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舞台「心霊探偵八雲 祈りの柩」一見無関係な”点”と”点”、愛憎の縁が哀しい物語

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義 ■ 原作者自らが脚本、八雲役は前回に引き続き久保田秀敏、共演はアニメと同役で再び東地宏樹、その他にも高橋広樹、樋口智恵子らと豪華声優陣!

連載・コラム
舞台「心霊探偵八雲 祈りの柩」一見無関係な”点”と”点”、愛憎の縁が哀しい物語
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■舞台版、”ミステリー一気読み”のスピード感、最終着地点まで目が離せない、

まず、八雲の設定をわかりやすく見せる。八雲の片目は赤い。死者の霊が見え、しかもその想いもわかってしまう。「何故、見えてしまうのか」とつぶやく。孤独を感じる八雲。
そんな彼にまとわりつく晴香。八雲は彼女を”うっとおしい”というそぶりを見せるが、内心はまんざらでもない様子。晴香は八雲の理解者の一人で彼はそれを十分に理解している。そんな2人の関係を短い時間で見せる。

それから”本題”に。物語が動き出す。ミステリーを読む時、たいがいの読者はそのトリック等に魅せられて一気に読んでいくが、この舞台もまさに”ミステリー一気読み”なスピード感で進行していく。原作者自ら脚本を執筆しているだけあって、クローズアップするところ、省略するところは実に的確だ。
武骨だが、実直そのものの後藤刑事。かつての相棒・桐野は神父になっていた。2人は真逆で息の合わないコンビだった。2人の想いはお互いの心に届かない。
桐野は勤務時代の苦い過去を十字架のように背負う。そんな桐野を理解しきれない後藤。どちらも自分に正直なのだが、すれ違うところが哀しい。”歌う霊”と桐野、一見すると無関係のように見えるが、この”点”と”点”は愛憎の縁で繋がっていた……。この関係性を軸にし、いくつかのトリック、どんでん返しを経て結末に向かう。

原作のノベライズもそうだが、最終着地点までの紆余曲折がこの作品の真骨頂だ。久保田はこの八雲の一見無愛想な、それでいて実は性根は温かい性格を前回より的確に表現。対する美山演じる晴香、ちょっと幼さが残る、自分に正直で真っすぐな晴香を好演。後藤刑事、東地宏樹が演じているが、余裕のある演技、その相棒の石井刑事役の佐野はここぞというところでのコケっぷりや腰が引けてる感は、もはや”お約束”で、ともすると暗くなりがちの物語にアクセントをつけてくれる。

脇を固める俳優陣、桐野演じる高橋広樹、生真面目故に悩み、傷つく姿は観客の涙を誘う。真琴演じる樋口は明るいキャラクターで場面にメリハリがつく役どころ。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで白石蔵ノ介を演じていた安西慎太郎、ラスト近く、熱演、若手ながらベテラン相手に健闘。回想シーン等の挟みかた、心理描写もわかりやすく、正統派な演劇である。前回の「いつわりの樹」もそうだが、この物語には本当の悪人は出てこない。

どこでボタンをかけ違えたのか、かけ違えたまま、どうにもならないところで気づく。シンプルなセット、ノイズ音、照明等で場面が変わる。観劇前に原作を読んでいない場合は是非、観劇後に原作を読んで欲しい。さらに『心霊探偵八雲』の魅力にハマること、請け合いだ。

舞台版『心霊探偵八雲 祈りの柩』
【東京公演】2015年2月11日~2月22日 新国立劇場 小劇場
【大阪公演 】2015年2月27日~3月1日 ABCホール
原作・監修: 神永 学「心霊探偵八雲」シリーズ(株式会社KADOKAWA 角川書店刊)
脚本: 神永 学、丸茂 周
演出: 伊藤マサミ(bpm/進戯団 夢命クラシックス)
[出演]
久保田秀敏 美山加恋/安西慎太郎 石渡真修 東 啓介/
樋口智恵子 齊藤来未子 北原沙弥香/佐野大樹 高橋広樹 東地宏樹
http://www.nelke.co.jp/stage/yakumo2015/
《高浩美》
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