物語は、ヘスティア・ファミリアの絆も重要ですから、衣装に統一感があるとその絆もより強く感じられますね。

大森:これも化学反応で、アートチーム中心にアイデアをたくさん出していただいたおかげです。

中野:ゲームなら、アニメには登場しない様々な衣装を出すことができますし、これからも衣装でキャラクターの新しい一面を見せていきたいです。


――今回、イリア役の佐倉綾音さん、エトン役の江口拓也さん、アフロディーテ役の大久保瑠美さんが初参加されています。キャストはどのように決まったのですか。

中野:基本は、音響チームから候補を挙げていただき、先生と相談して決めています。さらに、キャストに詳しいスタッフに議論に加わってもらっています。そういう熱意のある人がまとめていった方が良い結果が出やすいんです。大久保さんについては大森先生からご提案いただきました。

大森:私のブレーンのような存在に大久保さんを教えてもらったのですが、アフロディーテのイメージにピッタリだったので、今回推薦させてもらいました。キャスティングに関しては、アニメのプロデューサーさんの意見もすごく重要ですね。


――『ダンメモ』は豪華キャスト陣によるフルボイスも魅力の一つですが、新キャラクターが出る時、どなたかをイメージして書かれることはあるんですか。

大森:キャストさんありきでキャラクターを考えることはあまりないですね。でも、キャストさんの芝居を見て私が影響されることはあります。収録に立ち会う度に、お芝居が言葉にできないくらいすごくて、私の書いたものを上回っていて。素晴らしい方たちに演じていただいて、嬉しい気持ちと悔しい気持ちが常に半分ずつあります。

中野:『ダンメモ』のシナリオは、特別感があるとキャストさんによく言われるんです。『ダンメモ』はボイス数が多いし、キャラクターをかなり掘り下げてくれるので演じがいがあるみたいですよ。

大森:そう言っていただけるのは本当にうれしいですね。

◆大森先生のゲームに対する解像度はかなり高い


――お話を聞いていると、大森先生とゲームスタッフ側で本当に良い関係が築けているのが伝わってきます。

大森:遠慮なくやらせてもらっていますけど、いつも無茶ぶりばかりで申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも、多分これからも無茶ぶりするんだろうなぁって……ごめんなさい!

中野:我々としては、『ダンメモ』が先生のイメージを具現化できる場所になればいいと思っています。先生はみんなでモノ作りするのがお好きだと私は感じていて、先生が伸び伸びと楽しめることが、ファンの喜びにもつながると思って取り組んでいます。

大森:小説は基本孤独な作業なので、アニメやゲームはみなさんと意見を闘わせて作れるのが自分としても大きな経験値になっていますし、そのおかげで楽しんでやれています。

中野:大森先生は、ゲームに対する理解の解像度が高くて、いつも驚かされます。例えば、「ここで数万の敵が列をなして登場する」みたいな実装できないことを書いてしまうゲームライターさんもいるんですけど、大森先生の場合、そういうことが全然ないんです。ゲームに対して必要なテキストを書くということが徹底されていて、毎回感動しています。

大森:ありがとうございます。1周年イベントをやるまでは私も迷走していてトライアル&エラーの繰り返しでした。でも、なんとか4年目までやってきた経験が、中野さんのおっしゃるゲームの理解度につながっているのかなと思います。

――ありがとうございます。最後にイベント3部の配信を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。

大森:ついに第3部もスタートしますので、是非楽しんでください。私もゲームをプレイしている一人として、すごく楽しみにしています!

中野:「アエデス・ウェスタ」は間違いなく過去最大のボリュームのシナリオで、3部もすごく熱い物語になっていますので、ゲームをお休みされている方も是非、この機会に復帰していただけると嬉しいです。


“大森先生のイメージを具現化できる場所”という話があったが、原作やアニメ以外でもこうした場作りを意識した『ダンメモ』という作品があることにより、『ダンまち』の世界は更に拡がりを見せていくことができる。それはファンにとって何よりうれしいことであるし、その意識は4年間に渡り良質なコンテンツを供給し続けるための秘訣だったのかもしれない。

対談後編では、今回の4周年シナリオを「ネタバレあり」で紐解いていく。こちらもぜひ楽しみにしてほしい。

ネタバレ有りで語る対談インタビュー・後編
《杉本穂高》
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