第18回文化庁メディア芸術祭がはじまる 4つの分野の最先端がクロスオーバー
第18回文化庁メディア芸術祭が、2月4日より東京・乃木坂の国立新美術館などを会場にスタートした。3日には授賞式が開催、関係者やメディアに向けて会場の様子も披露された。
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開催前日となった2月3日には授賞式を開催、関係者やメディアに向けて会場の様子も披露された。受賞者たちが自らの作品の前に立って観客に語りかける姿も見られ、観客からの最新のメディアアートに対する関心の高さも感じさせた。
会見にはエンターテイメント部門の大賞受賞作『Ingress』のGoogle’s Niantic LabsのDennis Hwang氏と川島優志氏、アニメーション部門大賞の『The Wound』のAnna BUDANOV氏らが受賞の喜びを語った。年々国際色が豊かになるメディア芸術祭だが、海外からの受賞者が多かったのが印象的だった。
Dennis Hwang氏は、「会場にいるとクリエティブな空気をたっぷり感じます。少しでも吸収したいと思います」と話した。Anna BUDANOV氏は受賞について「とても驚き、そしてうれしく思います」と語った。
作品展示の会場は、前年と打って変わった作品の独立性を重視したかたちとなった。前年は会場全体をの敷居を一切なくし巨大なワンスペースとしたが、今回は作品ごとに小さなスペースが与えられている。各作品に集中する空間づくりが意識されている。
とりわけアニメーション部門は、こうしたコンセプトが強く押し出された。大賞、優秀賞、新人賞の作品に、それぞれ白いキューブ上のスペースが与えられ、映像と作品の解説、そして素材が展示されている。ギャラリーで行われるような作品ごと小企画展が集合したイメージである。いずれの作品も原画や設定、背景などが大き扱われ、アートとしてのアニメーションの魅力を伝える。
また前年の各作品を自由に行き来きするかたちから、順路に沿って進むかたちにレイアウトが変わった。入り口すぐにはアート部門、そこからエンターテイメント部門、アニメーション部門、マンガ部門へ進んでいく。アート部門とエンターテイメント部門の作品が、特に大型化しているのが本年の特徴だ。
なかでも世界的に話題の『Ingress』の巨大なインスタレーションや、アート部門の『Nyloid』など印象的だった。特に本来はネットワーク上に存在するものを視覚化した『Ingress』は人気を集めていた。
紙に書かれた原画や平面的なイラストレーションが中心のマンガ部門はむしろ空間の広がりを感じさせた。大賞の『五色の舟』(近藤ようこ、原作:津原泰水)では、三方を作品原画で埋め尽くす展示方法が圧巻となった。
作品ごとの個性を重視したこともあり、今回はむしろ4部門というジャンルはあまり感じさせなかった。連続的に同じ感覚で作品が続き、現在のメディアアートの多様性、カオス的な雰囲気が感じられる。2015年のメディアアートを独自の視点で切りとった展示方法となっている。
[数土直志]
第18回文化庁メディア芸術祭
会期: 2015年2月4日(水)~2月15日(日)
会場: 国立新美術館、シネマート六本木、スーパー・デラックス 他
主催: 文化庁メディア芸術祭実行委員会
http://j-mediaarts.jp/