日本SFファングループ連合会議は、4月27日に第45回星雲賞の参考候補作を発表した。発表されたのは日本長編部門、日本短編部門、海外長編部門、海外短編部門、メディア部門、コミック部門、アート部門、ノンフィクション部門、自由部門の9部門。候補とされた作品、人物、事象などは、およそ60にも達した。今後、第53回日本SF大会(愛称:なつこん)の参加者を中心としたSFファンの投票にて、ジャンルごとの受賞を決める。7月19日から7月20日まで茨城県つくば市のつくば国際会議場で開催される なつこん の会場にて発表、授与式も行われる。星雲賞は1970年にスタート、40年以上の歴史を持つ。SF関係の賞のなかでも最も長い歴史を誇り、特に重要なアワードとして知られている。特徴は国内外のSF小説だけでなく幅広い作品をカバーすること、そしてファンの投票により受賞が決まることだ。前年のSF関連分野の動きを一望するのにも最適だ。今回発表された参考候補作は、投票のための参考として挙げられている。投票者は参考作品以外からも投票を出来るが、受賞はこの中から選ばれることが多く、事実上のノミネートの位置づけになっている。アニメファンにとっても見逃せないのは、メディア部門である。毎年多数のSFアニメが参考候補作に挙がっている。前回の『モーレツ宇宙海賊』をはじめ、近年だけでも『魔法少女まどか☆マギカ』、『サマーウォーズ』、『電脳コイル』など受賞作も数えきれない。今回もメディア部門に挙げられた8作品のうち6作品がアニメだった。『翠星のガルガンティア』、『宇宙戦艦ヤマト2199』、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』、『PSYCHO-PASS サイコパス』、『サカサマのパテマ』、『ガールズ&パンツァー』である。この中から受賞作がでるのかも気になるところだ。また、独自の個性を発揮する自由部門も興味深い。SF短編に大きな功績を残した「NOVA全10巻(大森望編)」、「日本SF短篇50全5巻(日本SF作家クラブ編)」からイプシロンロケット、ダイオウイカ、「艦隊これくしょん -艦これ-」と多種多様だ。日本SF大会では、現在、大会への参加を受付中である。日本SF大会の公式サイトにて申し込みが可能だ。この申し込みで星雲賞投票も可能となる。大会参加費などの詳細もサイトにて確認出来る。また、日本SF大会の参加は難しそうだが星雲賞の投票はしたい人には、3000円の登録費による星雲賞投票が用意されている。日本SF大会(なつこん公式サイト)/http://www.nuts-con.net/ja第45回星雲賞参考候補作/http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2014result.html [日本長編部門] ■ 『know』 (野崎まど) 早川書房/ハヤカワ文庫JA *崎は「(立つさき)」■ 『コロロギ岳から木星トロヤへ』 (小川一水) 早川書房/ハヤカワ文庫JA■ 『Gene Mapper -full build-』 (藤井太洋) 早川書房/ハヤカワ文庫JA■ 『皆勤の徒』 (酉島伝法) 東京創元社/創元日本SF叢書■ 『深紅の碑文』 (上田早夕里) 早川書房 ■ 『クリュセの魚』 (東浩紀) 河出書房新社 ■ 『ブラックライダー』 (東山彰良) 新潮社[日本短編部門] ■ 「11階」 (小田雅久仁) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年6月号■ 「銀河風帆走」 (宮西建礼) 東京創元社/『極光星群』(創元SF文庫) ■ 「星を創る者たち」 (谷甲州) 河出書房新社/NOVAコレクション『星を創る者たち』収録■ 「ミシェル」 (瀬名秀明) 河出書房新社/『NOVA 10』(河出文庫)■ 「大正航時機綺譚」 (山本弘) 河出書房新社/『NOVA 10』(河出文庫)■ 「モデル」 (松永天馬) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年8月号■ 「ウンディ」 (草上仁) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年12月号 [海外長編部門] ■ 『白熱光』 (グレッグ・イーガン、訳:山岸真) 早川書房 ■ 『言語都市』 (チャイナ・ミエヴィル、訳:内田昌之) 早川書房■ 『ブラインドサイト』 (ピーター・ワッツ、訳:嶋田洋一)東京創元社/創元SF文庫■ 『クラーケン』 (チャイナ・ミエヴィル、訳:日暮雅通)早川書房/ハヤカワ文庫SF■ 