「ペット」クリス・ルノー監督インタビュー“ペットから見える世界、その視点を大切に” | アニメ!アニメ!

「ペット」クリス・ルノー監督インタビュー“ペットから見える世界、その視点を大切に”

インタビュー

2016年8月11日にCGアニメーション映画『ペット』が国内公開となる。2015年に全世界を席巻した劇場アニメーション『ミニオンズ』を送り出した、イルミネーション・スタジオとユニバーサル・スタジオが再びタッグを組んだ話題作だ。
タイトルから分かる通り、本作の主人公はペットたち。飼い主が留守中に繰り広げられる、ペットたちの“秘密の日常”をユーモラスに描き出す。
今回、アニメ!アニメ!では、共同監督のひとりクリス・ルノー氏にインタビューを敢行した。ルノー監督は『怪盗グルーの月泥棒 3D』(10)や『ロラックスおじさんの秘密の種』(12)など、イルミネーション・スタジオで数々の人気作を手がけてきた実力派だ。ペットを題材とした理由とは? 動物たちを魅力的に描くうえで意識したことは? 話を訊いた。
[取材:数土直志 構成:沖本茂義]

映画『ぺット』
8月11日(木・祝)全国公開
http://pet-movie.jp/

■ 大切にしたのはペットたちの“視点”

――本作では、ペットたちの知られざる日常を描かれるとのことですが、そもそも何故“ペット”をテーマにしたのでしょうか?

ルノー
ある日、本作のプロデューサーであるクリス・メレダンドリが「ペットって僕たちがいないときどんなふうに過ごしているんだろう?」とつぶやいて。僕やスタッフたちがそのコンセプトをすごく面白いと思って、そこから全てがはじまったんです。
ただ、人に飼われている動物たちが主人公のアニメーションはこれまでもありました。なのでペットをフィーチャーしつつ、今まで観たことがない映画をつくるために工夫が必要でした。

――実際、どうされたんでしょう?

ルノー
まずひとつに、一種類だけではなく様々な動物に焦点を当てようと。ペットの代表格といえば犬や猫ですけれど、それだけに限らず魚やハムスター、爬虫類だっているわけです。幅広い動物たちを描くことで、よりスケール感を出せるんじゃないかと。
ふたつめに、近年のペットに対する捉え方の変化に着目しました。ネットが普及したいま、飼い主はSNSやメールで自分のペットの画像をシェアしたりしますよね。それって、飼い主自身のキャラクターやアイデンティティをシェアしているともいえます。つまり「ペットを飼う」ということの意義自体が変わってきている。この2つの観点を取り入れたら、今までになかった新しいペット映画をつくれるんじゃないかなと思いました。

――バリエーション豊かな動物が登場するとのことですが、キャラクター付けに関してはいかがですか? 一般的に「犬は賢く従順」「猫はワガママ」みたいなイメージがあります。イメージ通りに描くのか、あるいは反対のイメージで描こう、などは?

ルノー
たしかに我々が持っているイメージをキャラクターに反映させている側面もあります。たとえば、太っちょ猫のクロエは、気ままで自己中心的な性格で、猫の典型的なイメージを持ちあわせています。
ただ同時に、ステレオタイプに陥らないように気をつけました。意外な一面やサプライズがないと。ストーリーやキャラクター、コメディ演出に必要なのはサプライズ。それがないと魅力的な作品にならないんですね。

――動物を描くうえで意識されたことは?

ルノー
動物たちは世界をどう見ているのか……彼らの視点を大切にしました。たとえば、主人公犬のマックスは、飼い主であるケイティが外出すると寂しがるんです。あるとき、ケイティが忘れ物を取りに帰ってくると、実際には数秒しか時間が経ってないのに、マックスはすごく長い時間を待たされたみたいにはしゃいで喜ぶ。そういった人間とは違ったペット特有の感覚をしっかり描こうと。


■ 魅力的なキャラクターを生み出す秘訣、“可愛い”だけではダメ

――野暮な質問かもしれませんが、本作はジャンルとしては何になるんでしょうか? コメディなのかアドベンチャーなのか、あるいはロマンスなのか……。

ルノー
全部だよ!(笑)。でも、あえて言うならコメディかな。「怪盗グルー」シリーズだって、アドベンチャーや感動の要素があったけれど、コメディだったと考えているし。
キャスティングに関しても、コメディが引き立つような役者さんにお願いしているんです。「怪盗グルー」シリーズのスティーブ・キャバレロ(グルー役)のように、これまでキャラクターに声を当ててくださった役者さんたちは、うまくコメディを引き立ててくれました。今回の『ペット』も同じです。吹き替え版についても、各地域におけるコメディ的な才能を持っている方に演じてもらっています。

――本作から少し離れますが、「怪盗グルー」シリーズや『ロラックスおじさんの秘密の種』など、ルノー監督やイルミネーション・スタジオが生み出してきたキャラクターはどれもみなキュートです。魅力的なキャラクターを生み出す秘訣などはあるのでしょうか?

ルノー
実は、日本のキャラクターデザインからも影響を受けています。「ポケモン」が良い例で、日本のキャラクターはキュートなんだけれどパワフル。そういったデザインは影響を受けていて、とくにミニオンがそうじゃないかな。明るい色調、大きな目、小さなサイズ……そういった要素はかなり意識しています。
あと、「人は何をキュートに感じるのか?」というのは古今東西でかなり共通しています。たとえば、子犬や赤ちゃんは誰しもが可愛いと思うはずで、それらは体に対して頭が大きかったり、目が大きいなど、同じデザイン要素を持ち合わせている。これも、魅力的なキャラクターを生み出すうえで参考になります。
あと、イルミネーションのキャラクターのデザインは、可愛いだけでなく、少しエッジを持たせています。なぜかというと、可愛いだけだと「可愛いけど、それだけだよね」と思われてしまう。魅力的なキャラクターにならないんですね。そのあたりキャラクターづくりでは意識しています。

――大ヒットを記録した『ミニオンズ』のスタッフが再結集するということで、ファンからの期待はかなり大きいはずです。そこで最後に、これまでと変わらない魅力、逆に「ここは違うぞ」というポイントを教えてください。

ルノー
まず変わらない部分については、感情を揺さぶるところと、エッジのあるコメディ、このふたつの絶妙なバランスです。これはイルミネーションの第1作『怪盗グルーの月泥棒』から共通している要素だと思います。
新しい要素については、本作が「怪盗グルー」シリーズ以来初となる、オリジナル作ということです。たとえば、原作小説がある『ロラックスおじさんの秘密の種』では、美術的なアプローチもふくめて原作に寄り添ってつくりました。ですが、今回はオリジナルのアイデアや世界観、キャラクターになるので、その部分をサプライズとして受け取ってもらえると嬉しいです。

――期待しています。本日はどうもありがとうございました。

《沖本茂義》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集