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フランスの中高生が選ぶマンガワ賞(その2)-費用をかけない賞のしくみ

[豊永真美] ■一書店の発案がきっかけ ■ お金がかからない賞のしくみ ■ 見返りが殆どない賞になぜ参加するのか ■ 出版社にとってはメリットが大きい ■ 日本ファンの集う拠点に 

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■ 見返りが殆どない賞になぜ参加するのか

受賞作品にも、特に賞金・賞品が渡されるわけではない。マンガワ賞のQ&Aのページに、受賞した作者は訪仏するのかという問いがあり、この問いに対する回答は「アジアは遠い」というものだ。なお、各学校への参加の賞状は、ネットからダウンロードするしくみとなっており、こちらの印刷費もかけていない。
この賞に参加する学校や図書館のメリットは、予算の制約が大きい公立の学校や図書館にとって、ほとんどお金をかけずに全国規模のイベントに参加したと報告ができることだろう。

また、フランスの社会的背景もある。フランスの貧しい地域では生徒の保護者も働いていないことが多い。教師や司書は、生徒が話すことができるほぼ唯一の大卒の大人である。教師や司書のような「大卒の働く大人」との接触時間を長くすることにより、生徒の将来の選択肢の幅を広げるという考えが強い。一方「アンコリュプチブル」の候補作は小説が多く、生徒にとっては敷居が高い。
表彰式の際、パリ中央の立派な歴史的建造物を訪れることはそれだけで立派な社会科見学となる。これも特に貧しい地域に育った生徒にとっては晴れがましい機会となると考えられている。
《animeanime》
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