「くるみ割り人形」上映会&増田セバスチャン・トークイベント:ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015にて、ニューウェーブアワードを受賞した増田セバスチャンが、「くるみ割り人形」の上映会とトークイベントを行った。
イベント・レポート
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元夕張小学校の校庭に設けられたドーム状の上映施設「ホワイトロック」はほぼ満席。「くるみ割り人形」の上映後、トークセッションがスタートした。
増田は、1979年の旧作「くるみ割り人形」を公開時に見ており、子供心に残った映画とだと語る。「松戸(増田の出身地)にサンリオ劇場というがあって、そこで見ているんです。このお話をいただいたきに、バレエではなくその映画を思い出すぐらい強烈なインパクトを心に持っていました」
旧作くるみ割り人形は、寺山修司が脚本第一稿を手がけ、日本を代表するストップモーションアニメーション作家の真賀里文子がアニメーションを担当した伝説的な人形アニメーションだ。1日5秒分しか撮影できず、完成に5年、当時としては破格の7億円の制作費を費やしたという。
「日本のクリエータの第一人者の方々がいっぱい関わって作られた作品で、恐れ多く感じましたねぇ。プレッシャーがもすごくあって、旧作ファンにバッシングされたらどうしようとか」としながらも「リ・クリエイトという世界でもまれな手法を使っているんです。オズの魔法使いとか、旧作をデジタルマスタリングして、カラー化するという作品が多いのですが、これは脚本から変えちゃってますので、世界的にも珍しい。こうしたことが、僕にとってのチャレンジであったんですね」と増田。
完成した新「くるみ割り人形」は、大幅に手を入れられた脚本と最新デジタルワークにより増田のkawaiiワールド全開の作品に仕上がった。エンディングテーマは、きゃりーぱみゅぱみゅの「おやすみ」。
声優陣には、有村架純、松坂桃李、市村正親など豪華俳優陣が起用されている。以前増田は、「舞台を作っているつもりなんです」と語り、アニメ的になるのを避けるため、本職の声優をひとりも組み込まなかったという。「(キャスティングについては、プロデューサーから)きた俳優さんでやろうと決めていたのですが、どうしてもプロデューサーにお願いしたのが、冒頭のナレーションとばあや役の由紀さおりさん。僕はドリフ世代なので、バカ殿の腰元役のころから、親しみのある歌手というか役者さんと感じていました。子守唄を歌うような気持ちでセリフを言ってくださいとお願いしました」
アフレコでは、常識を覆し、増田もスタジオに入った。「普通、監督はミキサールームから、スタジオ内の声優さんに指示を出すのですが、そうした常識を知らなかったので、スタジオ内に入って、声優さんの脇で指示出してました。声だけの演技なのに、身振り手振りで、こういう演技してください、舞台に載っているつもりでやってください、なんてお願いしていましたね」アニメ声優初挑戦というキャストが多かったこともあり、違和感を唱えるキャストもなく、密度の濃い収録ができたという。
ニューウェーブアワード受賞について、「生まれて初めての賞なんですよ。アートもファッションも全然仲間に入れてもらえなくて。やっと、おいでよ、と呼んでもらったのが映画だと思っているんですね。映画ってすごく懐が深いですよね。こんな新参者の僕も受け入れてくれるじゃないですから。これから、どんどん映画を作っていこうと思います」という増田。
今後の映画人としてさらなる活躍も期待されるが、観客からの質問に答えて、「ディズニ越え、狙っています」と力強い言葉でトークを締めくくった。
[星野一軌]