アニメライターの仕事術-第11回 箇条書きがすぐできる人と、できない人 2ページ目 | アニメ!アニメ!

アニメライターの仕事術-第11回 箇条書きがすぐできる人と、できない人

渡辺由美子さんの連載「アニメライターの仕事術」第11回目。今回は「トップダウン」型、「ボトムアップ」型な人の思考について。連載は第2・第4火曜日に更新中。

連載
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■あなたはトップダウン? ボトムアップ?

簡単な【チェックポイント】を考えてみました。
読者のみなさんもぜひやっていただければと思います。

●「まずは箇条書きでいいから出して」と言われたら
A[すぐに出せる] or B[箇条書きになかなかならず、つい文章が長くなる]

●読書の時にフセンはつけるほう?
A[フセンはつけない、または最低限] or B[本がフセンでいっぱい]

■ボトムアップ型は「全体からの逆算」「はっきり分割」が苦手

Aがトップダウン思考、Bがボトムアップ思考です。
ボトムアップ思考の人は、私と同じく「取捨選択」が苦手です。
それは、どの項目も重要に見えてしまうので「全体から重要事項だけをチョイスする」という作業に時間がかかってしまうから……!

思考の違いが、仕事にも反映しているのかもしれないと私は思いました。

たとえばWebの長文原稿。私が、文章量が多いインタビュー原稿について、なかなか内容が削れないでいると、夫が次のようなアドバイスをくれました。
「仕上げる原稿の文字数がワード6ページ分だから、テーマ内容を3分割して第1章~3章に分けて、1章につき2ページづつになるように削る」。

その通りにやろうとしたのですが……まずテーマ内容を3つに分割できません。インタビュー発言のどれもこれもが大事な項目に見えてきてしまって、削ることができないのです。また、どの項目にも関連性がある気がして、なかなかはっきりと3分割になってくれない。

そして、「1章につき2ページに収める」こともうまくいきません。章によって文章がふくらんだり、少なくなったりしてしまいます。

夫の思考はトップダウン型だったんだと思いました。
そういえば夫は、本にフセンはつけないし、話し合うときもあまりメモを取っていません。私はその反対で、インタビュー中は、お相手の方の顔を見ながら発言をできるだけ全部ノートに書いてしまいます。それはテープ起こしの手間を省くというだけじゃなくて、どこが大事なポイントか、箇条書きにまとまらないからなんですよね……。

話がそれました。
ともあれ、長文原稿を「全体から3分割する」という方法は、私には難しいということがわかりました。

代わりに私が取った方法は、「項目の仲間を作る」でした。項目同士で強い関連性のあるものをまとめてグループにする。小さなグループがたくさんできるので、さらに関連づけてまとめていって、3個になるまで調整をする。
全体から分割して細分化していくのではなく、細かい要素をまとめてだんだん大きなカテゴリーにしていく、そんなイメージがボトムアップだと思います。

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表:「トップダウンとボトムアップの思考法の違い」

■それぞれに得意分野がある

全体把握が苦手なボトムアップ型ですが、得意な部分もあるようです。それは「連続性」と「頭の中に100行が埋まっている」ところです。トップダウンの人に聞いたところ、「なんでもまとめてしまう性分なので、長文になりにくい」という答えが返ってきました(もちろん人によると思いますが)。
ボトムアップの人は、数個の箇条書きを提出したときには、すでに1個あたり100行書けるストックが頭の中にある気がします。

トップダウン思考で書く原稿は、テーマがはっきりしていて読みやすい。
ボトムアップで書く原稿は、物語のように連続した筋を追っていける楽しみがある……そんな風にも考えられると思います。

職業で言えば、進行管理をする人は、トップダウンの思考ができていると思います。納期までの逆算ができないと務まらない仕事だからなのでしょうね。進行管理担当の人は、元々の性分がボトムアップ思考でも、訓練でトップダウン思考を身につけているのかもしれません。

次回は、自分に欠けていた「全体を把握する思考」を補うために、《見積もり》を始めた話をします。ぜひ読んでくださいね!

■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香
《渡辺由美子》
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