「銀河英雄伝説」を味わい尽くす! シリーズの魅力や「Die Neue These」のこだわりを多田監督×郡司エグゼクティブプロデューサーに聞く【「星乱」TV初放送記念】 | アニメ!アニメ!

「銀河英雄伝説」を味わい尽くす! シリーズの魅力や「Die Neue These」のこだわりを多田監督×郡司エグゼクティブプロデューサーに聞く【「星乱」TV初放送記念】

『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』が2020年1月13日にCS放送ファミリー劇場にてTV初放送。メインスタッフでありシリーズの大のファンでもある多田俊介監督と郡司幹雄エグゼクティブプロデューサーにシリーズの魅力や『Die Neue These』ならではのこだわりを聞いた。

インタビュー
(C)田中芳樹松竹・Production I.G
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『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』がどこよりも早く、2020年1月13日にCS放送ファミリー劇場にてTV初放送。さらに同日にはファーストシーズン『邂逅』全12話の一挙放送も行われる。第三章の劇場上映後の興奮も冷めやらぬなか、『銀河英雄伝説 Die Neue These』を一気に楽しめる形だ。

『銀河英雄伝説 Die Neue These』は、1982年に第1巻が刊行された田中芳樹の大長編SF『銀河英雄伝説』を原作に、新たな解釈で再アニメ化した作品。
遥か未来の世界を舞台に繰り広げられる銀河帝国と自由惑星同盟との戦争を、“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと “不敗の魔術師”ヤン・ウェンリー、2人の若き英雄を軸に紡ぐ、壮大なスペースオペラだ。

『銀河英雄伝説』は1988~2000年にかけて、石黒昇総監督の元で劇場版3作、OVA本伝全110話、外伝全52話が制作された不朽の名作。
新たに再アニメ化された『銀河英雄伝説 Die Neue These』は、人物のシャープなラインとCGを使った艦隊戦が目を引く。往年のファンはもちろん、新規ファンからも熱い支持を得ている。

SF、群像劇と多面的な要素を持つ『銀河英雄伝説』は、ファンそれぞれに違った楽しみ方があるはずだ。
そこで本作を最大限楽しめるように、メインスタッフでありシリーズの大のファンでもある多田俊介監督郡司幹雄エグゼクティブプロデューサーにシリーズの楽しみ方や魅力、さらに『Die Neue These』ならではのこだわりポイントを聞いた。
[取材=数土直志、文=中村美奈子]

多田俊介

監督として『黒子のバスケ』シリーズ(12~17)、『スタミュ』シリーズ(15~)など数々のヒットアニメを手がけ、SF作品では『銀河英雄伝説外伝/朝の夢、夜の歌』(98)に演出として参加。『宇宙戦艦ヤマト2199』(12~13)では反射衛星砲と宇宙戦艦ヤマトの激戦を描いて好評を博した第6話『冥王の落日』の演出を担当。『攻殻機動隊ARISE』(13)では『boder:2 Ghost Whispers』で絵コンテを担当。本人も大の『銀河英雄伝説』ファンであり、ヤン・ウェンリーと誕生日が同じことが自慢。

郡司幹雄

大学は歴史学を専攻。『銀河英雄伝説』のファンが高じて、アイジー社内での会議資料などにも『銀英伝』の名セリフを記載していた。
『銀英伝』をアニメ化したいため、原作管理会社である有限会社らいとすたっふの安達社長にかつて飛び込み営業をかけたこともある。その時には断られたが、数年後、とある縁から『銀英伝』アニメ化の話が再度持ち込まれ、アイジー社内で『銀英伝』企画を通すことに奮闘する。『銀河英雄伝説 Die Neue These』ではエグゼクティブプロデユサーを務める。

左から郡司幹雄エグゼクティブプロデューサー、多田俊介監督

■ヒロイックとは対極的な戦争の描き方と群像劇に惹かれて


――そもそもおふたりが『銀河英雄伝説』(以下『銀英伝』)に出会ったのはいつでしたか?

多田:僕は、1988年2月に公開された最初の劇場版『わが征くは星の大海』です。当時『アニメージュ』(徳間書店)に版権イラストが掲載されていました。それを見て、戦争を描いている作品ですが今まで見たことがないビジュアルが気になって、劇場に足を運びました。

それまで好きだった作品が『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』でしたから、メインメカと主人公がいて、それが活躍していく話と全く違う軸で話が進んでいくことに衝撃を受けたんです。
当時『銀英伝』にハマった人は、おそらくみんな同じ理由だと思うんですが、郡司さんはどうですか?


郡司:僕の入口は、TVで放送されたOVA版でした。たまたま家に帰ったときつけたTVで石黒版が放送されていたんです。観たら面白くて、すぐにレンタルビデオ屋に駆けこんで全話を一気にみました。
戦争というものを単なる戦い方のみで描くのではなく、“戦略”と“戦術”という違ったレイヤーから描いています。戦略と戦術の違いというのをエンターテインメントにした作品に初めてであったので興奮しました。
ミリタリーとか戦史が好きな人は“義経の鵯越の逆落とし”(※)とか、とにかく奇襲とか奇策によって勝利するというところから除々にハマっていきます。しかし、そんな局地的な勝利では戦争には勝てず、経済力に物言わせて大軍を揃えることこそが重要であるとエンタメで描いていたのが『銀英伝』だったんです。

※注1義経の鵯越の逆落とし
1184年、源平合戦の最中に摂津国福原および須磨で行われた一ノ谷の戦いで義経が用いた奇襲戦法。




当時僕は歴史学部の学生で、ちょうど戦争のロジスティクス(補給・兵站)に興味を持っていたときだったんです。戦争に最も重要なのは経済だとか兵器生産の効率性とか補給とかだということを本で読んでいるときに、それをエンタメにしている『銀英伝』があることにびっくりしました。

一番惹かれたのは善悪二元論的な描き方をしていないところです。『銀英伝』には専制政治と民主政治という2つの政治体制が登場します。我々は民主政体に生きていますから、エンタメでは当然のように“専制政治が悪”として描かれることが多いのです。
しかし『銀英伝』では腐敗した民主主義と清廉な専制政治という世界が描かれています。その“腐敗した民主主義のために清廉な専制政治を倒さないといけない”。それは何故なのか。あまり言うとネタバレになってしまうので控えますが、ものすごく複雑な世界観がエンタメとして描かれているのが本当にすごいなと思いました。


郡司エグゼクティブプロデューサー、多田監督
――30年前から好きだった作品を改めてアニメ化すると聞かされたときは、どんな気持ちになりましたか?

多田:改めて映像化するにあたり“何をつくるか”を、本当に考えました。30年前とは時代性も違いますし、単なる焼き直しだったら“リメイク”と名乗って絵だけをきれいにすればいいだけの話になってしまいます。
しかも先ほど話題に出たように、石黒版では戦略や戦術、善悪二元論ではない専制主義と民主主義など、原作のもっともコアなテーマ性についても、エンタメ作品として成立するレベルできちんと描き切っています。


そこで、作品のテーマ性はそのままで、新しい作品としての表現を考えたときに出てきたのが、登場人物にカメラを寄せていくことでした。それは僕のお得意の手法というか趣向で、俯瞰して物語を描くよりも、登場人物にどんどんカメラが寄っていってしまうタイプなんです。
タイトルが『銀河英雄伝説』なので、俯瞰する要素は大切ではありますが、そこをあえて人物にフォーカスしているのが『Die Neue These』の特徴です。



→次のページ:『Die Neue These』のおもしろさは人間ドラマの奥深さ
《中村美奈子》
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