『蛇の卵』 (R・A・ラファティ、訳:井上央) 青心社■ 『夢幻諸島から』 (クリストファー・プリースト、訳:古沢嘉通) 早川書房■ 『オール・クリア』 (コニー・ウィリス、訳:大森望) 早川書房[海外短編部門] ■ 「紙の動物園」 (ケン・リュウ、訳:古沢嘉通) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年3月号 ■ 「パリンプセスト」 (チャールズ・ストロス、訳:金子浩) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年11・12月号■ 「真空キッド」 (スティーヴン・バクスター、訳:矢口悟) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年11月号■ 「クリストファー・レイヴン」 (シオドラ・ゴス、訳:鈴木潤) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年2月号■ 「霧に橋を架けた男」 (キジ・ジョンスン、訳:三角和代) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年3・4月■ 「最終試験」 (メガン・アーケンバーグ、訳:鈴木潤) 早川書房/〈S-Fマガジン〉2013年11月号[メディア部門] ■ 『翠星のガルガンティア』 監督:村田和也 Production I.G 「翠星のガルガンティア」製作委員会 ■ 『パシフィック・リム』 監督:ギレルモ・デル・トロ レジェンダリー・ピクチャーズ ジョン・ジャッシニ、メアリー・ペアレント、トーマス・タル■ 『宇宙戦艦ヤマト2199』 原案:西崎義展 総監督:出渕裕 XEBEC 宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会■ 『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 原作:Ark Performance 監督:岸誠二 サンジゲン アルペジオ・パートナーズ ■ 『PSYCHO-PASS サイコパス』 総監督:本広克行 監督:塩谷直義 Production I.G サイコパス製作委員会 ■ 『ゼロ・グラビティ』 監督:アルフォンソ・キュアロン ヘイデイ・フィルムズ 製作総指揮:スティーヴン・ジョーンズ■ 『サカサマのパテマ』 監督:吉浦康裕 アスミック・エース■ 『ガールズ&パンツァー』 監督:水島努 アクタス ガールズ&パンツァー製作委員会[コミック部門] ■ 『星のポン子と豆腐屋れい子』 (原作:小原愼司/作画:トニーたけざき) 講談社/アフタヌーンKC■ 『成恵の世界』 (丸川トモヒロ) 角川書店/カドカワコミックス・エース ■ 『GANTZ』 (奥浩哉) 集英社/ヤングジャンプコミックス■ 『あかねこの悪魔』 (竹本泉) エンターブレイン/ビームコミックス[アート部門] ■ 寺田克也■ 海野螢■ 加藤直之■ 松尾たいこ■ 鶴田謙二■ 佳嶋 ■ 岩郷重力■ 酉島伝法■ 加藤龍勇■ YOUCHAN [ノンフィクション部門] ■ 『失踪日記2 アル中病棟』 (吾妻ひでお) イースト・プレス コミック ■ 『ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF』 (限界研(編)) 南雲堂■ 『宇宙へ行きたくて液体燃料ロケットをDIYしてみた 実録なつのロケット団』 (あさりよしとお) 学研マーケティング/学研科学選書 ■ 『大栗先生の超弦理論入門』 (大栗博司) 講談社/ブルーバックス ■ 『SF奇書コレクション』 (北原尚彦) 東京創元社■ 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 (川上和人) 技術評論社[自由部門] ■ NOVA全10巻(大森望編) *日本SF短編に光を当てた編集の功績。■ イプシロンロケット *2001年のH-2A以来の新型ロケットで、大幅にコストダウンした機体で宇宙開発の敷居を下げた事、自分で中止を決断した事を評価して■ 日本SF短篇50全5巻(日本SF作家クラブ編) *日本SFの歴史をふりかえる貴重な作品集を編集した功績。■ ダイオウイカ *深海ブーム、巨大イカブームの火付け役■ 艦隊これくしょん -艦これ- *擬人化した艦娘たちの人気
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