アニメライターの仕事術‐第1回 「〆切に間に合わない!」どん底からの脱出(前編) | アニメ!アニメ!

アニメライターの仕事術‐第1回 「〆切に間に合わない!」どん底からの脱出(前編)

渡辺由美子さんの連載「アニメライターの仕事術」第1回目、まずは「アニメライターの仕事術」とは…?というお話。今後は第2・第4火曜日に更新します。

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アニメライターの仕事術
【第1回】「〆切に間に合わない!」どん底からの脱出(前編) 

皆さまこんにちは。私はライターの渡辺由美子と申します。
今回から『アニメ!アニメ!』誌上で、連載『アニメライターの仕事術』を書かせていただきますね。
さて、アニメライターの仕事術って何かと言いますと、

やらなきゃいけない仕事をサクサクこなして、心身ともに健康になろう!

という術であります。

私は90年代からアニメやカルチャーのジャンルでライターをしてきました。アニメ誌、声優誌から始まって、だんだん週刊誌、新聞といった一般誌でも書くようになりました。
『ボイスアニメージュ』創刊に関わり、『月刊ニュータイプ』で『新世紀エヴァンゲリオン』担当になり、岡田斗司夫さんと一緒に仕事をして単行本『結婚ってどうよ!?』を共著で出したこともありました。

わりと順調だったんです。30代半ばまでは……。

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■30代半ばになると体力勝負ができなくなる

30代半ばになると何が変わるかというと、徹夜が辛くなります。徹夜が辛くなると、それまで何とか〆切までに上げていた原稿が上がらなくなるわけです。

そしてその頃出てきたのがWeb媒体。Web媒体って、印刷所が関わっている紙の雑誌と違って、〆切が後ろに延ばせてしまうんです。
だから「ちょっと適当なトコもあるけどコレで送ってしまえエイヤ~ッ!」という“ライター魔法の呪文”が唱えられないんです(あ、紙媒体の編集さんスミマセン……)。

1つの成果物を上げることでお金をもらう職業だと、生産量の低下=儲からないに直結します。私は儲からないことで自信を失って、さらに原稿が遅くなるという負のどん底スパイラルにおちいりました。

「そうか、歳をとると成果物を上げる職業は不利なんだな」
と、思った方もいるかなと思います。

でも、結論から言えばそうでもないんです。
20代の体力はなくても「経験と知恵」は貯まっていくのですよ……!
作業が進まないときにうじうじ悩んでいる時間や、この仕事を続けていて大丈夫かという根本的な不安や、不安からむやみにこだわりすぎて何度もやり直してしまう無駄な作業……そういったものを取り去っていくことで、20代よりも早く仕事が上がったりするようにったりします。
たくさんの経験をしてきてよかったなと思います。

しかし、そう思うようになるまでが結構大変でした。
この連載では、私が一番悩んで七転八倒していた時期にどんな風に仕事をもう一度こなせるようになっていったかをお伝えして、皆さんに(特に原稿やタスクが思うようにこなせなくて悩んでいる人!)少しでも役立つようなお話ができればと思います。

■夏休みの宿題を8月31日までやっていた人は……

もともと私は、「毎日コツコツ作業をこなす」ということが、とっっても苦手でした。
ひとつの象徴が「夏休みの宿題」。皆さん、あの長い期間の中で、どうやって作業に取りかかって終わらせているんでしょう? 同級生の中には7月中に終わらせてしまう子もいました。そういう子って「毎日コツコツやっていたらいつの間にか終わってたよ」とか、朗らかに言うんですよ。ぐぬぬ。

私はと言いますと、全然終わらなくて8月27日くらいから焦りだして、29日から半べそで友達や親に迷惑をかけまくってようやく9月1日の朝8時45分に完成というぐあいでした。
ぶっちゃけると勉強が嫌いだったし、宿題もほとんどやってこないし、テストも残念賞だったんですよね。。

「コツコツ型」に生まれたかった……。
その前に、どうして仕事を上げなきゃお金がもらえないライターという職業を選んだのか……。

私がなぜライター業でやっていけると思ったのか自分でも謎なのですが、ひとつだけなんとかなるという“心の柱”みたいなものがありました。

「好きなことなら頑張れる」

ひとたび何かに熱中すると、とことんやってしまう。そんな自分の“オタク気質”を利用しようと思いました。

(後編に続く)

■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香
《渡辺 由美子》
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