世界で最も注目される映画祭、カンヌ国際映画祭にて、日本で最も古い長編アニメーションが蘇った。往年の傑作、名作を紹介するクラシック部門のひとつとして瀬尾光世監督の『桃太郎 海の神兵』が上映された。本作はいまから70年以上も前となる1945年、太平洋戦争の真っ只中、松竹により製作された。作品の内容は戦時下の時代も反映したものだが、そのアニメーションの技術は高く評価されている。日本のアニメーション史のなかでエポックメイキングな存在だ。今回の上映は、IMAGICAの技術協力によるデジタル修復版が完成したことによるものである。5月13日に、会場となるSalle Bunuelでワールドプレミアが開催された。上映会場は満席となる盛況だった。会場には松竹の高橋敏弘氏、それにレストレーションスーパーバイザーを務めたIMAGICAの中村謙介氏が登壇、観客に向けて挨拶を行った。古いアニメーションの修復の意義と、挑戦について語った。IMAGICAは、これまでも政岡憲三監督の傑作『くもとちゅうりっぷ』(1943)や現存する日本最古のアニメーション『なまくら刀』などの修復を行っている。『桃太郎 海の神兵』もそうした経験に基づいて、修復されている。今回の素材となったのは、松竹が保有していたマスターポジである。ここからまず4Kスキャン実施、さらにこれを2Kに修復した。キズや汚れ、フリッカー、裂け、コマの欠損もあるフィルムを手作業で丹念に作業し、70年前の人が観たイメージの再現に注力し、今回のデジタル修復版が完成した。70年前の匠の技を現代の巧みが蘇らせたかたちだ。今回の成果は、日本でも今後確認出る。2016年8月3日に松竹より「『桃太郎 海の神兵/くもとちゅうりっぷ』デジタル修復版」がBlu-rayとDVDで発売される。日本のアニメーションの誕生期の貴重な映像が手軽に視聴できる。デジタル修復の成果と言っていいだろう。
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