「ポッピンQ」漢たちが語る少女の一瞬の煌めき サンキュータツオ×藤津亮太 特別対談 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「ポッピンQ」漢たちが語る少女の一瞬の煌めき サンキュータツオ×藤津亮太 特別対談

中学3年生の春。それぞれの悩みを抱えた5人の少女たちが"時の谷"へと迷い込む。彼女たちは同位体であるポッピン族の仲間たちと共に世界を守るため、心をひとつにしてダンスを踊る──。

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■「宮原監督の中にはきっとピュアな乙女がいる(笑)」

サンキュータツオ
この作品はポッピン族も伊純たちもダンスシーンがすごくいいんですけど、「アイドルもの」ではないんですよね。だからダンスもプリキュアのエンディングとは全然違っていました。

藤津
どちらかというと呪術みたいなダンスでしたよね。

サンキュータツオ
祈りに近いダンスでまるで能みたいでした。いや、舞っていうのかな? 雨乞いの舞みたいで。「日本人にとって踊ることとは何か?」を考えさせられました。『プリキュア』は厳密にいえば「アイドルもの」じゃないけれど、それを見て、別の会社が作ったアイドルアニメも見て、またここに戻ってきてくれたらいいかもしれないです。宮原直樹監督は『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』を手がけられた経験もあるので、異なる場所で生きる女の子たちを一箇所に集めて描くのはきっとお手のもの。そう考えると宮原監督的には『プリキュア』ではない作品で自分らしさが出せたのかもしれません。

藤津
ダンスはむしろ安心して見ることができました。

サンキュータツオ
ダンスが下手で全員バラバラに踊るシーンは思わず「ほお!」と声が出そうでした。

藤津
手描きじゃ絶対に実現できないシーンですよね。

──宮原監督のことを「プリキュアの人」と思っている人も多いと思うんですよ。私もそのひとりだったのですが、インタビューでお話をうかがうと、ご本人はそうは思っていないように感じました。

藤津
キャリアからするとまず『ドラゴンボールZ』などで「アクションが得意なアニメーター」として注目された方なんですよね。その後、3DCGにも範囲を広げて『プリキュア』ではダンスパートを中心に仕事をされてきて、そういう意味で『プリキュア』にとって大切なスタッフである、と。本作の場合は、さらに黒星さんのキャラクターデザインなど色々な要素が混じって今の形になったのだと思います。ただ、宮原監督の中にはきっとピュアな乙女がいるんじゃないでしょうか(笑)。松井(俊之)プロデューサーにお話を伺った時も、宮原監督と作品のカラーが二アリーイコールなのではと感じました。

──本作でもアクションシーンが見どころのひとつでした。

藤津
走る、飛ぶ、格闘する、色々ありましたね。宮原監督が考える「こういうアクションやったら面白いよね」がふんだんに盛り込まれていて。


──伊純たちの能力も、CGならではの表現で見ていてとても気持いいものでした。

サンキュータツオ
超かっこよかったですよね。これが"魔法"となると「今までのものを帳消しにして何か新しいものを獲得する」というイメージがありますが、伊純たちはこれまで磨いてきた力をさらに伸ばしている。彼女たちが自分自身をアップデートし続けることでまた新たな能力を持てるかもしれないと感じさせてくれて。これはネタバレになるので詳しくは言えませんが、とくに伊純が自らの殻を打ち破るシーンがそうでしたね。

藤津
あれはド直球でしたね。

サンキュータツオ
これがTVシリーズだったら0から能力を手にいれるためにどんな努力をしたか描かれるかもしれない。でもそこはすでに手に入れていて、アップデートするのが描かれていました。壁にぶつかっても自分たちの能力を磨き続ければ新しく何か見出せるというメッセージがあって、魔法に頼らないのが逆によかったです。

藤津
人生の充実感って何かをやらないと得られないけれど、一方で苦しさともセットになってくるから、そういうことが大事ですよね。

サンキュータツオ
あとは、伊純が方言を使って喋るのも面白かったです。なんだろう、方言女子が最近よく描かれる気がします。この世界の片隅にいる子が方言をしゃべる。入れ替わりはなかったけれど(笑)。

藤津
東京に住んでる子をヒロインに据えるのではなく、むしろ地方性があったほうが「私の話」に寄せやすいのではと。

サンキュータツオ
東映アニメ作品らしくマスへ向けたアプローチなのかなと。ちゃんと全国に向けてるのはいいですよね。

藤津
全国津々浦々に劇場はあるわけで、より多くの人が楽しめるように、ということだと思います。


──これから『ポッピンQ』を観に行く人は、どのあたりを楽しみにしてもらえたらいいですか。

サンキュータツオ
やりたいことがあって入った学校や会社も、辞めたくなってしまったり行き詰まりを感じている方も多いと思います。そういう人にはオススメな映画で、観たあとは晴れやかな気持ちで劇場をあとにできるはず。

藤津
お正月映画っぽいですよね。2016年を卒業する感じ。

サンキュータツオ
そうですね。全国のアニメファンはもちろん、ぜひ親子でも観に行って欲しいです。

藤津
僕もそこをプッシュしたいです、娘がいるお父さんには特に。伊純が祖父と両親の三世代で暮らしていて、両親だけでなく祖父からも何かを受け取っていると描かれているのも、地に足がついていると感じさせるいいシーンでした。子どもと安心してみることができる一作ですね。

――ありがとうございました!



『ポッピンQ』
12月23日(金・祝)全国ロードショー
http://www.popin-q.com
《川俣綾加》
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