舞台「黒子のバスケ」、「ギャグマンガ日和」、「ふしぎ遊戯~朱ノ章~」高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評 | アニメ!アニメ!

舞台「黒子のバスケ」、「ギャグマンガ日和」、「ふしぎ遊戯~朱ノ章~」高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評

高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評の4月第2週は話題のステージ3つに注目した。舞台「黒子のバスケ」、「ギャグマンガ日和」、「ふしぎ遊戯~朱ノ章~」を取り上げる。

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高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評
第167回

■ 舞台「黒子のバスケ」 THE ENCOUNTER

アニメ化もされた藤巻忠俊の大ヒットマンガ『黒子のバスケ』初の舞台化、小野賢章がアニメと同役で出演することで、早くから話題になった。
幕開きの音楽はRock、物語は、主人公の黒子テツヤ(小野賢章)と火神大我(安里勇哉) が誠凛高校に入学し、バスケットボール部に入るところから。

映像等の昨今のハイテク技術を一切使わず、コロスを有効に使い、徹底したアナログ演出、実際のバスケットボールを使用するシーンもあるが、ひとつの表現にこだわらずに、場面毎に合った方法で見せていく。そして試合のシーンだが、ダンスやコンテンポラリーの動き×バスケットボールの動き、これが全体を立体的に見せる。
またスローモーションも用いてシーンをクローズアップ、舞台も上下にちょっと緩やかな勾配をつけた”台”をしつらえ、視覚的に奥行きを感じさせる。舞台全体でバスケットの試合をダイナミックに、アーティスティックに見せるフォーメーションもランダムに見えて緻密な動き、これが実に見事で、作品のハイライトシーンになっていた。

小野賢章の黒子テツヤ役は当たり役、火神大我役の安里勇哉は長身で見た目や体格もキャラクター度満点。黒子が火神を諫めるシーンは、今後の2人の絆を暗示、秀逸で印象的であった。
ストーリーはほんの序盤、原作を紐解きたくなるような舞台版、物語はまだまだ続いているが、この続きも劇場で、といきたいものだ。

[公演データ]
舞台「黒子のバスケ」 THE ENCOUNTER
2016年4月8日~4月24日
サンシャイン劇場
http://www.kurobas-stage.com/

■ 『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 デラックス風味』

昨年好評だった作品を”デラックス風味”と銘打ち、バージョンアップして”再登場”。
ストーリーは初演と同じではあるが、ファンならよく知っているギャグ、名シーン、名台詞の連続。”名探偵うさみちゃん”、そして”スクール水着”も健在だ。舞台では新キャラクターの松尾芭蕉(阿部丈二)と河合曾良(小笠原 健)だが、このコンビが絶妙でテンション高く、落ち着きのない松尾芭蕉に対してどSで無愛想な河合曾良、キャスティングの勝利、といった感があり、次回は是非、メインでお願いしたいところ。
この2人、何故か聖徳太子(西山丈也)と小野妹子(長江峻行)に遭遇するが、ここは”大人の事情”(笑)。聖徳太子と小野妹子のコンビ、お約束の遣隋使のシーン、タコタコ星人の煬帝(岡田地平)、もちろん塩で絶命するのは”お決まり”。初演キャストに新キャストも加わってゲネプロでもパワー全開で客席は笑いの連続に。

物語は普通田ふつお(鎌苅健太)[原作モデルは平田平男]を中心に進んでいくのだが、極めて”いい奴”なのに、もう不幸の連続、でもラストはちょっとホッとする結末。ただひたすらに面白いだけじゃない、コントではなく”演劇”なのだ、と思わせてくれる。この作品はとにかくネタが多く、いろんなバージョンが期待出来る。シリーズ化しても不思議じゃないコンテンツだ。

[公演データ]
『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 デラックス風味』
2016年4月6日(水)~4月10日(日)
AiiA 2.5 Theater Tokyo
http://butai-gagmanga.com

■ ミュージカル『ふしぎ遊戯~朱ノ章~』

『ふしぎ遊戯』は1992年、『少女コミック』で連載され、全18巻。何度か舞台化されており、今回は初のミュージカル化となる。
とにかく歌が多く、オペレッタのような構成、ひたすら歌が入る印象。朱雀七星士が順番に登場するのだが、それぞれの”テーマ曲”が楽しい。見どころはやはりアクションシーン、段差を有効に使ってさらにダイナミックに魅せる。平野良(鬼宿)のジャンプの高さは必見、小谷嘉一(翼宿)のコミカルな動き、前山剛久(星宿)の品の良いアクションは、キャラクター研究の成果か、たおやかな雰囲気。朱雀七星士たちが限りなくかっこよく、まさに”漢”な面々、情に厚く、まっすぐだ。アンサンブルのダンスはバレエを基本とした曲線的なダンスと近年流行の直線的なダンスを上手く使い分けて物語や感情の輪郭をはっきりとさせる。ところどころに差し込まれる細かいギャグも楽しく、2幕ものの大作、原作を大きくはしょらずに丁寧にエピソードを描いており、異世界ファンタジーでありながら恋愛模様もしっかり入った秀作であった。
田中れいなはキュートなルックスを生かした役作りでヒロインを好演。平野良は当たり役で、初演から演じ続けているのもよくわかる。カンパニーもよくまとまっており、また物語も長いので、ミュージカル版の続編も期待したい。

[公演データ]
ミュージカル『ふしぎ遊戯~朱ノ章~』
2016年4月8日~4月17日
池袋・あうるすぽっと
http://www.39amipro.com/fushigi-shu/
《高浩美》
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