―役づくりの面で、自身が演じられる役に共感するところはありましたか?
藤田
僕はもともと引きこもりがちで、親から「勉強しろ、勉強としろ」と言われ続けてきたんです。今は大学を休業して、こういう道を歩んでいますが、それも親から言われたことをやるのではなく、自分がやりたいことをしたい、という気持ちが強かったからです。そのあたりで悠と重なる部分はありますね。
―谷口さんはどうですか?
藤田
ヒモ男……(笑)。
谷口
僕はヒモになったことはないですが、羨ましさはありますね(笑)。
―キャラクターとして仁は、野性的かと思いきや行動に筋が通っていて、理性的なところも出ています。
谷口
僕が役づくりをするときに「キャラクター」というのはあまり意識しないんです。「こういう人です」と説明的になってしまうので。クールな人だって、何かあれば怒るし、大声も出しますからね。
―キャラクターとして捉えると、役が一面的になってしまうと。
谷口
過酷な過去を持っていて複雑な思いを抱えた仁は、どういうふうに生きていくのか。台本と照らし合わせつつ掘り下げていきました。僕から離れたところで仁を演じてはいないので、非常に僕っぽいところが出ていると思います。僕自身も酒で失敗が多いですし、起きたら道端ということも多く、チャランポランなところもあるので(笑)。
それと、小林靖子さんの脚本が素晴らしくて、説明的なところがまったくないんです。ただそこに人が生きている。だから僕も役に説明を持たせたくない。見てくれる人に「コイツはどんなヤツなんだろう?」とずっと思わせたい。そう思って演じています。
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―撮影の現場はいかがですか?
谷口
ひとことで言うと、最高です。
藤田
駆除班メンバーも仲良いですからね。この間も、秋葉原でフィギュアが展示されるということで、みんなで見に行ったんですよ。
谷口
スタッフさんもすごく熱量が高くて。配信だからテレビではできない尖ったことをやろう、という意気ごみが感じられます。東映さん側からすると、『クウガ』や『アギト』のときに出来たことをやろう、という思いが強かったんだろうなと。「自分たちが本当にやりたいことをやろう」という空気が充満していて、すごく良い雰囲気の撮影現場でした。
―では最後に、見どころをふくめて読者にメッセージをお願いします。
藤田
ヒーローの苦悩もしっかりと描かれているので、きっとご覧になられると「ヒーローってなんだろう?」と考えさせられると思います。それと「生きたい!」「食べたい!」という人間の奥底にあるものが前面に表現されています。ご自身の生き方を見直すきっかけになると思いますので、そのあたりお楽しみください!
谷口
ふつうの特撮番組は1年をかけてじっくり見せていくものですけど、『アマゾンズ』は全13話ということで短い期間で一気に見せなければならない。そのため説明は極力排除されています。そのスピード感は見どころのひとつですね。
また、仮面ライダーは「子どもたちのヒーロー」にとどまらない器の大きさがあるシリーズです。とくに『アマゾンズ』は、変身する前の苦悩や葛藤がしっかりと描かれます。「今回ライダー、全然出てこないじゃないか」とか「え、今回変身しないの?」という回もあるぐらいで(笑)。でも「生きる」という普遍的なテーマやヒーローへのアンチテーゼなど『仮面ライダー』シリーズの伝統もしっかりと受け継いでいます。ぜひご覧になってください。
―どうもありがとうございました!
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『仮面ライダーアマゾンズ』
BS朝日 7月3日より毎週日曜 深夜1:00~
TOKYO MX 7月6日より毎週水曜 22:30~
http://www.superhero-year.com/amazons/