日本企業連合でアニメを海外発信 DAISUKI.netがビジネスモデルをAnimeJapanで解説 | アニメ!アニメ!

日本企業連合でアニメを海外発信 DAISUKI.netがビジネスモデルをAnimeJapanで解説

イベント・レポート

2014年3月22日、東京ビッグサイトで開催されたAnimeJapan 2014のビジネスセミナーで、DAISUKI株式会社代表取締役 柴田邦彦氏による「DAISUKI.netビジネスセミナー」が開催された。DAISUKI.netは、日本のアニメ企業5社アニプレックス、サンライズ、東映アニメーション、トムス・エンタテインメント、日本アドシステムズと大手広告会社アサツー ディ・ケイと電通により2012年に設立された会社だ。
国内有力企業が結集して日本アニメの海外配信をするとして、設立当初は大きな注目を浴びた。しかし、2013年5月の配信サービス開始以降の動向はほとんど伝わっていない。同社の事業が海外向けであることから国内ユーザー向けのプロモーションがない、また事業の中心となるウェブサイトのサービスも日本からアクセスできないことが理由だ。
国内のアニメ関係者からも、DAISUKI株式会社とDAISUKI.netがよく分からないとの声が多い。それだけに国内向けで初となる一般聴講も出来るセミナーは貴重な機会となった。

セミナーでは会社設立の目的として、1)海外アニメビジネス事業の創出、2)正規配信による違法配信コンテンツの排除、3)海外向けのECの事業の開発が説明された。その人気に比べて日本アニメの海外ビジネス比率が低いことから、業界が連携しこれを拡大する、さらに違法配信で奪われている利益を取り戻すという。国のメディアコンテンツ政策でも語られることが多い論点だ。
それではサービス開始から1年弱、DAISUKI.netのビジネスはどの程度拡大し、成果が出ているのだろうか。ここでは具体的な数字がいくつか挙げられた。
ユーザー数は、サービス開始9か月目の2014年2月で約130万人だという。同業のクランチロールの1000万人以上からは引き離されているが、短期間の成果としては大きい。しかし、配信作品数は、『物語シリーズ』、『ワンピース』、「機動戦士ガンダム」シリーズなどの有力タイトルがあるとはいえ25タイトルと少ない。2月の月間のページビューは2500万程度とユーザー数と動画配信サイトという特性を考えると控えめだ。DAISUKI.netに関心を持ったユーザーのニーズに応えきれていないのではないかと思えた。

また、ユーザー属性は、男性が7割超、女性が3割弱。年齢は20代が50%超、10代が30%弱と併せて8割となる。20代の男性がボリュームゾーンのようだ。
国別では米国が4割、カナダ、メキシコを含めると約半分と、北米がやはり強い。一方で、柴田氏はアジア市場の拡大の可能性を指摘した。実際にアジアのアニメイベントに参加するなど、アジア重視の姿勢が窺われた。また、米国に続いてイタリア、ドイツなどヨーロッパの非英語圏の強さにも言及があった。

現在の活動として、各国のアニメコンベンションでのプロモーションについて触れた。2013年は米国・ロサンゼルスとニューヨーク、ボルチモアなど、ロンドン、ボンなどのヨーロッパ、さらにインドネシア・ジャカルタ、シンガポール、インド・ムンバイなどのイベントに参加した。
こうしたイベントの参加はダイレクトにユーザーの増加に反映するという。サービス告知とユーザー獲得の重要なツールとなっているようだ。

これまであまり情報のなかったDAISUKI.netのビジネスを知る場所としては貴重で、価値ある情報を知ることが出来たセミナーだった。しかし、正直に言えば、全体としては不満が残った。セミナーの予定時間は45分だが、実際の講演は30分程度、一方で聴講者からの質問時間は設けられなかった。
配信は全て無料で行っているDAISUKI.netが、収益ビジネスモデルがどうなっているのかは多くの人が指摘するところだが、それについての説明はなかった。ビジネスを補完するとみられるECも一部説明されたが小規模で、どれぐらいの期間で、どの程度の規模を目指すのか不明、配信タイトル数の拡大計画はあるのかなど、依然分からないことが多い。

私企業である以上、ビジネス面で公に出来ない情報が多くあることは理解できる。しかし、同じ海外向けのアニメ配信サービスのクランチロールは、売上などについてはあまり語らないが、ビジネスの目指す方向性や戦略はよく語る。自社がどういった存在であるかを明らかにし、ビジネスパートナーを増やす手段としている。それが同社のいまの成功にもつながっている。
一方、今回のDAISUKI.netの講演や、これまでのDAISUKIの活動から、どれだけの企業が同社と一緒にビジネスをやりたいと考えるだろうか。存在が知られなければ、ビジネスのやりとりの場にも行きつかない。
あるいは株主企業のサポートが期待出来るのかもしれない。しかし、それでは逆に株主企業だけの枠を越えられない。それに、おそらく株主企業の社員でも直接の担当者以外、DAISUKI.netが何か分かっていない可能性が強い。
日本のアニメを日本企業の手で送り出して欲しいと、DAISUKIに期待する声は大きい。それだけに今回のビジネスセミナーは、物足りない印象が拭えなかった。
[数土直志]
《animeanime》
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