日本のアニメがテレビ放送直後に、多言語で世界各国に正規インターネット配信(サイマルキャスト)することはいまでは珍しくなくなった。近年、再び上場トレンドに入ったと指摘されることも増えた日本アニメ人気の原動力のひとつだ。早く、手軽に、廉価に日本のアニメを見る手段はいまや急拡大している。その先駆者であるクランチロール(Crunchyroll)の有料会員が40万人を超えていることが分かった。同社に出資するテレビ東京HDの2015年3月期第2四半期の決算資料でクランチロールの好調と共に言及されている。クランチロールの最も基本的な有料会員は、月間定額6.95ドルに設定されている。仮にこれを基準に計算すれば、月に278万ドル、日本円換算で3億円以上の課金収入があることになる。実際は料金体系はドラマやマンガの購読などもありより細かいが、広告収入やEC事業などもあり、売上規模はこれをかなり上回りそうだ。クランチロールの有料会員は、2009年頃に日本アニメの正規配信をスタートした当初は伸び悩んでいたが、2012年9月に10万人を突破した。さらに2013年3月に20万人突破を発表している。それから1年半で有料会員をさらに倍にしたことになる。会社は2013年末に米国のメディア持ち株会社のチャーニン・グループ(The Chernin Group)の傘下に入ったが、その事業は依然、好調である。サイマルキャスト事業開始から5年で、世界の日本アニメ・マンガファン40万人からネット上で課金を出来るビジネスモデルは重要だ。近年、日本のアニメやマンガ関連の企業は、よりインターネット上のビジネスに海外開拓の可能性を見出している。海外向けのECサイトを目指すTOKYO OTAKU MODE、グッドスマイルカンパニーやアニメイトも外国語対応を強化している。またアニメ配信では、日本のアニメ関連企業が共同出資するDAISUKIがクールジャパン機構の出資も受けて、2015年にその事業を強化する。クランチロールの成功を受けたものと言っていいだろう。クランチロールの成功は、今後の日本アニメビジネスの方向性にも多くの示唆を与える。[数土直志][ニュース提供:/アニメアニメビズ]
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