ザグレブ国際アニメーションフェスティバルからレポート、東京藝術大学大学院が存在感
6月6日、クロアチアで開幕したザグレブ国際アニメーションフェスティバルでは、今回、日本から7作品ノミネート。選外作品を合わせると計8作品が上映された。
イベント・レポート
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短編部門は、折笠良監督の『水準原点』、大川原亮監督の『ディス イズ マイ ハウス』がノミネート。『水準原点』は、今年の毎日映画コンクールで大藤信郎賞を受賞している。
長編部門は、牧原亮太郎監督の『屍者の帝国』となかむらたかし、マイケル・アリアス監督の『ハーモニー』がノミネート。学生部門は、片山拓人監督の『愚図の底』、伊藤圭吾監督の『何も見なくていい』、子供向け作品部門には、宮澤真理監督の『こにぎりくん「おかいもの」』がそれぞれノミネートされている。
長編部門を除き、他の部門のノミネート作品は、すべて東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻出身者の作品だ。同大学院は2010年に当映画祭でベストスクールとして表彰されており、それに恥じない実績を示している。さらに、同大学院関連のイベントもいくつか実施された。
まず、6月9日に10時間に渡り、5人のアニメーターが五角形のテーブルストップモーションアニメーションを競作するイベント「ペンタゴン」に折笠良監督が参加。メイン会場のシネマヨーロッパで行われたこともあって、大きな注目を浴びていた。
同じく6月9日、市内のレストランのオープンテラスでは、宮澤真理監督のおにぎりのワークショップが開催された。宮澤監督のプレゼンテーションの後、20名ほどの参加者がおにぎり作りに挑戦したのだが、参加者の中には「ウォレスとグルミット」や「ひつじのショーン」で有名なイギリスのアニメーションスタジオ「アードマン」共同創設者のピーター・ロードさんの姿も見え、道行く人達の大きな注目を集めていた。
6月10日には、在クロアチア日本大使館の主催で、ザグレブ大学芸術アカデミーにおいて、日本のアニメーションについての講演が行われた。村上寛光東京藝術大学大学院映像研究科助教、アニメーション評論家の土居伸彰さん、片山拓人監督、伊藤圭吾監督、宮澤真理監督が参加し、ザクレブ大学の学生を中心とする多くの参加者に日本アニメーションの魅力をアピールした。
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻は、2008年の設立と歴史は浅いが、アニメーション作家の育成に大きな成果を残してきているといえるだろう。
[星野一軌]
ザグレブ国際アニメーションフェスティバル
http://www.animafest.hr/
ノミネート作品(日本作品)
短編部門
『水準原点』 折笠良監督
『ディス イズ マイ ハウス』 大川原亮監督
長編部門
『屍者の帝国』 牧原亮太郎監督
『ハーモニー』 なかむらたかし、マイケル・アリアス監督
学生部門
『愚図の底』 片山拓人監督
『何も見なくていい』 伊藤圭吾監督
子供向け作品部門
『こにぎりくん「おかいもの」』 宮澤真理監督
パノラマ(選外)
『肛門的重苦 Ketsujiru Juke』 冠木佐和子