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『リトルプリンス 星の王子さまと私』キャラクター監修:四角英孝氏インタビュー 「CGで繊細な表現にこだわる」

『星の王子さま』にてスーパーバイザーとしてそのCG表現映像化に挑戦した四角英孝氏。本作で何を目指したのか? 海外から日本のアニメーションの現状はどう映るのか? 話を聞いた。

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■ いつか2Dアニメのクリエイターと面白いものをつくりたい

―― 四角さんはこれまでディズニーでお仕事されていましたが、本作に参加された経緯は?

四角 
ディズニーの『シュガー・ラッシュ』の制作が終わって、次は『アナと雪の女王』の制作が迫っていたころ、何か新しいチャレンジをしたいなと思っていたんです。そんなとき、たまたま親友のフランス人のアニメーション監督からマークを紹介されて、「『星の王子さま』をCG化したいんだけど協力してくれないか?」と誘われたんです。
さきほども言いましたが、最初は不可能だと思って躊躇もありました。でもこれは自分に与えらた役割だと思って引き受けました。

―― CGアニメーションの最前線で活躍されてきた四角さんですが、CGアニメーションの現状や今後の課題をどうとらえていますか?

四角 
レンダリング技術の進歩は凄まじいですね。物体の質感や色合いの表現も洗練されてきて、コンピューター上にあたかも本物のようなオブジェクトをつくることも可能になってきた。ただ、それがリアリスティックになり過ぎると、キャラクターがすごく不気味に見えるんです。

―― いわゆる不気味の谷ですね。

四角 
まだ完全には克服できてなくて、それがいちばんの課題だと思います。どうすれば不気味の谷を乗り越え、観客の心に訴えるキャラクターをつくることができるのか。『リトルプリンス』ではそのあたりをかなり意識してつくりました。

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―― キャラクターデザインに関して、少女とお母さんの目が大きく表現されています。デフォルメしたほうが受け入れやすいということですか?

四角 
それはありますね。ピクサーがなぜリアリスティックなキャラクターをやらないかというと、不気味の谷の存在を知っているからです。かつて『ファイナルファンタジー』(01)という究極にリアリスティックなCGアニメーション映画がありましたが、あの方向性でもう一度やって、違和感なく見せることができたらCGアニメーションのゴールだと思います。まだみんな恐くてやってませんけどね。

―― 海外アニメーションの最前線で活躍されてきた四角さんの目から、日本のアニメーションの現状はどう映っていますか?

四角 
日本のアニメ業界とは距離を感じるところですが、世界から称賛されているように日本の2Dアニメーションの表現は完成されているし、つくり手の才能もすごい。ただ、僕としてはやっぱりCGに可能性を感じる。いつか手描きの2Dアニメーションと3DCGを融合させて、面白いものをつくるのが僕の夢なんです。

abesan―― それは是非みたいですね! 手を組んでみたいクリエイターはいますか?

四角 
そうですね……たとえばジブリのDNAを受け継ぐ米林宏昌さんとか。2Dの第一線で活躍されている方が「CGをやってみたい」ということがあれば、ぜひ一緒に挑戦したいです。そのときは応援してください(笑)。

―― もちろんです。それでは最後に改めて本作の見どころをお願いします。

四角 
各キャラクターの成長や感情の機微に注目してほしいですね。飛行士の老人と女の子、それにお母さん、3人が『星の王子さま』の物語を通じて成長していきます。お母さんは失ってしまった子どものころの想いを取り戻し、飛行士は閉じた心を解放していく。そのあたり自分と重ね合わせて共感できるものがあるはずです。   

映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』
11月21日(土) 全国ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/littleprince/

《沖本茂義》
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