「友達になって下さい」を繰り返す物語、舞台「一週間フレンズ。」 不器用なキャラクターたちをリアルに描く | アニメ!アニメ!

「友達になって下さい」を繰り返す物語、舞台「一週間フレンズ。」 不器用なキャラクターたちをリアルに描く

連載・コラム

(C)葉月抹茶/スクウェアエニックス・「一週間フレンズ。」製作委員会(C)舞台「一週間フレンズ。」製作委員会
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高浩美のアニメ×ステージ&
ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

2011年夏に月刊「ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス刊)で読み切り掲載され、2012年より連載中の『一週間フレンズ。』。2014年現在累計100万部突破、2014年4月から6月までアニメ放送、物語の切なさ、ピュアな登場人物に共感が集まった。

物語の舞台は西東京。アニメでも京王線の聖蹟桜ヶ丘駅の風景が描かれているが、ホーム西口を出た駅前のパン屋さんでは劇中に登場する「たまコッペ」を再現して販売しているそうで、こちらも大人気、だいたい午前中には売り切れるとのこと。派手さはないが、じわじわと心に染み入る物語、地元でも大いに盛り上がっているようである。
一週間で友達との記憶をなくしてしまうヒロイン香織。クラスの誰とも関わらないようにぽつんとしている彼女にクラスメイトの祐樹が「友達になってください。」と話しかける。そこから2人の物語が綴られていくのだが、そんな『一週間フレンズ。』の舞台、どんな面々が演じるのだろうか。

演出の堀江慶はキャスティングに当たって「キャラクターと似ていることはもちろんですが、今回は特に祐樹と香織には"純粋さ"を求めました。生来持っている"純粋さ"ですね。そして育ちの良さ。10代の役なので、そこは役作りだけではどうにも対応できないところだと思うので。メイン4人共素晴らしいキャストが揃ったと自負しています」と語る。

囲み会見での4人は初々しく、時折、はにかんだりしていたのが印象的だった。舞台化に相応しいと思った理由に関しては「会話劇であることです。"友達になる"ということについてまるで哲学論が披露されているように思いました。だから場面も大きくは"教室"と"屋上"で、とにかく二人が話せること。これが一番重要なので。逆にそこが潔くて演劇的には面白い!と思いました」
舞台の見所に関しては「"友達になること"="自分以外の誰かと想いを共有すること"です。この人間にとって当たり前のことができない人が多い。祐樹と香織は特別な状況でそれを痛感するのですが、これは普通の人にとっても意外と難しい。そんな普遍的なおかしさを見てほしいです」と語る。

日常でもふとしたことで何気ない出来事や会話を思い出し、心が揺れることも、あるいは思い出し笑いをすることもあるだろう。そんな機微をすくいとっていく、そんな作品になるような、そんな感じがする。

セットはいたってシンプル。上手に教室のセット、下手には屋上のセット、中央はグリーンの通路。ストーリーはアニメ通り。教室でぽつんと孤独にしている少女・藤宮香織。そんな彼女が気になる少年・長谷祐樹。「友達になって下さい」という祐樹、困った表情を浮かべる香織。ここから物語が動く。
香織は一週間で友達との記憶を失くしてしまうがために人との交流を避ける。そんなぎこちない空気感を岡山智樹と岡野真也が”等身大”で表現。初々しさが役とリンク、アニメで表現されていた雰囲気が、よりリアルになって舞台をふんわりと包み込む。ライブならではの良さであろう。

キャストがかわるがわるに「○月○日○曜日」と時の流れを告げる。友人の桐生将吾は口数少なく、ちょっと突き放したような物言いと面倒くさそうなけだるい雰囲気が、逆に将吾の優しさを表す。戸谷はそんなキャラクターを目や仕草でキャラクターを増幅させる。過剰な表現をせず、”もの静か”な演出。時折、状況をスケッチする控えめな音楽がその瞬間を静かに盛り上げる。

一週間で祐樹との交流を忘れてしまう香織に「友達になって下さい」と言う。何度忘れられても言い続ける祐樹に観客は心を揺さぶられる。忘れてしまう、ということ以外はなんということもない日々が続くが、その中で登場人物達は少しづつ変わっていく。微妙に変化していく過程に共感する。
そんな時、山岸沙希が香織に「友達になろう」と言う。2人でクレープを食べる下りは微笑ましく、それを遠くから見守る祐樹と、さらにちょっと離れたスタンスで見つめる将吾の様子は、ちょっとクスリと笑えるところ。山岸沙希はかつていじめられっ子だった。それでも自分らしさを失わない沙希を川上ジュリアはふわりと自然体で表現。そんな彼女をずっと見てきた将吾。この4人のキャラクターのバランスがこの物語の特長だが、舞台になるとよりいっそう際立つ。

なかなか絶妙なキャスティング。クラスメート達の無駄話シーンが高校という場所をより近いものにして場面をよりリアルにしている。先生もどこにでもいそうな感じである。

生きることに愚直で不器用な登場人物達の不器用な物語。これから何度でも繰りかえされるであろう会話「友達になって下さい」「はい」。人は一人では生きていけない、しかし、人間関係を築くことは難しい。誤解や行き違いは誰でも経験はあるはず。
将吾は言う、「友達になるのは難しいこと」。沙希は言う、「楽しいことは半分こにする」。普遍的なテーマを重くならずに軽やかに見せる。派手な演出も際立った登場人物も出てこない『一週間フレンズ。』。どこにでもいる人々の、リアルな”ファンタジー”。人が忙しく行き交う街、渋谷での公演、というのもなんとなくうなずける。ちょっと足を止めて考えてみたい良作だ。

なお終演後、なんと舞台上で撮影会(キャストの参加は無し)が出来るという究極の2.5次元企画がある。対象公演回は15(土)の13時の回と16(日)の13時の回、23(日)の13時の回のいずれも終演後の30分間となる。もう、コスプレすれば、なおさら『一週間フレンズ。』気分が味わえる。なかなか粋な企画だ。

舞台『一週間フレンズ。』
11月14日(金)~11月24日(月)
CBGKシブゲキ!
http://oneweekfriends-stage.com
※11月19日(水)と11月22日(日)のマチネ後・トークイベント有
《高 浩美》
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