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舞台『半神』、萩尾望都の原作を超えて異次元舞台に 野田秀樹の傑作

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義[取材・構成: 高浩美]舞台『半神』は野田秀樹作品の傑作、萩尾望都コミックを大きく飛び超えて、独自の異次元舞台に転換する。

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撮影:岡本隆史
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  • 野田秀樹
■ 積極的に国際交流する野田秀樹、韓国での公演はこの作品で3回目

野田秀樹は演劇での国際交流に積極的で今年の5月には『THE BEE English Version』のフランス、ルクセンブルク、ドイツ公演を行っている。実は韓国でやるのはこれで3度目だそうで一回目は『赤鬼』(2005年)、二回目は『THE BEE』(2013年)。なお、今回の『半神』のキャストはオーディションで選んだそうである。なお、日本での上演は韓国語(イヤホンガイド付き)になる。

この作品に関して野田秀樹は
「インターネットの時代は、『自分』の時代である。みな、自分にばかり向き合い、世界からの情報も、自分好みにデザインされる。それは『自分』にとっては、最も生きやすい時代であるけれど、 同時に『他者』と生きることが、どんどん難しくなっているということでもある。演劇は、そんな時代 にあって、とてもアナログであり、『他者』との関係でしか成立しない芸術である。時代遅れであるといえる。だが、残念ながら、どんなに新しい技術が生まれ出ようとも、『人生』はアナログである。
この『半神』という、双子の物語が誕生してから三十年近くなるけれども、いまだ、普遍性を持っていると、私が信じられるのは、まさに『人生がアナログ』であるからだ。つまり、『他者』との関係でしか成立しない『生きる』姿がこの作品にあるからだ。
韓国の劇場で芝居を作るのは、三度目である。私のパスポートには、たくさんのハングル文字のスタンプが押されている。私は、この地で、たくさんの新しい『他者』と出会い、そして『生きて』、作品を生み出す幸運に恵まれた。幸せ者だと 思う。この 2014 年の夏、私はまた、ここで『生きる』。そして『創る』。アナログ的に」とコメントしている。
また、韓国での反響だが、Korea Economic Dailyは「吸い込まれそうなスピード感と力動的なエネルギーが溢れ、演劇的な面白さに満ちている。面白さひとつひとつが破片化して散らばることなく、一つに凝集され驚くべき劇的なエネルギーを噴き出す。野田監督の卓越なところである。巨匠の手際と息が感じられる。数多くの『距離をおく(異化効果の)』装置が稼働されても、ボロボロ涙を流してしまう。」と伝えている。
Maeil Business Newspaperでは「日本演出の大御所野田秀樹と、韓国の演技派俳優12名が意気投合した『半神』は、人間関係の亀裂に入り込む。野田は、思いっきり想像力といたずらを発散する。頭から”日本演劇は重く苦しいという偏見を捨てろ”と言い放ったように、面白い演出を追求した。音楽も不意をつく。多層的な時間と空間のなかで、演劇的な遊び心が充満した舞台で、人間の本質を探った作品である」。国際的に高い評価を得ている野田秀樹、『半神』は“拍手”を持って迎えられたことがよくわかる劇評である。
《高浩美》
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