■「思考力が落ちる」「飽きてしまう」問題を解決する「生活サイクル」の作り方だらだらしている時間を減らして、作業をたくさんこなせるようになろう仕事術、第7回です。記録をつけ始めてみると、一日の中で作業がちゃんとできている時間の少なさに愕然としました。どんな風にだめなのかというと、午前中からついネットを見たりしてしまって、一日なんとなく終わってしまう。〆切日が遠いとなおさらです。この「なんとなくのダレ感」で、一日が終わるのだけは避けたい!ダレてしまう大きな原因は、脳が疲れてしまうこと。それから飽きてしまうことにありました。思考力と気力の両方が低下してしまうのです。それで一日の生活の中で「パーテーション」をもうけて、一日の時間割を作ることで、やる気を復活させられないかと考えました。、タスクをこなしてダレてきたら、休憩を入れて脳をリフレッシュさせるのです。一日の中でいつを休憩にするか、最初はなかなか決められませんでした。最終的に「大きな節目」として機能したのは「食事」の時間でした。食事の時間をできるだけ一定にして、そこまでは頑張ろうという計画です。■時間割をつくってみた数年前に作った、自宅作業日の大まかな時間割です(取材や打ち合わせの日は別です)。実際はこの通りにいかない日も多かったです。のちのち、もっと「テンション型」に合ったやり方が見つかったので、連載の後半でお伝えします。でも、最初の《思考の柱》としてはとても役にたったので上げておきます。2時間作業→昼食→3時間作業→風呂→2時間作業としました。頭を酷使する原稿仕事が多いため、7時間を目安にしています。「仮眠を取る」と書いてあるのは、当時はこれを入れないとどうにもリフレッシュしないためでした。今となっては、買い物などの身体を動かすことで代用が利きます。気をつけたのは以下の点です。●一定の生活リズムを作る食事を固定にすることで、《一定の生活リズム》を作りたいと思いました。起床と就寝だけでも毎日同じ時間にすることで、身体のスイッチが入りやすくなると思います。●食事を節目にする脳が働いているときに胃に負担をかけたくなくて、当時は朝食は豆乳とパンを一枚で済ませていましたが、それだけではお腹がすいてやる気が続かないので、昼食を前倒しして11時にしていました。今は、朝食は「10時頃に白米130gまたは雑穀米を140gを食べる」という形になりました。それが自分にとって一番胃に負担がかからず頭がまわる朝食でした。そして昼食は、12時30分~13時の間。この習慣は今でも続いています。●脳を夕方まで疲れさせない脳を一番使う仕事は、午前中に入れることにしました。脳はここぞという大事な場面で働かせたいし、一日の終わりになるほど頭が疲れてきて思考力が要るタスクができなくなります。思考力が落ちてくる夕方には、メールを書いたり調べ物をする等の、直接原稿とは関係ない作業を入れることにしました。だらだらして何もしない時間を減らそうと始めた作業記録と時間割。たくさん作業が進んだ日には、作業と作業の間に生じるムダ時間の少なさにうっとりする……ということも起き始めました。web媒体で長文原稿を書き始めた頃には「今日も原稿が進まなかった」と落ち込んで、ますます手が止まるという負のスパイラルがありました。そこから抜け出せたのは本当にうれしかったです。振り返ると、作業記録も時間割も、「一日の終わりまでにこれだけの時間がある/これだけしか時間がない)」という《時間の枠》を意識することだったのかなと思います。《時間の枠》の概念が、「〆切日が遠いとピンと来なくて、早くやろうと急ぐことができない」私に足りない部分だったのだろうなと思います。■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。イラスト・宮原美香