大学生となった八神太一をはじめとする「選ばれし子どもたち」の物語が再び描かれる本作は、当時「子どもたち」だったデジモンファンの反響を集めている。
かつてのシリーズで描かれた「人とデジモンとのパートナーシップ」の意志を受け継ぎつつ、2020年に『デジモン』を作ることへの意義が随所に込められているからだ。
アニメ!アニメ!では、99年放映の『デジモンアドベンチャー』よりプロデューサーを務め、本作ではスーパーバイザーを担当する関弘美さん、『デジモンアドベンチャー tri.』からシリーズに携わる木下陽介プロデューサーのふたりにインタビュー。
関さんのシナリオ作りへの熱き想いや、木下プロデューサーの考える『デジモン』シリーズの魅力をお聞きした。
[取材=山田幸彦、江崎大/文=山田幸彦]
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『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』(C)本郷あきよし・東映アニメーション
■『デジモン』だからこそリアルなドラマ作りを
――お二人が今作にスーパーバイザー、プロデューサーとして関わるうえで、必ず押さえておきたかったポイントを聞かせてください。
関:ひとつは、『02』のキャラクターを登場させることです。今回は太一たち8人の子どもたちと共に、彼らのその後もぜひ描きたいと思いました。
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もうひとつは、「パートナーシップとは何か?」をしっかりとシナリオに反映させること。正直に申し上げると、私は『tri.』のドラマに物足りなさを感じた部分があったんです。
例えば二人きりのときに、太一が黙っていて、アグモンも黙っている……というシーンがありましたけれど、そこで会話をしないとパートナー感が出ないと思うんです。
「無言の会話の中にも実は裏がある」と観客に委ねる方法論もありますが、話さないことには推測もできません。
そういった部分を今回シナリオづくりで意識しました。
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スーパーバイザー・関弘美さん
――初代『デジモンアドベンチャー』も、リアルなドラマ作りを大切にされていた作品でしたね。
関:SFもファンタジーも、ヒットして長続きしている作品は人間関係のドラマがしっかり描かれているはずですから。
木下:まさに今お話に出ていた部分が作品に足りていないと僕も感じており、今回スーパーバイザーとして関さんに参加してもらいました。
そもそも、アニメは映像の設計図となる絵コンテが重要視されがちですが、僕はシナリオが最も大切だと思っているんです。
絵コンテで変わることもたくさんありますが、根本となるシナリオで作品の核となる要素が織り込まれていれば、そこは守られるだろうと。
なので今回、田口(智久)監督、シナリオの大和屋暁さんを中心にシナリオ打ち合わせを行い、初期から大事な要素をメンバーで共有できたのは良かったですね。
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プロデューサー・木下陽介さん
関:散々話をしたし、ご飯も食べたよね(笑)。
木下:関さんの時代……というと失礼かもしれませんが、昔はアフレコや打ち合わせ後は飲み会があり、そういった場で話したことの積み重ねが作品に反映されていた、とお聞きしていたんです。
今回、それを体験させてもらいましたし、その成果は大きかったです。
関:食事の場で話すのって、とても大事なんですよ。お互いに向き合ってご飯を食べるということは、手羽先にかじりついているところまで相手に見せることになるので(笑)、警戒心をある程度解かないとできない行為なんです。
そういう場でこそ話せることも出てくるんですよ。
――今回から参加された『02』メンバーのキャスト陣も、飲み会をきっかけに仲良くなったそうですね。
木下:『tri』に途中参加したときに、デジモンを演じる先輩キャストと、子どもたちを演じる新しいキャスト陣のパートナー関係がすごく出来上がっていたのが印象的でした。
だから、今作から参加する『02』の人たちにも、同じ関係を作り上げてもらいたいなと。
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そう思っていたら、顔合わせも兼ねたアフレコ前の読み合わせの後に飲み会が開催され、それをきっかけに『02』組とそれまでのキャスト陣との結束が固まっていきました。
先輩たちが積極的に働きかけてくれたそうです。
関:キャストの話に戻すと、亡くなられた藤田淑子さんが闘病中の頃、『tri』をご覧になって「若い人たち、頑張ってるじゃない!」とおっしゃってくださったんです。アフレコ後の打ち上げでそのことを花江夏樹さんに直接伝えられたのが嬉しかったですね。
『02』組とも、木下さんと一緒に3時くらいまで話したりして(笑)。
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