『聖闘士星矢』の忘れられない名勝負:後編 不可欠な仲間の絆 2ページ目 | アニメ!アニメ!

『聖闘士星矢』の忘れられない名勝負:後編 不可欠な仲間の絆

車田正美先生の代表作のひとつ『聖闘士星矢』:その魅力を印象的な戦いのシーンと人間模様から分析する第2回。物語の奥行きを作る複雑な関係 仲間の絆、敵が味方に、味方が敵に。

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■ クローズアップされる肉親、師弟関係

絆は仲間どうしの間だけではない。師弟や、数は少ないものの肉親との絆も強い。
師弟関係は、聖闘士星矢の物語全体にベース音のように流れている。師匠は弟子を鍛え、戦場に送り出す。そしてその後、味方や対峙するものとなり、より弟子との関係を強くしていく。氷河は師匠と戦いを通じて、瞬は師匠の敵をとることで。紫龍も折に触れて師匠に教えを請う。星矢の場合も、戦いでピンチになると、師匠の教えがよみがえる――聖闘士は常に師匠の姿を背負いながら進んでいくことになる。

数少ない肉親の絆が強く示されるのは、一輝と瞬の兄弟愛だろう。そもそも物語の最初から、一輝は弟の瞬をかばって、最も過酷な環境といわれる島に聖衣を手に入れに行く。甘いところがある瞬を、叱咤激励しつつも、常に自分が前線に立とうとする。
一方瞬にとっても、一輝の存在は大きい。一輝はVSシャカ戦で命を落としたと思わされるが、瞬は一輝の最後の言葉「さらばだ瞬!星矢達ともに最後まで男らしく戦うんだぞ!」を胸に前に進む。終始柔らかな表情をしていた瞬が、この言葉の後、強い光を込めた目で進む姿には成長を感じさせる。

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兄弟関係は敵側でも出てくる。例えば双子宮の聖闘士、サガとカノンの双子の兄弟。双子座を背負ったことから、兄のサガは[善]、弟のカノンは[悪]の性格に分かれてしまい、カノンが悪をささやき続けた結果、サガにも悪の心が生まれ、サガが教皇を殺して自分が権力を握るきっかけになってしまう。「神のように慕われていた」サガが、なぜ悪の道にという読者や視聴者の疑問も、兄弟という強い関係性だからこそと納得させられるのだ。

このような師匠や仲間との絆が強い印象を与えるのは、多くのキャラクターが肉親の縁が薄いからだ。聖闘士の多くは、親がいなかったり、いても亡くなったりしている。紫龍も親の姿は描かれないし、氷河も母親は亡くなり海に沈んでいる。

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(c)車田正美/集英社・東映アニメーション
《マンガナイト・山内康裕、bookish》
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