ループものの中で主に描かれるのは、登場人物たちが同じ期間を幾度となく繰り返す中で、ループからの脱出、もしくはループを利用して、通常の時間を生きていては突破不可能な困難に立ち向かう様だ。
ループものは古来よりSF小説、映画など、様々なメディアで発表され続けており、アニメもまた例外ではない。
古くは『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』、近年では『STEINS;GATE』、『魔法少女まどか☆マギカ』などなど、世に出る度にアニメファンたちを虜にしている。
そんな、人々を惹きつけて離さないループものの魅力とは一体なんなのだろう?
本記事では、名作アニメを分析しつつ、その秘密に迫っていきたい!
■魅力その1 止められない悲劇のほろ苦さ
ループものでよく登場するのが、大切な人の死や大災害といった悲劇だ。
上に挙げた作品でいえば、『STEINS;GATE』は岡部倫太郎が記憶を過去に送る装置「タイムリープマシン」で、『魔法少女まどか☆マギカ』では暁美ほむらが自分の時間操作能力で、それぞれ惨劇を回避するためにループを行う姿が描かれている。
だが、簡単に解決してしまうならループを繰り返す必要はない。
『STEINS;GATE』作中では過去から未来までの歴史「世界線」はある程度確定しているため、多少過程を変えたところで「収束」と呼ばれる現象によって必ず絶望的な未来を迎えることになる。
一方、『魔法少女まどか☆マギカ』においては、ほむらが親友のまどかを魔法少女にさせないために奮闘するも、最後はまどかが人々を守るために魔法少女になってしまう。
このように、未来の経験を活かして立ち回ったとしても、作中の悲劇を回避することは困難なケースが多い。
そんな中にあっても諦めず、ループを繰り返し続ける中で成長していく主人公の姿は胸を打つ。
また、同じ時間を何度も経験することで何気ない日常がとても尊いものに感じられ、キャラクターたちの普段とは違う一面を覗き見ることができたりと、本ジャンルだからこそ発生するエモーショナルなシチュエーションの数々も魅力と言える。
■魅力その2 ループ脱出の快感
『STEINS;GATE』では、ある人物の犠牲によって惨劇を回避するが、今度は救われた者たちが立ち上がることで全ての惨劇を回避しようと試みる流れが終盤にあり、『魔法少女まどか☆マギカ』TV版では、ループの末にほむらの意志に反してまどかは魔法少女になるものの、ほむらの尽力は決して無駄にはならない結末を迎える。
ループもの作品はその特性上、失敗を重ねていく過程の部分がクローズアップされて描かれるため、キャラクターの活躍を最後まで追っていると、たとえほろ苦い結果であったとしても、これまでの苦労が世界をほんの少しでも良い方向に変えたとわかれば、それだけでグッと来てしまう。
「○○を助けると◇◇が死ぬ……」「□□をしても△△はこの行動をとってしまう……」そんな"あちらを立てればこちらが立たず"な状況下で、原因をひとつひとつ潰していき、ついに解答を導き出したときのカタルシスには、たまらないものがあるのだ。
■魅力その3 「もし自分だったら……」ifが詰まったジャンル
ループもの作品で描かれるほどの事態に直面する人はあまりいないと思うが、生きる中で「あのときこうしていれば……」という後悔をした経験は誰にでもあるはず。
「自分にもしループする手段があれば、迷わずにあの限定品を買えるのに!」「ループを利用して永遠にダラダラしたい!」といった想像を視聴者がしやすいのもループもの作品の魅力であろう。
そんな夢の風景を描いた作品のひとつが、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』だ。
ループの原因は伏せるが、主人公の諸星あたるとラムを初めとする登場人物たちが、延々と学園祭前日のドタバタ騒ぎを繰り返し、そのループを抜けたと思ったら、今度は荒廃しつつも衣食住だけは確保された友引町で、ひたすら楽しく遊ぶ日々が描かれている。
これまで挙げた悲劇性もある3作は180度違う方向性の作品だが、ループもののひとつの形として、未見の方はぜひチェックしてみていただきたい。
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