「BEASTARS」動物キャラを3DCGで魅力的に描く秘訣とは? 監督×CGディレクター【インタビュー】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「BEASTARS」動物キャラを3DCGで魅力的に描く秘訣とは? 監督×CGディレクター【インタビュー】

2019年10月に放送スタートしたTVアニメ『BEASTARS』より松見真一監督とCGディレクターの池谷茉衣子さんにお話をうかがった。絵作りの試行錯誤とドラマを見せるための細やかな工夫とは――。

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『BEASTARS』(C)板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会
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■実はけっこうキツかったモブ動物たちと、あのニワトリキャラ登板のひみつ


――キャラクターが動物であることで、人間キャラのアニメより作業量が増えた部分はありましたか?

松見:モブがけっこうキツかったですね。学校にいる名もなき生徒たちですけど、見た目でシカだとかクマだとか何の動物か明確にバレてしまいますから、ともすれば名前のあるキャラに見えてモブの役割が成立しなくなってしまう。

それに、人間だったらバーッと増やしてもそれなりに群衆に見えるんですが、本作はいろんな動物がいるのでそれができない。


――たしかに、人間のモデル以上に使い回しは効かなそうです。どうやってモブを成立させたんですか?

池谷:まず、メインキャラと被る動物はモブに使いませんでした。ですから、群衆の中にはハイイロオオカミ(※レゴシ)やアカシカ(※ルイ)はいません。

松見:なので、モブに多いのは羊や狐など。ウサギも形態ですぐバレるから使えないし。
ただ、モデルの使い回しという点では、骨格が似ている動物はいるので、テクスチャの違いや、髪色、模様などでバリエーションを増やすことはできました。つまり、ウマに縞模様を付ければシマウマになる、みたいなことはできるわけです。

――それでもけっこうな種類の動物を作られていますよね。その中で、「実は表現が難しい」といった動物がいたら教えてください。

池谷:アリクイはアングルが難しいですね。口の表現や、あとは正面を向いたときのバランスが。


松見:角度によっては目がまったく見えなくなって、ツルっとしたバナナみたいになっちゃうんです。それこそ2Dだったら目をズラして描けるんですが。

――2Dだからこそ成り立つ、ウソの表現ですね。

松見:アリクイは影を付けるなど調整してようやく立体感が出てくるので、意外とめんどくさかったりします。

――今後のアリクイやモブ動物キャラの見え方が変わりそうです。

池谷:あとは各話にどんな動物が登場するかによって、モブ動物の種類もバランスを調節していただいたりしましたね。本作はメインキャラとまではいかずとも、名前のあるキャラクターが多いので、モブが目を引かないように気を遣いました。

――名前のあるキャラといえば、公式サイトのキャラクター紹介にニワトリのレゴムが既に掲載されていますね。原作では一話完結のサイドストーリー的なエピソードだったと思うのですが、レゴムの登場は板垣先生からアニメ化に対するリクエストだったのですか?


レゴム

松見:いえ、特に先生の指定にはありませんでしたし、もともと初期のシリーズ構成ではレゴムの話は入らなかったんです。でも、レゴムの話は原作の中でも人気のあるエピソードだし、巴留先生は公の場に出るときにレゴムのマスクを被るので、やっぱり外せないよね、と。

なので、ニワトリもモブ動物の中にはいません。そもそも、レゴムって、『BEASTARS』の中でもとりわけキャラクター化されていない、ニワトリそのものですよね。もしモブの中にニワトリがいたら、それこそ全部レゴムに見えちゃいそうです(笑)。

――それでは最後に、おふたりから今後の見どころを教えてください。

池谷:物語の展開で、制服が長袖から半袖になったり、ジャージやタンクトップ、演劇部の舞台の衣装など、意外と服装が変化します。
CGアニメはモデリングの数が増えるのは避けたいので、本来は衣装換えもセーブするんですが、本作はかなり多いです。そこはぜひ注目してご覧いただきたいですね。

松見:シリーズも中盤に差しかかり、ハルとレゴシはお互いの本音を出して理解し合っていきますが、それを邪魔する者も出てきます。
今までじっと動かなかったレゴシが動き出すところを見届けてもらえればいいかなと思っています。じっくりストーリーを楽しんでもらえたら嬉しいです。
《奥村ひとみ》
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