第18回文化庁メディア芸術祭 「映画クレヨンしんちゃん」「ジョバンニの島」などに優秀賞 | アニメ!アニメ!

第18回文化庁メディア芸術祭 「映画クレヨンしんちゃん」「ジョバンニの島」などに優秀賞

2014年11月28日に、第18回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表された。アニメーション部門は、ロシアのAnna BUDANOVAによる短編アニメーション『The Wound』 が大賞に輝いた。

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2014年11月28日に、第18回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表された。文化庁メディア芸術祭は、過去一年間に発表されたメディア芸術の中から、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4分野から優れた作品を顕彰するものだ。
アニメーション部門からは、ロシアのAnna BUDANOVAによる短編アニメーション『The Wound』 が大賞に輝いた。海外作品が大賞となるのは、昨年の『はちみつ色のユン』(ユン/ローラン・ボアロー)、第3回の『老人と海』(ALEXANDER PETROV)に続いて3作品目となる。

2年連続のアニメーション部門大賞の海外作品受賞は、近年の文化庁メディア芸術祭の海外重視が反映していそうだ。今回は大賞、優秀賞、新人賞に輝いた8作品のうち、海外からが5作品と過半数を占めた。審査委員会推薦作品にも海外作品が多く、国外からの応募が多かったことが分かる。
同時に短編アニメーションが多くなっているのも今年の特徴だ。審査委員会推薦作品は24本のうち16本が短編である。こちらもアニメーション部門の応募総数431作品のうち371作品が短編という結果を反映しているとみられる。
そうではあるがこれまでの様々なジャンルのアニメーションを横並びで評価してきたメディア芸術祭のバランスが、文字どおり「芸術」により寄った印象を受ける。表現の驚きよりアートとしての質の高さを評価したかたちだ。

そうしたなか優秀賞で2本の長編商業アニメが受賞した。高橋渉監督の『映画クレヨンしんちゃん「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」』と西久保瑞穂監督の『ジョバンニの島』である。新人賞では山田尚子監督の『たまこラブストーリー』も受賞に輝いた。
「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」は「映画クレヨンしんちゃん」第22作、監督の高橋渉は本作がシリーズ初監督だ。「映画クレヨンしんちゃん」シリーズは、第6回で原恵一監督の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』が大賞を受賞したことがある。時代を超え、若手監督で再び高い評価を受けることになった。本作は興収18億円超と大ヒット、商業的な成功と作品の高い評価のふたつを実現した。

『ジョバンニの島』は日本音楽事業者協会創立50周年記念作品として、プロダクション I.G制作で終戦直後の色丹島を舞台に苛酷な運命に見舞われた兄弟の物語を描いた。その作画、美術が高い評価を受けている。アヌシー国際アニメーションフェスティバルでの長編部門審査員特別賞など海外でいくつも賞を重ねたが、国内の受賞は初である。
『たまこラブストーリー』は、人気テレビアニメ『たまこまーけっと』の劇場版オリジナルである。今回は新人賞となったが、山田尚子監督は「けいおん!」シリーズの監督や数々のヒット作で多数の経験を持つ。
受賞作にはテレビアニメは含まれていない。一方で、審査委員会推薦作品には『キルラキル』『残響のテロル』『ピンポン』『蟲師 続章』が挙がっている。
[数土直志]

第18回文化庁メディア芸術祭
http://j-mediaarts.jp/

第18回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門

■ 大賞
『The Wound』 
Anna BUDANOVA (ロシア)
■ 優秀賞
『映画クレヨンしんちゃん「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」』
高橋渉 (日本)
『ジョバンニの島』
西久保瑞穂 (日本)
『PADRE』
Santiago 'Bou' GRASSO  (アルゼンチン)
『The Sense of touch』
Jean-Charles MBOTTI MALOLO (フランス)
■ 新人賞
『コップの中の子牛』
朱彦潼 (中国)  
『たまこラブストーリー』
山田尚子 (日本)
『Man on the chair』
JEONG Dahee (韓国)

■ 審査委員会推薦作品
『想い雲』
中舎康平 (日本)
『境界線』
中田彩郁 (日本)
『キルラキル』
今石洋之/中島かずき (日本)
『残響のテロル』
渡辺信一郎 (日本)
『ピンポン』
湯浅政明 (日本)
『ブルー 初めての空へ』
カルロス・サルダーニャ (ブラジル)
『蟲師 続章』
長浜博史 (日本)
『森の伝説 第二楽章』
手塚眞 (日本)
『Between Times』
KUWAHATA Ru / Max PORTER (オランダ/米国)
『Blue Eyes - in HARBOR TALE -』
伊藤有壱 (日本)
『Boles』
Spela CADEZ (スロベニア)
『Canis』
Marc RIBA / Anna SOLANAS (スペイン)
『Decorations』
宮澤真理 (日本)
『Goodbye Rabbit, Hop Hop』
Caleb WOOD (米国)
『Poker』
水江未来/中内友紀恵 (日本)
『Portrait』
Donato SANSONE (イタリア)
『Rainy Days』
Vladimir LESCHIOV (ラトビア)
『Something Important』
LIU Naiwei (台湾)
『STAND BY ME ドラえもん』
八木竜一/山崎貴 (日本)
『The Stressful Adventures of Boxhead & Roundhead』
Elliot COWAN (オーストラリア)
『The Swallow』
CHEN Xi / AN Xu (中国)
『Waiter』
山田遼志 (日本)
『ZACK and QUACK - 'Pop-up-A-Saurus Rex'』
Gili DOLEV / Yvette KAPLAN (イスラエル)
『Zepo』
Cesar DlAZ MELENDEZ (スペイン)
《数土直志》
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