「銀河英雄伝説」を味わい尽くす! シリーズの魅力や「Die Neue These」のこだわりを多田監督×郡司エグゼクティブプロデューサーに聞く【「星乱」TV初放送記念】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「銀河英雄伝説」を味わい尽くす! シリーズの魅力や「Die Neue These」のこだわりを多田監督×郡司エグゼクティブプロデューサーに聞く【「星乱」TV初放送記念】

『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』が2020年1月13日にCS放送ファミリー劇場にてTV初放送。メインスタッフでありシリーズの大のファンでもある多田俊介監督と郡司幹雄エグゼクティブプロデューサーにシリーズの魅力や『Die Neue These』ならではのこだわりを聞いた。

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(C)田中芳樹松竹・Production I.G
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■『Die Neue These』のおもしろさは人間ドラマの奥深さ


――多面的な要素を持つ『銀英伝』ですが、おふたりはどんなところを楽しんでいますか?

郡司:戦略と戦術という面から見ると、大軍を揃えるという戦略面からは銀河帝国に勝てないはずのヤンが、奇策を用いた戦術で劣勢を覆していく瞬間の快感でしょう。
その“不敗の魔術師”であるヤンを上回る“常勝の天才”ラインハルトの壮大な戦略。そして、二人を取り巻く多彩な将帥の戦いぶりを描いた架空戦記としての楽しみ方が一つ。


もうひとつは、単純な善悪ではない人間ドラマの奥深さです。そこに生きている人たちの、生き方の清々しさみたいなものがあると思います。
この作品が30年も愛されている理由は、個性的な登場人物が織りなす人間ドラマや、現実世界にも重なる政治・戦争の話などが“モザイク”のように散りばめられており、ドラマとしても人間描写にしても普遍性を持った作品だからだと思っています。

多田:僕も郡司さんと同じで、時代が変わっても通じる普遍的な要素は、やはりそこで懸命に生きる人間の姿です。
表現が難しいと言われるのですが、僕はスタッフにこう説明しています。例えば、人間が超進化して、肉体を持たないエネルギー生命体にならない限り、生物としての身体がある。500年経つと、周りにあるガジェットやテクノロジーは変わるかもしれないけれど、人間の本質的な部分、食事をしたり、子孫を繁栄させたりという欲求は変わらずにあり続けている。
だからこの物語は、人間をきちんと描けば必ず物語として通用すると。そのためにカメラを人物やドラマに寄せることを意識し、原作のおもしろい部分をより引き出そうとしています。


郡司:付け加えると、単なる勧善懲悪の話ではないことももちろんですが、原作自体が罠のような複雑な構造になっていると思います。これは人間社会の縮図そのものではないかと思います。だからこそ読んでいて、何かしら心に引っかかるエピソードがそこかしこ存在する。それも人気の一つだと思います。

――ちなみに、ハマっていた当時、おふたりは「ラインハルト(銀河帝国)派」「ヤン(自由惑星同盟)派」どちらでしたか?

多田:話の展開は同盟側が好きです。特に前半は、どういうわけか同盟側の情報量が多いので。でもキャラクターとして好きなのは、帝国側。

あと、上司にするなら、絶対にラインハルトです。


――それはどうしてでしょう? なんとなくヤンのほうが優しそうで、部下としては働きやすそうな気もしますが……。

多田:実は僕、親の大反対を押し切ってアニメ業界に行っちゃうようなタイプなんです。「信賞必罰は、武門のよって立つところだ」とラインハルトが言ったように、やったら褒められて、ダメだったらダメというはっきりスッパリしているところが自分に合うかなと。

――名セリフがすんなり出てくるところが、ファンならではですね。郡司さんはどうですか?

郡司:どちら派というのはないですが、僕も上司にするならラインハルトかも…ラインハルトの下はやらなきゃならないことが明確な組織ですよね。その分、下の人間はやりやすいかもしれません。


――ラインハルトとヤンはすべてにおいて対照的なキャラクターですが、それぞれどんな人物だと捉えていますか?

多田:ヤンは、周りにとても愛されている。民主主義国家に生まれたヤンにどれだけの使命感があるかはわかりませんが、本質を見失わずに、道を間違えることなく進んで行くヤンには、志を同じくする者が寄り添ってくれているんですね。

一方ラインハルトは、権力もあるし尊敬もされていますが、愛されているかという点で、ヤンとは異なる印象です。結局、彼そのものを愛していたのは、最後までキルヒアイスとアンネローゼだけだったというところが、英雄っぽい。


原作者の田中芳樹先生は、「運命」という言葉は使わないとおっしゃっていましたが、実際に紡がれた世界の事実だけを観ると、銀河帝国を変質させるために設定された“千年に一人の人材”みたいなものを感じて。だからラインハルトに哀れさを感じて、キュンと来るのかもしれません。


郡司ラインハルトが背負っているのは、宇宙を武力で征服する使命感。歴史上の英雄にもそういう人物が何人かいて、突き動かすものが何かあるからこそ、戦う。
戦いをしていないと生きている実感がない人なんですよね。平穏な時代では生きてはいけない人なのかも……。

対するヤンは、自分の中にある一つの信念のような思想があり、それを守るためにラインハルトを倒そうと行動していきます。最も公正な政治を行い、民衆のためになることを行っているラインハルトを、民衆を最も守りたいと考えているヤン自身が倒そうとする。そのようなアンビバレントな感情に突き動かされている人ですね。


――ファンの仲には同盟派、帝国派がいると思いますが、それぞれ傾向はありますか?

