ドロヘドロ、ゾンビランドサガ…アニメスタジオ・MAPPA、ヒット作の裏にある“手のかかること”をやる精神【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

ドロヘドロ、ゾンビランドサガ…アニメスタジオ・MAPPA、ヒット作の裏にある“手のかかること”をやる精神【インタビュー】

アニメサイト連合企画「世界が注目するアニメ制作スタジオが切り開く未来」の第22弾は、「MAPPA」より現社長の大塚学さんと制作部の部長を務める野田楓子さんに話を聞いた。

インタビュー
注目記事
野田楓子氏、大塚学氏
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  • 『LISTENERS リスナーズ』(C)1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS 製作委員会
  • 「MAPPAのスタジオ」その1
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  • 『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(C)2019 こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
アニメサイト連合企画
「世界が注目するアニメ制作スタジオが切り開く未来」

Vol.22 MAPPA

世界からの注目が今まで以上に高まっている日本アニメ。実際に制作しているアニメスタジオに、制作へ懸ける思いやアニメ制作の裏話を含めたインタビューを敢行しました。アニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」、Facebook2,000万人登録「Tokyo Otaku Mode」、中国語圏大手の「Bahamut」など、世界中のアニメニュースサイトが連携した大型企画になります。

全インタビューはこちらからご覧ください。



MAPPA代表作:『この世界の片隅に』、『坂道のアポロン』、『残響のテロル』、『ユーリ!!! on ICE』、『神撃のバハムート GENESIS』、『ゾンビランドサガ』、『どろろ』、『BANANA FISH』 、『ドロヘドロ』、『LISTENERS』 などがある。

2011年に、マッドハウスを退職した丸山正雄氏が、70歳のときに設立したMAPPA。
設立翌年に、『坂道のアポロン』や『てーきゅう』など、立て続けにTVシリーズを手がけ、独自性とクオリティの高さで注目を集めたスタジオだ。

2016年4月には、設立メンバーの大塚学氏が2代目社長に就任。同年、クラウドファンディングで制作資金を調達した、片渕須直監督の長編アニメーション映画『この世界の片隅に』を公開。日本国内では最長となる1133日連続ロングラン上映となり、累計動員数210万、興行収入27億円を突破する大ヒット作となった。
その後も片渕須直監督、渡辺信一郎監督、山本沙代監督など、こだわりが強い監督とタッグを組み、次々と良質の作品を生み出していくMAPPA。

その未来予想図を、現社長の大塚学氏と制作部の部長を務める野田楓子氏に語ってもらった。
[取材・文=中村美奈子、撮影=小原聡太]

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『LISTENERS リスナーズ』(C)1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS 製作委員会
2020年4月~6月にかけてオリジナルTVアニメ『LISTENERS リスナーズ』が放送(C)1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS 製作委員会
「MAPPAのスタジオ」
東京都杉並区にあるMAPPAのスタジオ
「MAPPAのスタジオ」その2

「MAPPAのスタジオ」その3

「MAPPAのスタジオ」その4

「MAPPAのスタジオ」その5
社内には、受賞作の賞状やトロフィーが飾られている。

■「世の中にすごいものを出したい」と志を抱く者が集まってできたスタジオ


野田楓子氏、大塚学氏
野田楓子氏、大塚学氏
――スタジオ設立のきっかけはなんでしたか?

大塚:もともとMAPPA(Maruyama Animation Produce Project Association)は、丸山がマッドハウスを退職し、片渕須直監督と『この世界の片隅に』をなんとか世に出すために設立した会社です。
そこに当時丸山と親しくしていた、渡辺信一郎監督も合流し、TVシリーズも制作することになりました。

当時MAPPAに集まったスタッフは、丸山、片渕さん、渡辺さんと一緒に仕事がしたいという人たちばかりでした。僕自身もふくめて。

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(C)2019 こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(C)2019 こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
――設立当初のスタジオの様子はどうでしたか?

大塚:海賊みたいな荒くれ者の集団といいますか(笑)。僕はその前に、STUDIO4°C田中栄子さんの下でやっていたので、カルチャーショックの連続でした。

「とにかく良い作品を作れば、あとはなんだっていいんだ」という古き良き物作りの体質で、細かいことは気にしない。
片渕さんなり渡辺さんたちと一緒に、「世の中にスゴいアニメを出したい」という意欲がある者、そのためにわざわざ会社を辞めてきた人間ばかりだったので、時代に逆走したようなスタートだったと思います。

――マッドハウスの流れを汲む、作画クオリティの高さがMAPPAの特徴でもあると思いますが、創業者である丸山さんから受け継いだものはなんですか?

大塚:「面倒くさいことを言う人の、面倒くさい希望をあえて叶える」という精神ですね。
ハードルは高いかもしれませんが、手の掛かることをやったうえで新しいものが出せたり、自分たちが驚くようなものに辿り着けたりする。

そういう期待に賭けてしまうところは、丸山からも、STUDIO4°Cの田中さんからも受け継いでいます。あのふたりは、その辺が共通していて。僕が目指しているところも、そこにあるのかなと思っています。

野田楓子氏、大塚学氏
――スタジオ設立の目的でもあった片渕監督の『この世界の片隅に』では、監督の要望にどう応えましたか?

大塚:先ほど言った「手の掛かる」の意味は、簡単にいうと「難しいこと、普通ではできないこと」です。片渕監督作品は芝居が細かくて、動画枚数も多くなります。

なぜそうするのか、理由を口で説明してもらって理解はしているんですが、作業工程の中で1カットごとに、監督の意図を理解してついていっているか、要望を全部叶えられているかというと、まだそこに至っていない。片渕さんの脳ミソは、僕たちスタッフよりも随分先に行っているんです。

片渕さんが人生を賭けて辿り着いた境地ですから、僕たち後進が簡単に辿りつけるものではありませんが、とにかく食らいついていこうと必死でした。

2019年9月には、片渕さんと次回作に向けたスタジオとして、株式会社コントレールを設立しましたが、そのあたりをより明確に改善していくことを目的としています。

【関連記事】『この世界の片隅に』片渕須直監督、次回作に向けたスタジオ設立!


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《中村美奈子》
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