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「地獄少女 宵伽」オンエア終了後だからこそ語れる制作秘話 原案・わたなべひろし×阿部Pインタビュー

TVアニメ『地獄少女 宵伽』より原案・わたなべひろし氏と阿部愛シリーズプロデューサーにインタビューを敢行。オンエア終了後の今だからこそ語れる制作秘話を語っていただいた。

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「地獄少女 宵伽」オンエア終了後だからこそ語れる制作秘話 原案・わたなべひろし×阿部Pインタビュー
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■凄惨すぎるエピソードに笑ってしまうことも

――新作6話の中で、おふたりにとって印象的なエピソードはどれになりますか?

阿部
息子を交通事故で亡くしたお母さんが、生き残った子に地獄流しをしようとする回(第5話「風の歌が聞こえる』)です。このお母さん、いかにも藁人形の紐を引きそうな女として描かれているけれど、結局引かないんですよね。紐を引く愚かな人間が描かれてきたなか、紐を引かないことでレギュラーメンバーの心を動かすというキャラクター性が新しかったですね。


わたなべ
どの回も好きなんですが、そのなかでも老人ホームの虐待を扱った回(第4話「わたしを深く埋めて」)です。実際僕らくらいの歳になると、両親の介護に関する問題がいろんな形で迫ってきますから切実さを感じるんですよ。

――第4話には第1期からたびたび登場している、柴田つぐみが出てきました。


阿部
つぐみは主人公の閻魔あいたちの伴走者のポジションなので、出そうというのは決まっていました。今回新作の6話がどれも濃密なお話だったので出しどころは悩みましたが、彼女の今までの価値観や人生を考えると、あそこでの登場が一番よかったかなと。

わたなべ
あと今までのシリーズで一番ヒドイ話というか、最低最悪の人しか出てこない話がありましたよね。あれも印象深いです。

――誰が地獄流ししても不思議じゃないという、崩壊寸前の家庭を描いた第3話「いつか誰かが…」ですね。

阿部
本読みのときから、笑っちゃうくらいヒドかったですよね。

わたなべ
もちろんエンターテインメントとして書いてはいるんですけど、それでも現実的にそういう家族っているよな、と思って。いろいろと想像させられる内容でした。これに限らず、ニュースでひどい事件を見て『地獄少女』っぽい、と思うことはよくあります。「このネタやろうと思ってたのに!」とかも(笑)。

阿部
ありますね(笑)。プロデューサーの私としては、この第3話は面白いと同時に、映像化したら世知辛くて観てられないんじゃないか? という懸念もあって、大森貴弘監督に「これ、エンタメになりますか?」と確認したんです。監督は「『サザエさん』みたいな感じで作るから」と言っていたんですけど。

わたなべ
食卓のシーンは、確かにありましたよね(笑)


阿部
それとこの回はアフレコもとても面白かったですね。おばあちゃんの声優をやってくださった本山可久子さんが、喧嘩腰のセリフを言うときに少しまごつくところも含めて演技がとてもリアルで。アフレコ現場も完全に本山さんが“持っていった”印象でした。
レギュラー陣は第4期ともなると慣れているので、つい先週まで収録していたくらいの安心感がある中、ゲストのみなさんの演技は毎回刺激的でした。

――ゲストといえば、女優のひし美ゆり子さんがナレーションで参加されていますよね。

阿部
それに関しては、わたなべさんがずっと前から「ひし美さんに喋ってもらいたい」と言っていたんです。

わたなべ
第1期のときから言ってて今回やっと実現したんです! 余談ですけど、収録時、僕が駅までひし美さんを迎えに行ったとき、彼女にちょうど西日が当たっていて、観たときに「『ウルトラセブン』の1シーンみたいだ!」と思わず感動してしまい。かわらずアンヌ隊員でしたね。この作品やっててよかったです!

阿部
わたなべさん、サインしてもらってましたよね(笑)。私も初めてお会いしましたけど、独特のオーラを持った素敵な方でした。

――本作では新たに登場する寒河江ミチルの動きが大きな見どころかと思いますが、彼女のキャラクター像についてはどのようなやり取りがありましたか?


