『クリィミーマミ』には数々の魅力があるが、その中でもひときわ印象的なのがその声、そして歌だ。主人公・森沢優とクリィミーマミは、当時デビュー間もない新人アイドルだった太田貴子さんが演じることで、愛らしく初々しさに溢れたキャラクターとして完成した。
この度、Blu-rayメモリアルボックスの発売を記念して太田貴子さんにインタビューを行った。からりと晴れた太陽のような笑顔とともに、当時を振り返りながら語っていただいた。
[取材・構成: 細川洋平]
―アニメ!アニメ!(以下、AA)当時15歳、デビュー間もなく『クリィミーマミ』の主役に決まりました。当時の感想、印象など教えていただけますか。
―太田貴子(以下、太田)
日本テレビ『スター誕生!』でデビューしてから、新人というのもあって徳間音楽工業(現・徳間ジャパン)へご挨拶回りに行ったんです。その時に徳間書店にもお伺いして、当時すごくかわいがっていただいていた尾形さん(※)に、ちょっと貴子来い、って言われて。絵コンテを開いて見せてくれて、今度こういうアニメあるんだけど、どう思う? って。その絵コンテがすごくかわいかったんですよ。いいですね、って言うと、「これ、やるか?」って。鶴の一声でした(笑)。すぐに「やるやる、やらせて!」って返事をしました。今思えばほんとラッキーだったと思います。
―AA
『クリィミーマミ』では声優という以前に演じること自体が初めてのことでした。
―太田
私がすんなり入って行けたのは優ちゃんの方でした。自分の性格にも近かったですしね。マミちゃんの場合は大人の雰囲気が中々出せなくて苦労しました。いろんな方からいろいろな指導を受けて(笑)。そっかそっか、どうしようどうしよう、って思いながら自分なりに努力して、だんだん二役使い分ける様になったと思います。
第1話を見てもらうとわかると思うんですけど、ほとんど棒読みに近いセリフだと思うんですね。自分で見てても「(耳を塞ぎながら)わ~」って思います(笑)。布川さんからも最近になって、貴子はほんとに最初はとにかくへたくそでって、当時のことをけちょんけちょんに言われました(笑)。共演した声優さんも大御所ばっかりでプレッシャーはもちろん感じていましたね。そこで自分なりの努力と指導があった結果、優ちゃん・マミちゃんになれたんだと思います。
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―AA
アフレコの現場はどんな様子でしたか。
―太田
当時は赤坂にある新坂スタジオ(現在は閉鎖)でアフレコしていたんです。スタジオには差し入れの食べ物がいっぱいあって、水島裕さんや井上和彦さんたちも接してみると優しいし、他のみなさんも個性的でマイペースな方ばっかりだったので、すごく楽しくできました。音響監督の藤山房延さん(現在は『藤山房伸』と表記)にもいろいろ教えていただいたり、かわいがっていただいたのを覚えています。
そういえば声を入れる時って、絵が全くなかったんですよ(笑)。モニターの中に出て来る棒線みたいなのを見ながらセリフを入れて、全くどういうふうになるのかさっぱりわからなかった(笑)。もちろんオンエアで、絵が入った作品自体はすごく楽しめました。高田先生が描いたキャラクターや衣装も当時からすごくかわいいって思ってました。
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