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フランスの中高生が選ぶマンガワ賞(その2)-費用をかけない賞のしくみ

[豊永真美] ■一書店の発案がきっかけ ■ お金がかからない賞のしくみ ■ 見返りが殆どない賞になぜ参加するのか ■ 出版社にとってはメリットが大きい ■ 日本ファンの集う拠点に 

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■ お金がかからない賞のしくみ

マンガワ賞のしくみはこうだ。主催者のルケンヌ夫妻が、少年、少女、青年の各カテゴリーからそれぞれ5作品、合計15作品を選び9月に発表する。作品は第一巻のみが審査の対象となるので、合計15冊が審査の対象だ。
参加を表明した施設はこの15冊セットをアンジュ・ブルーから購入する(2016年では142ユーロ)。参加するためにはアンジュ・ブルーでの購入が必須となっており、この賞の収入源ともなっているようだ。単純計算すると、2016年の参加施設数722に142ユーロをかけるとおよそ10万ユーロとなり、アンジュ・ブルーの年間売上の半分以上となっている。

ちなみに、参加する施設は、通常書籍を購入する書店等以外からの書籍の購入となるが、何か問題はないのだろうか?この点、マンガワ賞に参加している図書館の収支表によると通常の図書購入費とは別に「マンガワ賞参加費」として15冊セットの料金が計上されている。マンガワ賞の参加費として処理することで、通常の図書購入の予算と別掲できているようだ。(なお、主催者の説明では、マンガを借り出してもよいかどうかは施設に任せるが、より多くの人が読めるように、貸出禁止とすることを推奨している。また1冊45分程度で読み終わるものが選択されているという)

さて、マンガワ賞に参加した施設は、審査員の生徒を募る。この課程で、各施設は候補作の読書会を開催してもよいし、異なる学校の間で討論会を開催してもよい。また、付随するイベントとして、アニメの鑑賞会や日本やアジアの小説の読書会、マンガの描き方教室、あるいは「折り紙」や「コスプレ」を行うことを例としてあげている。
9月に作品が選出されたあと、3月に投票が行われる。9月から3月までの間、各施設は、いろいろなイベントが自由にできることになる。また3月の投票については、それぞれのカテゴリーの5作品を読んだ生徒がそのカテゴリーの投票権をもち、受賞作は得票数のみで決定するようだ。各施設は個別に感想文コンクールなどを行ってもよいようであるが、催者は感想文のあるなしは評価の対象としない。
4月に審査の発表が行われ、授賞式はパリにある「著作者協会」が入る歴史的建造物オテル・ド・マッサで行われる。参加した学校は生徒2人まで、この授賞式に参加することができるが、これは学校か個人の負担である。
《animeanime》
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