6月13日からフランスで開催されているアヌシー国際アニメーション映画祭に、細田守監督の『バケモノの子』が帰ってきた。15日(水)夜に旧市街のパキエ公園に設けられた野外シアターの上映プログラムとして登場した。日が暮れるのが遅い夏シーズンとあって、上映は22時15分からと遅めのスタート。さらに生憎の雨続きとあって、公園の芝生もかなり水を含んだあまりよくないコンディションとなった。しかし、そんなことはものともせず、上映会には多数の観客が集まり、フランスでも人気の高い細田監督の最も新しい作品を堪能した。野外シアターは、一般市民にアピールするイベントとして映画祭の名物になっている。湖畔にあることから、数々の名作・傑作アニメーション映画が、湖と旧市街を舞台に映し出される幻想的な風景も売りだ。今回は『バケモノの子』のほか、『ファインデイング・ニモ』『アイスエイジ』『ズートピア』『ベルヴィル・ランデブー』などの人気作がプログラムに組まれた。『バケモノの子』もスクリーン背景にはライトアップされた旧市街、会場の向こう側には湖と、ファンタジックな雰囲気での上映になった。上映時間が遅いこともあり、観客の多くは子どもというよりは、若者であった。それでも映画で活躍するキャラクターを応援する様子は、まるで屈託ない。大きな盛り上がりをみせた。上映で驚かされたのは、日本の劇場アニメには珍しいフランス語吹き替えとなっていることだ。これは作品が2016年初めにフランス公開がされているためだ。吹き替えされた声は映画のイメージにぴったりで、アヌシーの観客にも全く違和感はなかっただろう。実は『バケモノの子』のアヌシー登場は、これが2度目になる。2015年には完成前の作品を紹介する「WORKS IN PROGRESS」で紹介され絶賛を浴びた。昨年は作品完成前、今年は劇場公開から半年後とコンペティション出品のタイミングを逃したかたちだが、招待作品として再び戻ってきた。同時に、映画祭への完成報告という意味も込められていそうだ。大ヒットと高い評価を勝ち取っているだけに、堂々たる凱旋となった。
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