ここまでの2作は、いずれも重厚な作品であったが、他方でエンターテインメントに振り切った作品も目立つ。その代表が韓国のチャン・ヒョンユン監督による『ウリビョル1号とまだら牛 The Satellite Girl and Milk Cow』(2014年)だ。 スタジオジブリでインターンとして働いた経験があるというチャン・ヒョンユンは、『ウルフ・ダディ』(2006年)が広島国際アニメーション映画祭でヒロシマ賞を受賞した際に、その造形から『トトロ』のイミテーションとして批判を受けた過去があるが、作品を少しでも観てもらえれば、宮崎駿監督がこんなふざけた作品を世に問うとは到底思えないという点で、強烈な独自性も備えている。 公式のあらすじを読んでもらえれば説明は不要だ。「人工衛星のイルホは地球を観察するうち、ミュージシャンを夢見る大学生キョンの歌声に惹かれ、地球に落下。しかしキョンは魔術の力で牛になってしまい、狩りの対象に…! イルホは魔法使いのトイレットペーパーの助けを借りて女の子に変身、キョンを助けようとする」。まだら牛になった男が、人工衛星の女の子から乳搾りをされ、白濁した液体を放出しながら頬を染める描写は、この作品以外ではあまり観た記憶がない。カオスアニメ愛好家に判断を仰ぎたい一作である。