2016年2月10日、電撃文庫の小説公募新人賞「第22回電撃小説大賞」の受賞作品が刊行された。応募総数4580作品の中から選ばれた3作品がいよいよお披露目となる。今回発売されたのは「第22回電撃小説大賞」の大賞1作品と金賞2作品である。電撃文庫からデビューする新人作家に期待がかかる。大賞受賞作・松村涼哉『ただ、それだけでよかったんです』はある中学校で自殺した男子生徒Kの謎を追うストーリーだ。イジメをテーマとしており、選考委員からは「大きなうねりにゾクゾクする一冊」「人の心を折るということを、ここまで誠実に描いた作品はなかなかない」など絶賛の声が寄せられた。「菅原拓は悪魔だ」という遺書を残したKはなぜ追い詰められたのか。4580作品の頂点に輝いた作品だけに、その内容は大きな注目を集めるだろう。金賞受賞作・三鏡一敏『ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理~』はイノシシのセイが食材として神々の台所・ヴァルハラキッチンに招かれたことからはじまる冒険ファンタジー。同じく金賞受賞作・駱駝『俺を好きなのはお前だけかよ』は三つ編みメガネの地味な少女・パンジーこと三色院菫子を巡る物語だ。「第22回電撃小説大賞」特集サイトでは、各作品のストーリー紹介や試し読み配信などを行っている。著者インタビューや推薦コメント、作品のプロモーションビデオなどもあり、受賞作の世界観を垣間見ることができる。電撃文庫は小説だけにとどまらずマルチメディア展開にも積極的だ。今後の受賞作の中には未来のアニメ作品も含まれているかもしれない。そのほかの「第22回電撃小説大賞」受賞作は、2月25日にメディアワークス文庫から大賞受賞作を含む3作品、3月10日に電撃文庫から受賞2作品が発売される。[高橋克則]
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