多田:僕の友だちや同世代のファンは、同盟派は“箱押し”が多いですね。ヤンだけでなく、後輩のアッテンボローや、ちょっかいを出してくるイケおじのシェーンコップなど、司令部セットで好きという傾向があるんです。
一方、帝国派は、個々のキャラクターやペアで好きな人が多い印象です。ラインハルトとキルヒアイス、ロイエンタールとミッターマイヤーのペアとか、ファーレンハイトが好きとか……それぞれのキャラも濃いですからね。


――『Die Neue These』で初めて『銀英伝』と出会った新しいファンも多いかと思いますが、どんなところを楽しんでもらいたいですか?

多田:僕自身が石黒監督版のOVAシリーズが大好きでした。新たに原作からアニメ化していますが、石黒版ともども楽しんでいただけるよう、それぞれの面白さを発見できるように作ることを心がけてきました。『Die Neue These』では僕が目指した人間ドラマの面白さを楽しんでいただければ幸いです。

郡司:イベントなどでファンの方とお話すると「『銀英伝』という名前は知っていたけどこれまで見る機会がなかった」とか「『Die Neue These』で初めて見て、こんなにおもしろい作品があると初めて知った」というご意見をいただきます。ファンの皆さんと会話していると、多田監督の目指した“人間にフォーカスする”という狙いがあたっていると痛感します。
特に『星乱』を上映してからは、観たお客さんの感情が掻き立てられていることをすごく実感しています。

■一挙放送だからこその「変化を見届ける」醍醐味


――『Die Neue These』では、CGを使った派手な艦隊戦も見どころですが、制作にあたって意識したことはなんでしたか?

多田:新規映像化という部分で、キャラクター以上に力を入れたのが3Dの宇宙戦艦でした。
特に、戦略を絵で説明するのに苦労しましたね。なにしろ、一艦隊一万隻という設定なので、そもそも画面に収まらない。戦艦自体を映したり、レーダーの配置などのグラフィックで位置関係を説明しつつセリフで補填したり。とにかく要素を組み合わせるのが難しかったです。


よくできたなと思ったのは、ファーストシーズン『邂逅』の第1、2話の三方向からの包囲戦です。
三方包囲戦というのは、3つの艦隊が1個艦隊を包囲していると思われがちなんですが、実はそうではないんです。

――あ、まさに勘違いしていました。違うんですね。

多田:軍事考証の方に教えてもらったんですが、正しくは進んでいる自軍が敵と会敵する位置が同一になるだけで、別に囲んでいるわけではない。言ってしまうと、相手を挟んだり、相手の裏側に回り込めたりしたらその時点でもう包囲は成立していると。
映像面での盛り上がりや考証をふくめてよく描けたと思うので、ここはぜひ見てほしいです。

――ファミリー劇場での一挙放送のタイミングで、特に注目は?

多田:『銀英伝』はどこかのエピソードに突出して見せ場があるのではなく、変化する様、時間の流れを見届けるのが醍醐味。そういう意味では、一挙放送で連続視聴が可能になった今こそが、本領発揮だと思います。
1話から24話を通してみると、前半ではそれほど意識していなかったキャラクターが、後半になってかなり気になる動きを見せるなど、新たに発見することも出てくると思います。ぜひ24話通して観て欲しいです。


郡司:制作の都合もあり、『邂逅』と『星乱』の間はかなりお時間いただいてしまいました。今回一気にご覧いただくことができますので、11話~13話で同盟側が追い込まれていき、アムリッツァ星域で大決戦があるという原作でも屈指の山場を一気にご覧いただくことができます。

多田:軍事モノは苦手だと思っている『銀英伝』初心者の方でも楽しめるように、人物に寄った表現でストーリーを楽しめるように作っていますので、まずは気楽にストーリーを楽しんでいただければ。

郡司:銀英伝のキャラクターそれぞれは、容姿がどうこうではなくそれぞれの生き様がかっこいいのだと思います。かならず共感できるキャラクターが見つかると思いますのでぜひ今回の機会にご覧頂きたいと思います。

<TV初放送>『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』(2019年・全12話)

日時:2020年1月13日(月・祝)19:00~〔第13話・第14話〕
[レギュラー放送]2020年1月15日(水)スタート 毎週(水)22:00~

ファーストシーズン「邂逅」全12話も合わせてお届け

『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』(2018年・全12話)
日時:2020年1月13日(月・祝)13:00~[第1話~第12話 一挙放送]

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《中村美奈子》
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