大手エンタテインメント企業のKADOKAWAは、4月11日に米国サンフランシスコに本社を持つ海外向けのアニメ配信の大手Crunchyrollと戦略的提携で基本合意をしたと発表した。北米市場の開拓に、米国の日本アニメビジネスで急激に存在感を増すCrunchyrollの協力を得る。両社の提携は主に3つからなる。ひとつは海外配信権の包括提携である。Crunchyrollは、今後1年間テレビ放送予定のKADOKAWAのアニメ作品のアジアを除く海外配信権の包括許諾を受ける。現在、日本アニメの海外配信権は複数の映像プラットフォームが激しい獲得競争を繰り広げており、価格が上昇しているとされている。Crunchyrollにとっては、安定的な作品確保につながる。ふたつめとしてCrunchyrollは、今後製作するKADOKAWAのアニメ作品に共同出資をする。アニメの企画段階から製作に参加することで、リスクや利益を分かち合う。3つ目はアニメでなく、出版分野となる。KADOKAWAの出版事業とCrunchyrollの配信プラットフォームをつなげてマーケティングの協力をする。Crunchyrollは映像だけでなく、マンガなどの電子書籍の配信もしている。しかし、多くのユーザーから利用されるアニメに比べてそのビジネスは発展途上だ。KADOKAWA作品を得ることは、この電子書籍の分野の強化につながる。KADOKAWAは同日、北米出版大手のアシェット・ブック・グループ(Hachette Book Group)の日本翻訳マンガ・ライトノベル事業を持つYen Pressを合弁会社のかたちで傘下にすることも発表した。Yen Pressを活用したKADOKAWAの書籍コンテンツの翻訳出版、デジタル対応、その主要な出口のひとつとして、Crunchyrollを活用することになりそうだ。全体的に、Crunchyrollにとって有利な条件が多く見える。しかし、KADOKAWAの北米進出は、アジア地域に比べて大きく遅れている。電子書籍、アニメもライセンス販売が中心で、北米で自からビジネスを執るかたちではなかった。合弁会社Yen Pressの設立と、Crunchyrollの戦略的提携は、こうした状況を一気に覆す可能性がある。北米市場の直接進出に乗り出すKADOKAWAの大きな決断だ。[数土直志]
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