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「日本アニメ(ーター)見本市」 林 明美インタビュー ‐前編‐『そこからの明日。』での挑戦を語る

「日本アニメ(ーター)見本市」第8弾『そこからの明日』では、監督をアニメーター・演出でもある林明美さんが務めた。本作で林明美さんがチャレンジしたことを何だったのか?話を伺った。

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■ あえて説明しない

――よくよく見ると本作は謎が多いですよね。たとえば、結局彼女は何からの電話を待っていたのか明かされません。


とくに正解があるわけではないので、どう受け取ってもらってもいいんです。たとえば恋人かもしれないし、家族かもしれない、そこは観る人の自由だと思っています。どう感じてもらっても間違ってはいませんw

――近年の商業アニメーションでは、よくも悪くも説明が非常に丁寧ですが、そういうアンチテーゼもあったのでしょうか?


ありますね。なので、あえて必要以上には説明しないようにしています。私も普段TVアニメなどを観ていても説明ゼリフが多いな~と感じていて。
登場人物がどういう気持ちなのか、どういう状況なのかすべてセリフで語られてしまっている作品が多く、気にはなっていました・・。だから本作では語りたい説明は最小限に留めて、セリフで説明するのではなく大部分は歌詞にその役割を担ってもらっています。
尺が短いので、どちらにしても全部説明するのは無理なんですが(笑)

――終盤の盛り上がりどころで、少女が駆け出すシーンが印象的でした。あれはどなたが担当されたのでしょうか?


あのカットはみんなの本田さんです(笑)。主人公の気持ちが転換する場面で、なおかつ動きにも躍動感が出るきっかけのカットということで、ここは師匠にお願いしよう、と。本田さんは、コンテの意図はちゃんと汲みつつも、やっぱりちょっと“足してくる”んですよね~。
コンテにプラスして、作画のスパイス的な感じでカットのクオリティが増してあがってくるので、こっちのテンションも上がりましたね(笑)。

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――あのシーンは、主線が色トレスになり雰囲気が変わりますが、あれはどういった意図で?


あれは結局、彼女の深層心理で、「自分の気持ちひとつで見え方が変わる」というシーンことです。彼女の気持ちに変化が出て、周りも楽しげな発色の良い景色に変わる(見える)。現実世界ではなくて心象風景なので、髪がほどけたりと印象重視なカットが続きます。気づいた方がいるか分かりませんが、途中の街中を歩いているカットの下にある水たまりには現実の世界が映り込んでいます。電車に乗っていたときのままのお団子ヘアで、背景も実景になっているのは本当はそれが現実世界だからなんです。

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後編に続く
《animeanime》
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