【インタビュー】コマ撮りアニメ映画「KUBO/クボ」人形はいかにして命を得たのか? 2ページ目 | アニメ!アニメ!

【インタビュー】コマ撮りアニメ映画「KUBO/クボ」人形はいかにして命を得たのか?

2017年11月18日に公開を迎える映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』。ストップモーション・アニメーションで作られた本作の見どころや制作秘話を、アニメーション・スーパーバイザーを務めるブラッド・シフに訊いた。

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■『KUBO/クボ』はパペットとCGのハイブリッドによって実現した
――なるほど。まさにクボが紙を拾い損ねるところは詳しくお聞きしたいと思っていたところだったので、うかがえてよかったです。本作を拝見しながら、ストップモーション・アニメーションと3DCGの境目というのがほとんどなくなってきているんだと感じたのですが、その辺りはどうお感じですか?

ブラッド
ストップモーション・アニメーションこれまで、CGの台頭によってなくなってしまう技術だと言われてきました。でも実際そうなっていません。ライカの成長によってストップモーションの表現はCGに肉薄しています。逆にCGはストップモーションに近づけていないんじゃないかなとも思います。ただ、ライカの作品はハイブリッドなんです。クボはストップモーションだけど、脇役はCGだったり、エフェクトもVFXだったりします。例えば村のシーンでパペットなのはクボとおばあちゃんだけで、他のキャラクターはCGなんですよ。

――おお、それは全然気づきませんでした。すごい!

ブラッド
パペットの衣装の感触や照明が当たるときの質感などをVFX部門が研究して、高い技術で表現しているから違和感がありません。美術セットに関しても、ベースとなるパペットを参考にしつつ、例えば10本ほどの木をCGで増やし、森に見せることも出来るんです。もちろん元になるパペットの質感がなければ実現できないのですが、ハイブリッドであるからこそ、『KUBO』のような壮大なスケールを実現できたわけです。


――それは驚きました。見た人は海の描写にも心を惹かれると思うのですが、こちらはどう作ったのでしょうか。

ブラッド
実際に作ったオブジェクトをベースにして、VFXで水に仕上げています。波の動きは、針状の物を無数に立てて、ランダムに上下させることで作れるんですが、そこに何を重ねれば海に見えるのかいろいろ試した結果、一番よかったのが黒いゴミ袋でした。光の反射や動きも素晴らしくて、VFXにおける水の表現のベースになっています。

■これは日本文化へ向けたラブレター
――いかに発想を転がして作っているかということが実によくわかるお話ですね。さて、この作品全体についてはトラヴィス監督が「日本文化を独自の解釈で描いた」とおっしゃっているのが印象的でした。この辺りを改めてうかがえますか。

ブラッド
物語の核にある「家族」や「喪失」というものは国関係なく普遍的なものだと思うんです。そこに日本的な――と言っても宮崎駿監督がヨーロッパの文化を自分の中で昇華させて表現しているのと同様に、僕らもまた自分たちの感じる日本を、自分たちの心を通過して出て来たものを作品に表現しているつもりです。

――お客さんにはどう楽しんでもらいたいと思いますか?

ブラッド
まずは純粋に作品を楽しんでいただきたいですね。加えて、日本の方には日本文化に対するリスペクトに詰まった作品だということが伝われば幸せです。僕たちライカ全員が、日本文化へ向けたラブレターとして心を尽くして作った作品です。その気持ちを感じてもらえたら――そして同じくらい愛していただけたら、僕たちにとってこれほど嬉しいことはないですね。
《細川洋平》
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