■ 豊永真美[昭和女子大現代ビジネス研究所研究員]ところで、一書店の発案したマンガワ賞がなぜ12年も続いているのか。今回は費用をかけないそのしくみについて紹介する。■ 一書店の発案がきっかけこの賞を発案したのは古城で知られるロワール川近くの一書店である「アンジュ・ブルー(青い天使)」だ。この書店は2008年に無店舗となり、ネットでの書籍販売のほか地域の読書会の主催などを行っている。2015年の売上は商業登記所の届けによるとおよそ18万ユーロ。決して売上の大きい事業者ではなく、むしろ「マンガワ賞」の発案者でもあるティエリー・ルケンヌの個人事業のようなものであろう。マンガワ賞のホームページによると、この賞の目的は以下の6点である。 1. 中高生に質のよいマンガを紹介する 2. 中高生と大人の距離を近づける 3. 学校の図書館や地域の図書館に中高生を呼び込む 4. 中高生に読書の習慣をつけさせる 5. マンガの所蔵を増やす 6. 賞をきっかけとして他校や他の施設との交流を増やすフランスでは小学校は5年で終わるので、中高生というのは概ね11-18歳を指す。部活のない国なので、授業以外で教師と生徒が交流する場は限られている。他方、思春期の難しい時期の子供たちに対しては日本以上に大人が導くべきと考えられており、ちゃんとした大人の代表といえる教師や司書と接触の場を作ることは重要だ。またフランスでは、「アンコリュプチブル(Incorruptible)賞」という学校や図書館経由で生徒が投票する書籍に与えられる賞が1988年から存在しており、この「マンガ版」として受け入れられた側面もある。地域の図書館にとっても青少年の利用者を増やすことは大きな目的の一つである。このため、「このマンガを読もう!」といったイベントはこの賞以前にも各地で開催されていた。「マンガワ賞」は賞と名づけることにより、学校や図書館が参加しやすくなる。フランス書店協会が発表したコミュニケによると、2016年のマンガワ賞では、図書館・中高校あわせて722施設、11,000人の生徒が参加している。前述の「アンコリュプチブル賞」は対象が幼稚園から高校生とマンガワ賞より対象が広く、参加施設数は7400施設、参加人数は36万人とはるかに大きい。しかし、このような大きな賞が存在することにより、それを補完するマンガワ賞というのは受け入れられやすいと考えられる。
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