■ 熱いパッション、まさに“スポ根”的、リアルとフィクションの狭間の二乗、相乗効果で劇場にエネルギーが充満する冒頭は野球のシーンから始まる。高校球児だった実、甲子園への夢破れて自暴自棄な気分になってしまう。そんな時、好きな女の子、吉永寛子から“AKBのオーディションを受ける”と言われ、女装してオーディションを受け、なんと合格。ストーリーはコミック通りなのだが、物語はスピード感を持って動く。エピソードのつなげ方もテンポ良く、AKBの楽曲が効果的に挿入され、その心情や状況を的確に表現、数々の2.5次元舞台を手掛けている茅野の手腕の見せ所だろう。ところどころに挿入される万葉集の短歌、気持ちやシーンを端的に表しており、ここは心憎い演出。振付にはミュージカル『テニスの王子様』やミュージカル『薄桜鬼』でおなじみの本山新之助、楽しくポップなダンス、フォーメーション、観客を楽しませるツボをよく心得ている。主演の宮澤佐江、男装がよく似合い、ちょっと直情的で友情に熱い役を好演。“女装”シーンもハマっており、キャスティングされたのがよくわかる。対する岡部愛役の須田亜香里、研究生のセンターという設定、1幕のドスの効いた突っ張り具合はなかなかの迫力、転じて2幕は後半、グループをまとめる重要なシーンを的確に演じていたのが印象的。ゲネでは吉川寛子を大和田南那が務めたが、初々しさがキャラクターにぴったり。“おじさん1点”の日野陽仁(奥平先生、戸賀崎さん、医者の3役)、名バイプレーヤーらしく全体のアクセントになっており、笑いを取ったり哀愁を誘ったりと大活躍。キャストが一丸となってミュージカルに挑戦、というエネルギーがそのまま伝わる作品、“スポ根”的な熱さをはらみ、観ている方までその情熱が“伝染”。2幕終盤のコンサートシーンでパッションは最高潮に。たぶん、回を重ねる毎にメンバー全員が成長するであろうこのミュージカル、物語での登場人物の成長と重なる。まさにリアルとフィクションの狭間の二乗、相乗効果で劇場にエネルギーが充満、今年最も勢いのある作品のひとつであることは間違いない。(注)ジュークボックス・ミュージカル定義は曖昧な点もあるが、既存の曲を使うというアイディアは世界最古のミュージカルと言われている『ベガーズ・オペラ』(1728年)までさかのぼることが出来る。『マンマ・ミーア!』1999年4月6日ロンドン初演。ABBAの楽曲22曲で構成。この日はABBAユーロビジョンコンテストで優勝してから25年目だったこともあって話題に。日本では2002年、劇団四季によって上演。現在は東京の四季劇場[秋]にて上演中。2008年にはメリル・ストリープ主演で映画化。ジュークボックス・ミュージカルとしては最も成功したミュージカルのひとつに数えられている。ミュージカル『AKB49~恋愛禁止条例~』AiiA Theater Tokyo(アイア シアタートーキョー)2014年9月11日(木)~16日(火)/http://www.nelke.co.jp/stage/akb49/画像:(C)元麻布ファクトリー・宮島礼吏/講談社
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