ミュージカル「ファウスト」 手塚作品の面白さをベースに“いいとこ取り” | アニメ!アニメ!

ミュージカル「ファウスト」 手塚作品の面白さをベースに“いいとこ取り”

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義 ミュージカル『ファウスト』~愛の剣士たち~は手塚作品の面白さをベースに“いいとこ取り”、スペクタクルでファウストの世界を舞台に。

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(C)ミュージカル「ファウスト」公演実行委員会
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高浩美のアニメ×ステージ&
ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

ミュージカル『ファウスト』~愛の剣士たち~は手塚作品の面白さをベースに“いいとこ取り”、スペクタクルでファウストの世界を舞台に

■ 手塚『ファウスト』『百物語』をかけあわせて、生でファンタジーを手塚の作品世界を見せたい

アニメ・マンガ業界の巨匠・手塚治虫。言わずと知れた日本のストーリーマンガの第1人者で、次々と新しい手法に挑戦、現在の日本のアニメ・マンガ表現の基礎を作ったクリエイターである。
『ファウスト』は手塚が1950年に発表したもので、ゲーテの『ファウスト』のマンガ化である。子供向きに書かれていながらも原作のファウストの苦悩と罪、そして救いという骨格はそのままに、読んで楽しめるエンターテインメント作品に仕上げている。
その後、1971年に『百物語』を発表。これは『ファウスト』の物語を日本に置き換え、しかも悪魔を女性にして主人公と相思相愛にし、ラストは主人公の魂が天上に昇っていく、という独創的な結末。手塚が“天才”と言われるゆえんだろう。その後、晩年に『ネオ・ファウスト』を執筆、こちらは未完に終わっている。

今回の舞台はこの『ファウスト』と『百物語』を基にしている。演出のモトイキシゲキは「もともとは『森の四剣士』っていう手塚作品があるのですが、動物たちが登場して森を守る、っていうファンタジーがあったんですが、これだとファミリーミュージカルっぽくなるので、もう少し大人向きのものっていうところで『ファウスト』……『ネオ・ファウスト』だと話が壮大過ぎる、『ファウスト』と時代劇になっている『百物語』、これならファンタジーの世界で出来るな、と。生で世界観を見せるって素敵ですよね。映像だけでは見えない魅力がある、舞台に合うかどうかっていうのもありますが、もともとはゲーテの戯曲ですからね。哲学的に難しいところもありますが、そういう意味においては扱いやすいのでは?と思います」

■ どうしようもない男が生きていくためには戦って勝ち取っていかなければいけない。

サブタイトルには“愛の剣士たち”とあるが、実はゲーテの『ファウスト』には戦いのシーンは基本、ない。が、この手塚の作品にはあるのが“ミソ”。
「20代の時に描かれた『ファウスト』には戦うシーンはあんまりないんですが、『百物語』は戦いが全て。どうしようもない男が生きていくためには戦って勝ち取っていかなければいけない。それがイコール人間の欲、勝ち取っていくというのがテーマになっていくんで……そうすると戦士が必要になっていくんですね。ただ、戦士っていっても愛を勝ち取るために戦うっていうのが美しい、それでサブタイトルに“愛の剣士たち”って入れさせてもらいました。」

■ スペクタクル要素を取り入れて、様式美をどう新しい形に取り入れるか、映像も使って世界観を構築

ビジュアル的には殺陣のシーンも見所のひとつだろう。また、ミュージカルなので歌のシーンもなかなか工夫を凝らしている様子。

「ミュージカルですから……。歌でお芝居を見せるところですが、歌舞伎でも謡いがあって芝居がありますが、同じやり方で歌を歌ってもらって、それをバックにして芝居をしたり戦ったりとかをしています。今回は宝塚歌劇出身の児玉さんに脚本を書いていただいていますが、意図もわかっていただいて、例えば戦うところで歌を聴かせる場合、恋する人たちが歌う、その想いが戦う者たちの中にある、演出上、そういうことをやらせていただいています。よくあるミュージカルでは、殺陣をやる場合は音楽だけ流れているのですが、今回はそうではない。歌の魅力、歌と芝居がリンクするような感じ。つまり、歌っている人は歌う、そこに芝居をして(物語を)動かしている人、っていうような映像的な表現したらどうなるのかな?と。リンクさせてっていうのが理想かな。あと、そこには実際に映像もあって、世界観を作っています。上(上層)は映像、下は舞台屋台っていう大きなコンセプトを作って、階段使って開いたり閉じたりして出入り出来るように、変化がつけられるようにしています。つまり、上だけ前面映像になっていて、最後にスーッと……舞台の醍醐味ですね!スーパー歌舞伎みたいなスペクタクル要素を取り入れて、ね。様式美をどう新しい形に取り入れるか、そこに映像を効果・仕掛けとして上手く使って見せたい。今は技術が優れているから、例えば、煙やら照明やらを1点に集めて“ドラゴンボール”みたいにバアーッと光を発射させてみたり。これはタイミングを合わせるのが大変ですけどね。他にも透けるガラス。これは前からは鏡に見えて、後ろから光を当てると透けて見えるものですが、これを何枚も動かしたりして・・・、いろいろ演出的な見せ場を用意しています。」
《animeanime》
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