「メアリと魔女の花」庵野秀明、西村義明ら“アニメーション背景”の真髄を語る | アニメ!アニメ!

「メアリと魔女の花」庵野秀明、西村義明ら“アニメーション背景”の真髄を語る

7月1日(土)、内幸町・イイノホールにて7月8日(土)全国ロードショー『メアリと魔女の花』の先行上映会が行われた。上映後、本川上量生、庵野秀明、西村義明が登壇。アニメーション背景について語った。

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「メアリと魔女の花」庵野秀明、西村義明ら“アニメーション背景”の真髄を語る
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7月1日(土)、内幸町・イイノホールにて7月8日(土)全国ロードショー『メアリと魔女の花』の先行上映会が行われた。上映後、本作の背景美術を担当した「でほぎゃらりー」の設立者である川上量生(ドワンゴ)、庵野秀明(スタジオカラー)、西村義明(スタジオポノック)が登壇。アニメーション背景について語った。

『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』の米林宏昌監督の最新作となる『メアリと魔女の花』。スタジオジブリを退社後に米林監督が設立した、スタジオポノックの第一作目の長編アニメーションとして注目を集めている作品だ。

川上・庵野・西村が設立した「でほぎゃらりー」は、デジタルでのアニメーション制作が主流になる中、手描きで背景美術を作りあげる会社。庵野は「手描きはどんどん状況的に厳しくなるし、デジタルの方が儲かる。でも、伝統工芸としての手描き背景の良さを残していきたい。だから『でほぎゃらりー』は新人が毎年入社して、10年、20年残っていけば、小さいながらも会社として続いてくれれば」とその思いを語った。

さらに西村が「制作側としての背景美術とどう関わっているのか」という質問を庵野に投げかけると「背景美術は作品の世界観を決める。キャラクターがどこに行って、どういうことをするのかを伝えるのは周りの風景が大事。背景美術が良ければ場面の長回しが効く。厳しい場合は長回しがもたないので、カットを切り分けてキャラクターのアップだったりとか、背景をじっくり見せない手法になる」と答えた。

30代の若いクリエイターが背景美術を担当した『メアリと魔女の花』。今回の背景美術について聞かれた川上は「良い悪いがわかるほど絵のことはわからない…」と前置きをして「ジブリほど美術にお金をかけることはできなかった中で本作の出来を見て、安心しました。素人の僕から見て、ジブリのクオリティとの違いがわからない」と太鼓判を押した。また庵野は「部屋の描写が上手。でも個人的にはもっと壁紙にこだわった方がいい」と評価。さらに「全体的に頑張りすぎて、デティールがありすぎる。メリハリがもっとあっていい。だからもっと手を抜くやり方や光をもっと感じさせる技術が出てくれば、すごく良くなる。それでも30代で、最初の作品でここまで出来るのは素晴らしい」と語った。

またアニメーション画面の情報量についての話題となると、川上が「お客さんが映像を見て、何を思うかというのが情報量。これは画面上の線を増やすだけじゃない。ユーザーの視線が行くところは書き込んで、そうでないところは徹底的に手を抜く。これは上手い人じゃないとできない」と話す。さらに情報量について庵野は「情報のコントロールができるのがアニメのいいところ。お客さんにどう感じてほしいか、それに近づける。デジタルの写真加工の場合は基本引き算。実写で写っているものをどれだけ削るかだが、手描きの場合は足し算。そして、手で描くから誤差が出る。それがまたいい」と答えた。
最後に庵野は「『これジブリでしょ』って言われても『はい、そうです』と言えて、パクリにならないのは米林さんの作品だけ。だから、これからも作品を作ってほしい。僕たちが作品を作る時には『でほぎゃらりー』に作ってほしい」と語った。そして本作のプロデューサーである西村は「『メアリと魔女の花』作るの大変でした。背景美術だけじゃなく、キャラクターだけでもない。ジブリ独特のキャラの動き、ジブリが培ってきた撮影技術、色もある。本作が完成できたのは本当にクリエイターのおかげです」と制作陣に感謝を述べ、イベントは終了した。

『メアリと魔女の花』
7月8日(土)より全国ロードショー

(C)2017「メアリと魔女の花」制作委員会
《冴島友貴》
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