アニメライターの仕事術-第8回 脳をリフレッシュする「作業のサンドイッチ」 | アニメ!アニメ!

アニメライターの仕事術-第8回 脳をリフレッシュする「作業のサンドイッチ」

渡辺由美子さんの連載「アニメライターの仕事術」第8回目。自分の行動を見直してどうすれば効率よく作業ができるのか、そのスイッチを探る。第2・第4火曜日に更新中。

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■脳と身体を交互に使って、気分転換と脳の回復を 

前回、一日の「時間割」を決めて、食事や風呂という節目を決めて仕事時間を組み込んだことを書きました。
でも、そのパーテーションだけでは大ざっぱすぎて、一旦休憩してからもう一度仕事に取り組む意欲に繋がりにくいのも事実でした。

どうしてできないんだろう……と落ち込むよりも、記録を見て、仕事ができた日はなぜできたのかという理由を探すことにしました。


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今日は仕事がうまくいったなーと思う日には、共通していることがありました。Aという作業をやって、頭が疲れたらBをやる。Bが進まなくなったらCをやる。飽きたらまたAに戻る、ということができていたのです。

特に発見だったのは、脳と身体を交互に使うことで、脳はリフレッシュができるということでした。
特に、食事、家事や風呂などの《生活タスク》は、脳をリフレッシュするのに役立ちました。特徴は身体を使うこと。身体を使いつつ、その時にはPC(パソコン)から離れて脳を休める。《PCから離れる時間を作り出す》ことは大事でした。

脳を使う作業に疲れて作業が止まったら、身体を使う作業をしてみるというように、脳と身体を交互に使うことによって、そのタスクをする事自体が、前のタスクの休憩とリフレッシュを兼ねるような形にできればと思いました。

以下は、PC仕事とそうでない仕事の組み合わせ方のポイントです。

●PCを使ったら、次はPCなしの作業
PCを使う仕事をやったら、次はPCを消してできる作業をする。できればPCで酷使していた目や頭を使わない作業が良いです。
家事でも買い物でも、身体を使うような作業は、次にPC仕事に行く前の気分展開に最適です。私の場合は、掃除、アイロンがけ、仕事先に行く服選びなんかを入れています。

●PC仕事でも、まったく別の仕事をやるのもアリ
同じPC仕事でも、使う脳の部分(?)が全く違う仕事があります。私の場合は原稿を書いたあとに、アニメの場面写真を選んだり、脚本を読んだりしています。

●PC仕事をあえて紙に出力してみる
「紙に出力してペンで書く」というのも、思考力や気力をアゲるのに有効なようです。いつもPCで書いている原稿を一度出力してみるだけでも、ディスプレイ上では浮かばなかった別の発想が浮かんだりします。

●手の作業が脳を活性化する
仕事でも、脳だけでなく、手も使う作業があります。フセンをつけたり、書類にインデックスを作ったり、メモをマスキングテープでノートに貼ったり。PCの前に座ってもできなくて煮詰まるような段階になったら、こうした《脳を使う手作業》を入れると、「仕事進んでる」っていう気になれて、安心と楽しさがわいてきます。

家で作業をしている時は、決まった休み時間がないのでついだらだらしたり、目の前の作業に手が着かないままPCの前に座っているだけになりがちです。
《活性化を自分で起こす》ことが重要です。

■モードを切り替えるためにスイッチを作る

一日の中で作業をサンドイッチしながら終日仕事を続けるためには、必要なものがあることに気がつきました。それは「スイッチ」です。
テンションを上げるとき、疲れたとき、休むとき、脳をスッキリさせるとき……その都度スイッチを入れたり消したりします。
身体にスイッチを与えることで、「今はこれをやるんだぞ」と、そのモードに切り替えるという感じです。モードが素早く切り替わると、仕事も休憩も遊びもしていないだらだら時間が減ります。そして、自分のスイッチにある程度バリエーションを用意しておくと、目の前の作業が進んでいないときでも立ち直れると思います。
長く続けていくなら、無理のないスイッチで。

【私のスイッチ】
★テンションを上げるスイッチ……音楽(朝起きたらネットを見ずに、真っ先に好きな音楽をかけたりします)、オレンジジュースをコップ半分(朝に飲むと頭が回っていく感じがします。脳が疲れた時も飲みます)、コーヒー(もっとテンションを上げたいとき。取材の1時間前には必ず飲みます)。

★気分転換のスイッチ……目をあまり使わない身体を動かすものにしています。体操でも家事でも服のコーディネイトでもカラオケの練習でも、楽しくなってくるものがいいようです。とにかくPCを切ることが大事! 
目や脳を酷使するタイプのゲームやネットは、脳のリフレッシュには微妙です。

★無理のないスイッチで
私の場合、目の前のやりたくない仕事に取り組もうとして、無理にテンションを上げるためにコーヒーばかり飲んでいました。その結果、覚醒状態になって不安で手に付かなくなったり、夜寝られなくなったりしました。
今だったら、《今はこの仕事はやめて、別の作業をしよう》とか思いつくんですけどね。

時間割や作業のサンドイッチといったを「節目」を設けても、うまくいくときといかないときがありました。一日中仕事ができる状態に持っていくには、まだまだ高いハードルがそびえ立っていたのです。

・敷居の高い仕事に取りかかれない
・時間割通りに進まない、後半どんどんダレてきてしまう


次回以降は、この問題について書いていきたいと思います。

■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香
《渡辺由美子》
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