わたなべ
ミチルをどういう存在にするかは、シナリオに入る前にものすごく打ち合わせを重ねました。まず、前回の『三鼎』に近いポジションの御景ゆずきがいたので、名前も含めて同じ印象を与えないようにしました。

阿部
ゆずきに関しては、『三鼎』制作当時のとある大きな事件に受けた印象から、「突発的に見える事件の背景に、人を不幸にするトリガーとして無関心があるのではないか……?」という問題提起をキャラクターの背景に落とし込んでみたんです。
一方、みちるのキャラクターを考えるときに、「天国」というモチーフが出てきました。天国といってもいわゆる仏教的な天国ではなく、お母さんからの「いいことをすれば行ける天国」という言葉が強く焼き付いている子にしようと。エイプリルフールネタの「天国少女」(※)も、実はちょっと本編に触れていたわけです(笑)。試行錯誤の甲斐あって、とても印象的なキャラクターになったのではないかと思います。

※2017年のエイプリルフールに公開されたビジュアル


――みちるのビジュアル面については、いかがでしょう。

わたなべ
僕がラフを描いて、それを元にキャラクターデザインの岡真里子さんに描いてもらいましたね。岡さんでなければ描けない素敵なキャラになりましたね。

阿部
泣きぼくろは誰が考えたんですか?

わたなべ
あれは岡さんのこだわりです。ほくろのような小さい点は、彩色用のソフトの処理で、他のゴミと一緒に消されてしまうからミスの元なんです。それで僕は反対したんですが、岡さんから「やりたいです!」と言われたので、じゃあ責任取ってね、と(笑)。

――逆に、わたなべさんのこだわりポイントは?

わたなべ
横髪ですね。レトロ感を出したかったので、バラバラっとならず、まとまった状態でくるっとカーブしているところを大事にしました。


――ありがとうございます。Blu-rayやDVDもリリースされましたが、あらためて作品を見直す際のオススメの見方など教えてください。

わたなべ
「こういうふうに見て下さい」と一方的に押し付けるつもりはありません。なので非道なキャラを見て「こんなやつは流してしまえ!」とノリノリで観ていただくのもいいし、流される側の事情まで思いを馳せていただいてもいいですし、ご自由に楽しんでもらいたいです。また、第4期から新しく『地獄少女』に触れてくださった方は、ぜひ第1期から見て頂けるとうれしいですね。

阿部
わたなべさんとはまた違う角度からの話になりますが、テレビを観ていて「こういう事件がありました」と紹介されて、それに対してキャスターが「痛ましい事件ですね……」とひと言で片付けることがよくありますよね。『地獄少女』は、そうやって軽く流される事件の背後にある怒りや悲しみを、フィクションを通して伝える場でもあるのかなと。『地獄少女』で描かれる物語は、一面的な定型に納まらないところが魅力だと思いますので、いろんなことを想像しながらご覧いただければと思います。

――ちなみに、第4期まで長らくファンに愛され続けてきた『地獄少女』シリーズですが、今後の展開についてはいかがですか?

阿部
閻魔あいは歳を取らないキャラですし、いつ見ても時代錯誤にならない普遍性を持った作品なので、できればこれからも作り続けていきたいです!

――今後の展開も期待ですね。本日はありがとうございました!

『地獄少女 宵伽 上巻』


Blu-ray初回仕様限定版: 6,300円+税(ANSX-12541)
DVD初回仕様限定版: 5,300円+税(ANSB-12541)

【収録内容】
・本編3話収録
・ブックレット
・映像特典:ノンクレジットオープニング

【初回仕様限定版特典】
・岡 真里子描き下ろし三方背ケース

『地獄少女 宵伽 下巻』


Blu-ray初回仕様限定版:6,300円+税(ANSX-12542)
DVD初回仕様限定版:5,300円+税(ANSB-12542)
【収録内容】
・本編3話収録
・ブックレット
・映像特典:ノンクレジットエンディング
 第六話ノンクレジットラストシーン

【初回仕様限定版特典】
・岡 真里子描き下ろし三方背ケース
《山田幸彦》
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